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高齢男性単独世帯、未婚率は約6割に。迫る「高齢・大独居時代」

朝倉 継道朝倉 継道

2024/04/20

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日本の世帯数の将来推計を公表

この4月12日、国立社会保障・人口問題研究所が「日本の世帯数の将来推計」を公表し、各メディアがその内容を伝えている。

なかでも、特にインパクトの大きな予測として取り上げられているのが、独居――すなわち一人暮らし・単独世帯の増加にかかわる数字だろう。それは、わが国人口の高齢化とも密接に絡み合ったものとなる。

要点部分を挙げていこう。

2033年、世帯人数は平均2人を割る

まず、1世帯あたりの平均人数だ。

2020年には2.21人だったものが、今から9年後の33年には2人を割り込んで1.99人となる。そのあと、47年には1.92人に達し、そのまま50年まで横ばいで推移すると予測されている。

ちなみに、世帯人数の平均が2を切るとは、どういうことだろうか?

単純には、一人暮らし――すなわち単独世帯が、他の人数からなる世帯に比べて圧倒的な数になることを意味している。数字を以下に掲げたい。

2050年には単独世帯が全体の約44%に

実は、単独世帯は20年にはすでに2,115万世帯を数え、他を大きく引き離している。割合も最大となっている。以下のとおりだ。(国立社会保障・人口問題研究所が、国勢調査に基づき公表している数値)

種類 世帯数 総数に対する割合
単独世帯 約2,115万1千世帯 38.0%
夫婦のみの世帯 約1,121万1千世帯 20.1%
夫婦と子の世帯 約1,401万4千世帯 25.2%
ひとり親と子の世帯 約502万6千世帯 9.0%
その他の世帯 約430万3千世帯 7.7%
世帯総数 約5,570万5千世帯  

これが、50年には以下の状況となる。(予測)

種類 世帯数 総数に対する割合
単独世帯 約2,330万1千世帯 44.3%
夫婦のみの世帯 約995万3千世帯 18.9%
夫婦と子の世帯 約1,130万4千世帯 21.5%
ひとり親と子の世帯 約485万2千世帯 9.2%
その他の世帯 約319万7千世帯 6.1%
世帯総数 5,260万7千世帯  

両者を比べると、各世帯のうち、単独世帯のみが数を増やしているのが分かる。割合も大きく増加している。すなわち、わが国は「大独居時代」へ向けて、ひたすら歩んで行くことになるとの予測だ。

5世帯に1世帯が「高齢・単独世帯」

大独居時代への歩みは、冒頭に記したとおり、わが国人口の高齢化とも密接に絡むものとなる。

まずは4年前・20年における「世帯主が65歳以上」の世帯の数と割合だ。以下のとおりとなる。(国立社会保障・人口問題研究所が、国勢調査に基づき公表している数値)

種類 世帯数 世帯主が65歳以上の世帯総数に対する割合
単独世帯 約737万8千世帯 35.2%
夫婦のみの世帯 約674万9千世帯 32.2%
夫婦と子の世帯 約297万4千世帯 14.2%
ひとり親と子の世帯 約191万2千世帯 9.1%
その他の世帯 約196万0千世帯 9.3%
世帯主が65歳以上の世帯総数 2,097万3千世帯  

次に、50年時点での予測だ。

 
種類 世帯数 世帯主が65歳以上の世帯総数に対する割合
単独世帯 約1,083万9千世帯 45.1%
夫婦のみの世帯 約636万3千世帯 26.5%
夫婦と子の世帯 約301万7千世帯 12.6%
ひとり親と子の世帯 約213万2千世帯 8.9%
その他の世帯 約169万0千世帯 7.0%
世帯主が65歳以上の世帯総数 2,404万1千世帯  

このとおり、単独世帯のみが割合を増やす結果となっている。よって50年時点では、以下のような状態になることが予測されている。

  • 高齢者(65歳以上)が世帯主の世帯 = 全世帯の45.7%
    (上記24,041千世帯 / 50年時点での予測総世帯数52,607千世帯)
  • 高齢者(〃)の単独世帯 = 全世帯の20.6%
    (上記10,839千世帯 / 50年時点での予測総世帯数52,607千世帯)

