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環境アレルギー対策で、さらに健康増進! 第4回「はじめての食物アレルギー」

加藤 美奈子加藤 美奈子

2020/05/08

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初めてアレルギー症状が出たとき、どうすればいい?

皆さんの周りに、食物アレルギーの患者はいますか? 今回は何か食べ物を食べたあとに初めてアレルギー症状が出たときの対応をお話しします。 

新型コロナウイルス感染防止による自粛生活のため、家で過ごされる方が増えていると思います。食事作りをご家庭でされている方、テイクアウトでお弁当を食べている方もいらっしゃると思います。何か食べたあとに体がかゆい、湿疹・蕁麻疹が出る、口がチクチクするなど違和感がある場合、すぐ「食物アレルギーかしら」と考えるのは避けましょう。まず、そのとき食べた物を記録し、症状の様子を写真に収め、医師に診断してもらうのがベストです。

体調不良でお腹がすぐれないときに脂分の多いものを食べて症状が出ることもありますし、サバなど青魚を新鮮なうちに食べず、古いものを食べたときになることもあります。一時的な症状か、食物アレルギー症状かを判断できるのは医師になります。ネット検索などをして病院を選びましょう。

本来はアレルギー専門医にかかるのが一番ですが、アレルギー専門医がいなければ、それらの症状に合わせて病院にかかりましょう。例えば皮膚の症状であれば皮膚科へ、お腹が痛く下痢などの症状あれば内科へ、といったように。 

食物アレルギーの発症機序は、主にタンパク質のアレルゲン(抗原)が体内に入ったときにアレルギー体質の人が過剰に抗原抗体反応を起こすことです。

子育てで大変なのが、乳児期に症状が発症した際の離乳食の準備です。朝昼晩の食事で、卵や小麦のアレルギーがある子どもの場合、簡単な料理がしにくく、すぐ手に入るパンを与えることができません。また、乳児期の子どもはまだ、やっていいことと、やってはいけない区別が分からない時期でもあるので、何でも口にいれて試してしまいます。家の中にアレルゲン物質(パン、お菓子など)を置くことは誤食で命に関わるため、お母さんが食べられるものでも、子どもが食べられない場合、なにかと気苦労しています。食物アレルギーの子どもを持つと、毎日ハラハラしながら緊張する日々を過ごすことが多いと患者会などで聞きます。

 

日本で一番症状の多いアレルゲンである「卵」/Keisuke Kai・123RF

日本で一番症状が多いアレルゲンは卵(38.3%)、続いて第2位は牛乳(15.9%)、第3位は小麦(8%)※1となります。食物アレルギーは食物を食べたときだけではなく、触ったり吸い込んだり注射として体内に入ったときに発症します。アレルギーの種類はⅠ型からⅣ型までがあり、食物アレルギーは、主にⅠ型の即時型が多く、60分以内に症状が現れます。 

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食物日誌を書いておくと便利

通常、問診とくに初診に関して、医師は長く時間をかけて患者や家族に丁寧に聞き取りをします。その際、下記のように食物日誌を書いておくと医師も診断しやすいです。 

1)何を食べたか?

2)どれだけ食べたか?

3)食べてから発症までの時間は?

4)症状の持続時間は?

5)症状の特徴は?

6)症状の再現性があるか?(同じような食品を食べたときに同じような症状を経験したか)

そして問診後の検査ですが、主に4つ挙げられます。

①血液検査:原因物質に対するIgE抗体の量を調べる

②皮膚テスト:アレルゲンエキスを皮膚に適下し、その部位を専用の針で刺し、アレルゲンを皮内に吸収させ反応を観察する

③食物除去試験:アレルギーを起こしていると考えられる食物を約1-2週間完全除去し、症状が改善するかどうか調べる

④食物経口負荷試験:原因と疑われた食物を摂取して症状が出現するかどうかを調べ、除去を続ける必要があるかを調べる

治療には、原因となるアレルゲンを正しく診断したあとの食事療法や薬物療法が挙げられます。食事療法は生活の質が保たれる範囲で必要最小限の食品の除去をします。また、経口負荷をさせて治療する方法で医師の指示のもと、アレルゲンを指定量食べ続けさせるものがあります。薬物療法は対症療法となり、その都度皮膚がかゆければかゆみ止め、咳がでれば咳止めの抗アレルギー剤を投与するなどがあります。 

周囲の協力も不可欠。「アレルギーありますか?」の声がけを

食物アレルギーがない人たちが、周囲の小さな子どもに対するお勧めの接し方は、「アレルギーありますか?」と一言声かけていくことです。何かお菓子をプレゼントしたい場合は、個包装され食品表示がきちんと書いたものをあげましょう。子どもで字が読めない低年齢の場合は親が判断することで子どもに与えやすくなります。

 

アナフィラキシー補助治療剤 「エピペン®」/Amy Kerkemeyer・123RF

もし周囲の子どもが「エピペン®」※2を持っている子どもがいたら、その子は誤食で重症化する可能性があることが分かります。エピペン®はアドレナリン自己注射薬のことで、アナフィラキシーを起こしたときに使用する補助剤です。アナフィラキシー症状とは、誤食により顔色が青白くなり喘息症状が出て下痢や嘔吐、意識が低くなるなど、食べて30分以内に起こり何も処置をしないと命に関わるものです。

食物アレルギー疾患のケアの特徴の1つに、周囲の協力がとても大切なことといえます。皆さん、周囲にそういう子がいたら、守ってあげましょう。

次回は、「化学物質過敏症とは」です。お楽しみにしてください。

※1「食物アレルギー診療ガイドライン2012」日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会より

※2(Mylanの登録商標)

 

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この記事を書いた人

春日井環境アレルギー対策センター 代表

子どもがアレルギー起因の喘息で入退院を繰り返した経験から、2011年にアレルギーをもつ子どもの育児をサポートする任意団体を設立。2018年、春日井環境アレルギー対策センターを設立し、健康住宅建築や既存建築物の空気質測定、室内空気環境品質検査認証などを中心に事業展開。アレルギー患者を一人でも減らすべく日々活動している。資格:看護師、環境アレルギーアドバイザー、シックハウス診断士

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