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定年後の出費を減らす 任意継続で健康保険料の負担軽減

小川 純小川 純

2019/12/09

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イメージ/©︎123RF

税金と健康保険料からは逃げられない

定年後、年金生活になったからといって、なくならないのが「税金」と「健康保険料」です。
会社に勤めている人のほとんどは、民間企業、公務員それぞれの職域保険に加入していて、定年後の健康保険は、次の3つの選択肢があります。

1つ目は、国民健康保険に加入する
2つ目は、現在加入の健康保険組合(共済組合)を任意継続する
3つ目は、家族の健康保険の被扶養者になる

どれを選ぶかは自由ですが、3つ目の被扶養者になるには条件があって、会社を勤め上げて定年した方であれば、年金収入あるため扶養家族になるのは無理でしょう。そうなると、選択肢は国民健保への加入か、これまでの健康保険組合への任意継続のいずれかになります。

一般的には退職直後の保険料は、退職前の給与額をもとに計算されるため、国民健康保険にすると退職直後は保険料が高くなります。とくに配偶者を扶養家族にしているのであれば、国民健康保険は世帯ごとで計算されるため配偶者の負担もかかってきます。

したがって、定年退職直後は、加入中の健保組合(共済組合)などを任意継続するほうが保険料の負担が少なくなります。

在職中は、健康保険料は会社と折半で、たとえば、1カ月の保険料が4万円であれば自己負担分は2万円。しかし、退職後は会社の負担分がなくなり、100%自己負担になるため、4万円すべてを負担しなくてはなりません。しかし、これでは負担が多すぎることから、任意継続の場合は、個人負担の上限金額設定がされています。この金額は見直されることもありますが、たとえば、協会けんぽ(東京都)の場合は、健康保険料(介護保険料含)の上限は、月額3万2732円(平成26年度)になっています。

健康保険組合によっては、この上限金額が低く設定されている保険組合もあるので、加入している保険組合などに確認してみてください。

任意継続であれば、これまで通り健康保険組合独自の健康診断(人間ドック)が受けられたり、スポーツクラブやリゾート地にある福利厚生施設の利用もできます。

ただし、継続期間の2年間は保険料に変更はありません。そのため収入が年金だけになって所得で計算される2年目も保険料はそのまま。注意点は、いったん任意継続を選択すると、国民健康保険に加入する、健康保険の被扶養者になるという理由でやめることができないということがあります。そのため2年目は、年金の所得に対して保険料が高くなります。

ただ、任意継続の保険料納付は厳しく、期日通り保険料を納付しないとすぐに資格を喪失してしまうということがあります。

定年後、再雇用――そのときの社会保険料は?

定年後、再雇用される場合の保険料はどうなるか?

再雇用された方に対しては、「同日得喪」という特例があります。これは定年退職後、再雇用された場合、社会保険料の算定基準が見直され、保険料が低くなるというものです。

フルタイムで働く場合は、前述の通り保険料は給与金額によって見直されますが、これまで通り厚生年金と健康保険に継続して加入することになります。

しかし、会社の保険に加入するには条件があるため、勤務日数や勤務時間を減らた場合は、加入できないことがあります。

具体的な条件は、①1日または1週間の労働時間が概ね正社員の4分の3以上であること、②1カ月の労働日数が正社員のおおむね4分の3以上であること、という2つの条件で、この条件を満たせば健康保険と厚生年金に加入可能ですが、そうでなければ健康保険については任意継続が国民健康保険への加入になります。

また、ここで注意が必要なことがあります。それは扶養になっている60歳未満の配偶者の年金です。健康保険については、会社の健康保険でも国民健康保険でも問題はありません。

しかし、配偶者が60歳未満だと扶養であっても、厚生年金(会社の社会保険)での3号被保険者とはならず、国民健康保険の1号保険となり、国民保険料の支払いをしなくてはならなくなります。

つまり、定年後は配偶者が60歳未満であれば、国民年金の負担が増えることになるのです。

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この記事を書いた人

編集者・ライター

週刊、月刊誌の編集記者、出版社勤務を経てフリーランスに。経済・事件・ビジネス、またファイナンシャルプランナーの知識を生かし、年金や保険など幅広いジャンルで編集ライターとして雑誌などでの執筆活動、出版プロデュースなどを行っている。

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