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「葛根湯」の処方箋から読み取る「風邪」という病気の本質(3/3ページ)

杉 幹雄杉 幹雄

2021/01/27

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新型コロナの病態も葛根湯から読み取れる

この葛根湯の処方の考え方をさらにすすめると、新型コロナ感染の病態の説明もできます。三陰三陽論では病気の進行状態(病期)を6段階に分けており、新型コロナが重症化するのは、2段階目の「少陽病」以降になってからのようです。

具体的には、腸の熱が実質臓器に移り、それが元で肺炎になりやすい病態になります。

また、新型コロナも風邪の症状と同様に皮膚と腸のアンバランスが起因していることが推測されことから、感染が広がりやすのは、気温の寒暖差が激しい時ということも示唆しており、漢方医学からも、新型コロナの病態が広がる季節もおのずと見えてくるわけです。

このように『傷寒論』の処方を解析することで西洋医学的な病気へアプローチと違った視点や病態を把握することが可能になります。漢方医学は西洋医学と複合的に組み合わせることで、将来の医学への発展に大きな役割を担うことができるのではないかと思うのです。

今回は葛根湯を取り上げましたが、風邪は3つ程度に分類できると思われます。つまり、処方する漢方の葛根湯・麻黄湯(まほうとう)・香蘇散(こうそさん)の病態です。

麻黄湯は皮膚と気管支のアンバランス、香蘇散は胸と腹のアンバランスの病態を示します。実際の新型コロナ感染に関しては、この葛根湯が有効であるとされる太陽病の段階では大きな症状は出ず、次の段階の少陽病に現れる肺炎や嗅覚障害・味覚障害などが出てきます。

次回は風邪を例に進行度合いを見極める「病期」についてお話しします。

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この記事を書いた人

すぎ内科クリニック院長

1959年東京生まれ。85年昭和大学医学部卒業。国立埼玉病院、常盤台病院、荏原ホームケアクリニックなどを経て、2010年に東京・両国に「すぎ内科クリニック」を開業。1975年大塚敬節先生の漢方治療を受け、漢方と出会ったことをきっかけに、80年北里大学東洋医学研究所セミナーに参加。87年温知堂 矢数医院にて漢方外来診療を学ぶ。88年整体師 森一子氏に師事し「ゆがみの診察と治療」、89年「鍼灸師 谷佳子氏に師事し「鍼治療と気の流れの診察方法」を学ぶ。97年から約150種類の漢方薬草を揃え漢方治療、98年からは薬草の効力別体配置図と効力の解析を研究。クリニックでは漢方内科治療と一般内科治療の併用治療を行っている。

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