中古マンションを買ってリフォームするときのお得な住宅ローンの組み方は?
横山晴美
2017/08/31
新築よりも「中古マンション+リフォーム」がおすすめ
© Monet – Fotolia
あまり知られていませんが、最近では中古マンション人気の高まりから、住宅購入の費用だけでなく、リフォーム工事費も通常の住宅ローンでまとめて借りるというのがスタンダードになってきています。
まずは中古マンションを購入し、住宅ローンをある程度まで返済したところでリフォームするというのもひとつの考え方です。借りられる資金に上限がある場合や、リフォームが必要ない住宅であればそれでもいいでしょう。
ですが、近いうちにリフォームをしたいし、借入額にも余裕があるのであれば、リフォーム費用を住宅ローンに組み込むことを検討してみてはいかがでしょうか。
マンション購入の選択肢が増える!
新築マンションか中古マンションかという二者択一だけでなく、「中古マンション購入+リフォーム」という選択肢を加えるだけで、購入候補となる物件の幅が広がることも大きなメリットです。
たとえば、購入する物件の条件として、「キッチンや壁紙がピカピカである」など、「新しさ」を求める場合には中古マンションは除外されがちです。ですが、近年のリフォーム技術は大きく進化しています。中古マンションといえども、購入時にリフォームを行なうなら、価格を抑えつつ、新築マンションに劣らない美しさを手に入れることができるのです。
「リフォーム費用を負担するなら、最初から新築マンションを購入したほうがいい」という考える人もいるでしょう。
ですが、リフォーム費用は予算に合わせてある程度調整することが可能ですし、中古マンションのなかに眠っているお宝物件に出会える可能性もあります。「新築」にこだわらず、物件探しをする意義は大きいといえるでしょう。
(おすすめ記事)
価格、立地が断然有利! いま新築より中古マンションを選ぶべき5つの理由
リフォーム費用は住宅ローンで借りるのがおすすめ
「住宅ローンの借入額をできるだけ抑えたいのでリフォームは後でいい」
「最初からリフォーム済みの中古マンションを購入すればいいのではないか」
と考える人もいます。
ですが、「中古マンション購入と同時にリフォームを行なうこと」と「住宅ローンにリフォーム費用を組み込むこと」には、知られざるメリットがあるのです。どのようなメリットがあるのか、具体的にご紹介しましょう。
中古マンション購入と同時にリフォームするメリットは?
リフォーム済みの中古マンションを購入する場合と、中古マンションを自分でリフォームする場合では、どちらにメリットがあるのでしょうか。
自分でリフォームする場合、不動産会社やリフォーム業者、さらには金融機関のやりとりを並行して進めなくてはならないので大変かもしれません。ですが、費用的には自分でリフォームしたほうがお得といえるでしょう。
なぜなら、売却前にリフォームをすませた中古マンションは、かかったリフォーム費用だけでなく、「リフォーム済み物件」という付加価値、言い換えれば「リフォームによって得られた“美しさ”」の分も価格に上乗せされてしまうからです。それならば、低い価格で購入して、自分でリフォームしたほうが経済的でしょう。
また、購入と同時のリフォームであれば、自分好みにカスタマイズできるため、住宅購入の満足度は高くなるでしょう。予算に合わせてリフォームできる点も重要です。
さらに、自分でリフォームした場合、リフォーム部分の耐久年数も把握できるため、将来の修繕やリフォームの計画も立てやすいといえます。
住宅ローンにリフォーム費用を組み込むメリット
次に、リフォーム費用を住宅ローンに組み込むメリットを見ていきましょう。
<メリット1> 金利が低い
住宅ローンにリフォームローンを組み込む最大のメリットは、金利の低さです。住宅ローンはリフォームローンに比べて金利が低く、かつ返済期間が長いのです。つまり、毎月の返済額の圧縮が図れます。
<メリット2>手続きが一度ですむ
住宅ローンにしろ、リフォームローンにしろ、融資を受けるためには審査がありますし、融資が承認された後には抵当権の設定などの諸経費がかかります。ローンを別々にすると、これらの手間も二倍になります。
リフォーム一体型のローンを組めば、そのような面倒な手続きも一度ですますことができます。また、返済も一本化されるため、返済計画が立てやすいことも重要なポイントです。
<メリット3>「デメリットを回避できる」というメリット
中古マンションを購入した後、「住宅ローンの返済が落ち着いてからリフォームしよう」と考えると、思わぬ壁にぶつかることがあります。
部屋や設備の傷みが想定していたよりも速く進んでしまい、予定していたよりも早くリフォームの必要に迫られた場合を考えてみてください。住宅ローンの返済は進んでおらず、その返済に加えて、リフォーム費用の捻出や、新たに借り入れたリフォームローンの返済を行なうのが厳しいという状況に陥ってしまう可能性もあります。
築浅のマンションで明らかにリフォームの必要がない、というケースならば別ですが、そう遠くない将来リフォームが必要なのであれば、住宅ローンにリフォーム費用を組み込めるようにしたほうが安心といえるでしょう。
(おすすめ記事)
中古マンション購入で失敗! ありがちな5つのケースと注意点をプロが解説
リフォームローンと住宅ローンを比較すると?
