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ウチコミ!タイムズ

利用者は20代、30代 カーシェアで賃貸住宅にプラスaの魅力

小川純

2020/08/01

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若者のクルマ離れが進むなか、利用者が増えているカーシェア

本稿は「ウチコミ!タイムズ・ジ・オーナー」2020年4月号に掲載した記事を転載したものです。

借りる側、貸す側にメリットのカーシェア

今では当たり前のようにいわれる若い人の自動車離れ。2018年にDeNAトラベルが10代から70代の男女に行った「若者の○○離れ」というアンケート調査で○○に入るワードで、もっとも多かったのが「車」の33%で、それに次ぐ「新聞」の13.2%、「読書」「結婚」の7.9%と比べてもダントツだった。

そんななかで利用が増えているのがカーシェアだ。カーシェアの市場動向を調査している「カーシェアリング比較360°」の調査では、カーシェア主要6社(タイムズカーシェア、 カレコ、オリックスカーシェア、カリテコ、ホンダエプリゴー、アースカー)の19年第4四半期(19年10月〜12月) のステーション数は19年9月末に比べ2.4%増加の1万7806カ所、車両台数は2.8%増加の3万5630台とともに増加しており、カーシェアの需要が増えていることを裏付けている。

こうした右肩上がりの成長を続けるカーシェア業界トップのタイムズカーシェアを運営するタイムズモビリティでは「14年から車の台数を年間3000〜4000台ぐらいずつ増やしています」(法人営業本部・田端洋文さん)と、この5年間でステーション、車両とも増やし、ステーション数は1万 3017カ所、車の台数は2万7457台 (19年末)と群を抜く。

タイムズのカーシェアというと、コインパーキングの「タイムズ」に車が置かれていると思いがちだが、それだけに限らない。

「タイムズの駐車場は6〜7割で、残り4〜3割は月極駐車場や、分譲・賃貸の集合住宅の駐車場に置いています」(田端さん)

なかでも台数を増やし始めた5年前からは、こうした月極駐車場や、分譲・賃貸の集合住宅の駐車場などに積極的に展開している。実際、14年にはUR都市機構、19年には大東建託と提携し、首都圏を中心に両社が管理運営する物件にカーシェアのステーションを増やしている。もちろん、こうした大手だけでなく、個人オーナーの賃貸住宅にも力を入れている。


タイムズモビリティ 法人営業本部 田端洋文さん

「14年以前からも賃貸住宅のオーナーさんからのカーシェアの車を置きたいという引き合いはあったのですが、積極的に応答していませんでした。しかし、車の台数を増やすなかで、むしろ今ではこうした 賃貸住宅のオーナーさんに、こちらから提案するようになっています」 (田端さん)

賃貸住宅へのカーシェアは、どのようなメリットがあるのだろうか。

17年にタイムズモビリティのグループ会社であるタイムズ24が行った調査によると、居住している集合住宅への入居決定の際、カーシェアリングが設置されていることが 「入居の後押しになった」と答えた人が45%いて、カーシェアリングの設置の有無が、入居先決定の際に重視する傾向にあることがわかった。


出典/2017年 タイムズ24 資料

さらに世代別では10代・20代と30代の9割近くが「設置を希望する」 としており、若い世代の車離れが強調されてはいるものの、やはり車のある生活を求めている一面も垣間見える。 また、17年、賃貸のマッチングプラットフォームを運営する「ウチコミ!」が賃貸住宅オーナーに行ったアンケートでも、「物件にカーシェアがついていたらその物件への注目度が「非常に上がる」「上がる」」と 答えたオーナーが85%以上と圧倒的な結果となった。つまり、カーシェ アリングは借りる側、貸す側にメリットがあるというわけだ。


出典/2017年 ウチコミ!「賃貸経営を行う駐車場所有者を対象とした カーシェアリングに対する意識調査」

導入の必要条件と契約までの手続き

では、実際にカーシェアを設置するための条件、手続きに必要なこととは何か。

「条件というとその場所でカーシェアリングをやって、事業収支が合うか合わないかが第一の条件になります」と田端さん。

 そのうえで実際には 個別ケースで異なるという。

「カーシェアは会員サービスなので、周辺にどのくらい会員がいるかというところをベースに社内でシミュレーションを行います」(田端さん)

とはいえ、周辺に会員がいないからNGになるというわけではない。田端さんがこう話す。

「周辺に会員がいなくても、それは当社のカーシェアがないから、会員がいないというようなこともあります。そうなればそこは新規開拓として考えることもあります」

また、地方などでマイカーが多いような地域では採算が合わないということから見送られる場合もあるが、これも一概にはいえない。

「たとえば、地方であっても駅から近い物件であれば、電車に乗って車を借りに来られる方もいます。当社は47都道府県でサービスを展開しているので、会員であれば全国どこのス テーションの車でも使うことができるので、駅の近くであれば出張や旅行の 需要も考えられます。また、マイカーの多い地域であっても、最近ではセカンドカーとしてカーシェアを利用する方も増えています」(田端さん)

さらに会員が少なくても、その地域にヘビーユーザーがいれば、採算はとれるという。一方、カーシェア設置にあたってはスペース的なものや、安全面での一応の規定はある。

「車両を置くスペースのサイズとしては、幅が2500mm、縦が5000mmという、一般的な駐車場のサイズ、設置道路については建築基準法で定められた、幅員は4m以上が基準になります。ただ、これも推奨サイズなので、最終的には現地調査をしてからの判断になります。また、安全面が重視されますので、駐車スペースに問題がなくても、その後ろや近くに電気設備や給排水設備などのライフラインにかかわるものがある場合などは、お断りすることがあります」(田端さん)

基本的な契約期間は原則1年で、毎年更新。解約については契約の段階で予告期間を取り決め、事前予告することで、契約期間中であっても双方ともにいつでも解約ができる。

とはいえ、現状では解約は少ないという。また、タイムズ側からの解約も「『それまであったのになくなった』と会員にご不便をかけたくない」ということから、これまではほとんどないという。気になるオーナー側の費用負担は、一切かからない。

「当社としてはあくまで車両スペースをお借りして、そこでカーシェアというサービスを運営するという形になるので、車両スペースの賃貸借契約を締結させていただくだけです。駐車スペースのペイントや、パイロンなど備品も当方の負担です」(田端さん)

要はタイムズ側と月極駐車場契約をしているようなもの。そのためカーシェアの売上分配はない。

「ご相談、現地調査から最終的なご契約までは2週間ほどなので、とにかくお問い合わせいただければと思います」(田端さん)

 他の賃貸住宅との差別化、空室対策として有効かもしれない。

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この記事を書いた人

編集者・ライター/ファイナンシャルプランナー

週刊、月刊誌の編集記者、出版社勤務を経てフリーランスに。経済・事件・ビジネス、またファイナンシャルプランナー(AFP)の知識を生かし、年金や保険など幅広いジャンルで編集ライターとして雑誌などでの執筆活動、出版プロデュースなどを行っている。 叶舎合同会社の代表を務める。 https://www.kanausha.tokyo/

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