約四半世紀後のわが国においては、5世帯中1世帯が、高齢・単独世帯になるとの予測だ。大独居時代のアタマに“高齢”がつく「高齢・大独居時代」が、ほどなくやって来る。

高齢・単独世帯男性の6割が「未婚」

今回の推計では、高齢・単独世帯(65歳以上が世帯主の単独世帯)における「配偶関係別」の割合が、男女別に以下のように示されている。

まずは男性。

男性
2020年 未婚 33.7%
有配偶 8.8%
死別 33.0%
離別 24.5%
2050年 未婚 59.7%
有配偶 5.7%
死別 15.8%
離別 18.9%

このとおり、50年時点における「高齢・男性・単独世帯」においては、実に世帯主=当人の約6割が「未婚」だ。過去よりの増加ペースも著しい。

次に、女性。

女性
2020年 未婚 11.9%
有配偶 3.4%
死別 69.2%
離別 15.6%
2050年 未婚 30.2%
有配偶 2.9%
死別 45.9%
離別 21.1%

女性では、50年の数字として「死別」が最大となっている。しかしながら「未婚」も多く、約3割にのぼる。また、その増加も著しい。

とどのつまり、男女ともに、過去(まさに今現在も含む意味での過去)の未婚率の増大が重なることで、約四半世紀後にはこうした状況がかたちづくられているとの予測だ。

リーチに優れた制度設計を

以上、国立社会保障・人口問題研究所が先般公表した「日本の世帯数の将来推計」から、トピックをいくつか挙げてみた。

冒頭にも記したとおり、いずれもかなりのインパクトを持つものといっていい。とりわけ、最後にふれた「高齢独居男性・未婚率約6割」については、「衝撃」の言葉を添えてこれを報道するメディアもあるようだ。

もっとも、繰り返すが、衝撃は男性ばかりではない。女性もこの数字にあっては、述べたとおり約3割に及ぶとの予測がされている。男性の数字の前に霞んではいるが、こちらも実は大きな割合だ。

では、これら6割、3割という数字だが、われわれはやはり暗いものとしてこれを受け止めなければならないのだろうか。

その点について、国立社会保障・人口問題研究所が大事な示唆をまとめている。抜粋、引用したい。

「現在の高齢単独世帯は、過去の婚姻率や出生率の高さを踏まえればひとり暮らしといえども別居子がいる割合が高いことに加え、本人の兄弟姉妹数が多いことからも生存している近親者がいる可能性が高い。しかし、30年後の高齢単独世帯は有配偶・死別・離別でも子どものいない割合が高まることに加え、本人の兄弟姉妹数も少なくなるため、近親者が全くいない高齢単独世帯が急増すると想定される」

つまり、同研究所は、婚姻率の低さに加え諸条件も相まって、単に独居しているだけでなく、頼りとなる近親者がそもそもいない高齢者が将来増えることを指摘している。

これは、まさに重い課題といっていい。

なぜなら、国や社会が今後、たとえ高齢者へのサポートを今よりも格段に拡充し、近親者に頼らずに済む仕組みを増やしたとしても、近親者がいないゆえ、それを知ったり、それにアクセスしたりできない高齢者が増える事態も予想されるからだ。

すなわち、そうした問題も踏まえたうえでのリーチに優れた制度設計――もっといえば「サーチ」&「プッシュ」の能力に長けた社会設計が、われわれにとって急務となるだろう。

高齢・大独居時代が暗い時代となるかどうかは、わが国社会全体におけるそのあたりの手腕にかかっている。

紹介したレポートは下記でご覧いただける。

国立社会保障・人口問題研究所 日本の世帯数の将来推計(全国推計)令和6(2024)年推計

(文/朝倉継道)

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この記事を書いた人

コミュニティみらい研究所 代表

小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

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