© Y's harmony – Fotolia
リフォームローンと住宅ローンの違いはどのような点でしょう。なお、ここで比較するリフォームローンは、カードローンやフリーローンなどは除き、金融機関のものに限定して考えます。
住宅ローンの特徴は、返済期間が30〜35年と長く、金利も1%前後と低いことです。そして借入上限が1億円程度と大きくなります。
一方、リフォームローンの特徴は次のようになります。
・借入期間:10〜15年
・金利:2〜3%程度
・借入上限:500〜1000万円
・借り入れまでにかかる日数:早ければ一週間程度
・審査:住宅ローンよりはゆるいが、カードローンなどと比較すると厳しい
リフォームローンは、返済期間が短く、金利が高い分、審査にかかる日数は短く、審査基準はゆるいという側面があります。しかし、審査にかかる日数が多少長くかかり、審査基準が厳しくても、返済期間が長くて金利が低いほうが返済の負担は小さくなります。
リフォームだけでも住宅ローンは利用できるの?
住宅ローンの優位性を知ると、すでにマンションを所有していて、リフォームを検討中の人も、リフォーム資金の借り入れに住宅ローンを利用できないかと考える人も多くいらっしゃいます。
実は、マンションをすでに購入してしまった後でも、リフォーム資金を住宅ローンで借りることは可能です。それには、どういったケースがあるのでしょうか。
(1)住宅ローン返済中の場合
住宅ローンの返済中であれば、リフォーム資金を上乗せして借換えをすることができます。また、返済中の金融機関にリフォーム費用の組み込みを要請することもできます。
前者は住宅ローンの借り換え効果によっては、リフォーム費用を上乗せしても毎月返済額が変わらないというケースもあります。後者は、すでに返済中の住宅ローンにリフォームを組み込むため、審査が楽で手続きがスムーズだったといった話をよく聞きます。
(2)新規でリフォーム費用だけを借りるケース
住宅ローンを抱えていない状態で、新たにリフォーム費用だけを借り入れしたいという場合でも、住宅ローンを利用できる余地があります。
すべての金融機関で対応してくれるわけではありませんが、担保価値や審査基準を満たせば「リフォーム資金のみ」を住宅ローンで借りることが可能です。
おそらく、最も合理的な方法は、中古マンション購入と同時にリフォームを行ない、マンション購入資金とリフォーム資金を一本化した住宅ローンを組んでしまうことでしょう。ですが、購入後に時間を空けてリフォームする場合でも、やりようによってはローン返済の負担を抑えることが可能なのです。
住宅ローンは、あらゆるローンのなかで、抜群に金利メリットが大きいものなので、可能な限り利用していきたいところです。
中古マンションのリフォームで住宅ローンを借りる場合の注意点は?
中古マンションに限らず、中古物件の借り入れで注意したいのは、その物件の担保価値です。金融機関は、担保価値に見合った額しか融資してくれません。また、担保物件の価値に応じて借入期間が短くなることもあります。
中古マンションの購入資金だけを借り入れるのであれば、借入額や借入期間が減ってもそう問題ないかもしれません。担保価値が少ないということは、通常、それだけ購入価格も下がることになるからです。
ですが、リフォーム価格を上乗せして借り入れる場合には、「希望通りの金額が借りられず、資金不足になってしまう」、「借入額に対して返済期間が短く、毎月の返済額が高額になってしまう」といった懸念もあります。
そうした事態に陥らないためにも、できるだけ担保価値の高い物件、つまり、資産価値の高い物件を選びたいです。
(おすすめ記事)
人口減少時代に30年後も資産価値が落ちない住宅の4つの条件
【フラット35】を利用するときはここに注意しよう
中古マンションの購入であっても、【フラット35】を利用することは可能ですし、リフォーム一体型の【フラット35】もあります。
しかし、【フラット35】の融資を受けるには、住宅の耐久性や品質についての厳しい技術基準をクリアしなければなりません。
【フラット35】のサイトでは、物件審査に合格している中古マンションを検索することができるので、検索して、意中の中古マンションが掲載されていれば、心配は不要です。
ただし、そこに載っていない中古マンションの場合は、新たに物件検査を受けて適合物件であることを証明する必要がありますので注意しましょう。
これまで見てきたように、「中古マンション購入+リフォーム」という選択肢を加えると、物件探しの幅が広がります。さらに、中古マンションを購入する際に、物件価格だけでなく、リフォーム費用も込みで住宅ローンを借りることができれば、初期経費はかかるかもしれませんが、トータルコストは低く抑えることができます。
「中古マンション+リフォーム」という購入方法を積極的に検討してみてはいかがでしょうか。
(おすすめ記事)
「物件の募集図面」を見れば不動産会社の裏側が手に取るようにわかる!
住宅ローンの頭金はどれくらいあればいい? 物件価格の2割が必要って本当?
空き家率30%時代になっても、「賃貸」より「持ち家」が有利な4つの理由
この記事を書いた人
ライフプラン応援事務所代表
ファイナンシャルプランナー(AFP)、住宅ローンアドバイザー。企業に属さない独立系FPとして、2013年ライフプラン応援事務所を立ち上げて以降、住宅相談を専門に扱う。マイホーム相談では保険見直し、教育費、退職後プランなど総合的な視点で資金計画、および返済計画を考案。相談業務のほか、セミナー講師、執筆業など情報発信、啓蒙活動にも力を入れている。 「自分の家計は自分で守る」をモットーに、丁寧でわかりやすい面談が好評。 また、給付金や控除など、消費者のための制度を調べるのが得意で、「ここが使いにくい」「誰のための制度なのか」などとケチをつけるのが好き。