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マンションを購入する際、注意すべき点は何か?

マンション購入 モデルルームに行く前の4つのチェックポイント+α

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イメージ/©︎dit26978・123RF

変わるモデルルーム見学の風景

引っ越し転勤シーズンの3月、久しぶりに千葉市内の新築マンションのモデルルームに立ち寄ってみた。ところが「予約がないとご覧いただけません」と断られた。その後、別のマンションの販売センターにも電話をしてみると、そちらでは「まずオンライン登録をしたうえで、翌週以降の予約をしてほしい」とすぐにはできないと断られた。

少なくとも、数年前まではモデルルームの見学は予約などしなくても歓迎された。駅前でチラシを配ったり、住宅情報誌と提携して来場者に商品券を配ったり、あらゆる手段を講じて集客していた時代が懐かしい。

当時はモデルルームに大勢の来場者が来て、賑わっている光景も重視されていたのだ。今はコロナ禍で密を避けるためという理由もあるが、首都圏でのマンション供給戸数がピーク時の3分の1程度まで減っていることもあり、売る側にもお客を選別できる余裕がでてきたのかもしれない。

さて、そんな状況を考慮すると、マンショ購入にあたって、とくに初めての購入者はなおさらだが、モデルルームにはすぐには行かないように「ディベロッパー側の裏事情」からアドバイスしていきたい。

物件購入にあたっては、インターネットや住宅情報誌などでたくさんの情報を集め、気になるいくつかの物件をリストアップ。そして、はやる気持ちを抑え、モデルルームには寄らずに、まずは現地周辺の環境調査を行うことをお勧めする。

「周辺だけを見て後日モデルルームに行くなんて二度手間」などと思ってはいけない。平日・休日それぞれ朝・昼・晩と様々な条件で何度も足を運ぶ人だっている。頻繁にオフィスへ出勤する人なら、通勤時間帯に現地から駅まで歩き、電車に乗って通勤してみるのもいい。

在宅勤務の多い人は近所でテレワークをしてみよう。近くの公共施設やお店などに入って、ちょっとした世間話をしてみることで地域の住環境、学校の評判、買い物の利便性など様々な生の情報を得ることができる。

最初にモデルルームに行ってはいけない理由

新築マンションのモデルルームには百戦錬磨のセールスパーソンが待ち構えている。映像や模型を交えて、豪華な内装・設備に飾られたモデルルームを案内。あっという間にあなたをその物件の虜にしてしまうだろう。

豪華な家具、家電、装飾品でホームステージングを施し、部屋を広く見せるために壁に設置した大型の鏡……しかし、これらの設備や備品は別売りのオプション品ばかり。あなたが実際に購入する部屋はまったく別の風景になると思うべきだろう。

また、素人が思いつきそうな質問に対しては完璧な想定問答集が用意してあるのか、何でもポジティブな回答が返ってくる。不動産営業に慣れていない人など、マインドコントロールされてしまうので、そのような状況になる前に多くの物件を冷静に比較しておくことが大事なのだ。そして、自分なりのチェック基準を頭に入れた上で、なるべくなら優先順位の低い物件からモデルルームを訪問しよう。

モデルルーム訪問前のチェックポイント

物件の周辺環境のチェックにあたっては、現地の地図、カメラ、チェックリスト、メモ帳などを持って行き、以下のポイントをチェックする。

チェック1:周辺の道路事情の確認

通勤・通学・買い物などの経路となる生活道路の見通しの良さ、歩道・自転車道の有無、信号・ガードレールの設置状況、夜間の街の様子や街灯などをチェック。子どものいる家庭では通学路の安全性も大切だ。

また、マンション近辺に高速道路や幹線道路がある場合は交通量や騒音・排ガスの実態も調べておきたい。鉄道と違い、道路には休みがない。交通量の多い道路に面していると365日24時間、逃れることができず、許容できるレベルか、どのような対策が施されているかなども調べておきたい。

チェック2:最寄り駅からの所要時間

「最寄り駅から徒歩○分」という所要時間は、マンションにおいて駅に最も近いエントランスから駅までの距離を80m/分で計算している。高齢者や子どもから見れば早い感じだ。距離は同じでも坂道や信号、踏切、歩道橋などがあれば本当の所要時間が違うし、地下鉄などでは駅に入ってから、ホームまでの時間がかかることもあるので、実際に歩いて測ることが大切だ。中でも大規模物件やタワーマンションの場合は、自宅玄関からエントランスまでの時間を加えた所要時間は表示よりもかなり長くなることがある。タワーマンションでは高層階専用エレベーターの有無も要チェックだ。高層階に住む友人は、物件概要に表示の所要時間は駅徒歩8分なのに、実際にはエレベーターでロビー階まで降りエントランスを通り抜けるだけで7~8分かかることが多いと嘆いていた。

チェック3:周辺の土地・建物の状況

眺望や日当りの優先順位が高い人は、隣接地(特に南側の土地)の現状や建替え・増築の可能性をチェックする。また、隣接地に限らず周辺の用途地域を調べ、何が存在するかだけでなく、将来どのような建物が建設される可能性があるか、地域の都市計画や高さ制限まで考えてみる。投資物件購入であれば、これはなおさら当然の視点だ。

チェック4:物件周辺のポイント

家族構成やライフスタイルによって優先順位は異なるが、学校や習い事など教育環境、公園やスポーツ施設、図書館、音楽ホールなどの公共サービス、買い物・レジャーなどの商業施設の有無なども、建設地周辺を訪問する際のチェックポイントになる。

長く暮らすつもりで5年後、10年後、20年後の状況も想像してみる。例えば、若いカップルにとって、現在は通勤やレジャーの利便性が優先かもしれないが、5~10年後のことを考慮すると、病院であれば産婦人科・小児科、公園、幼稚園・保育園、学校や塾などの重要度が高まっていることが予想される。中高年層の場合は、20年ほど経てばバリアフリーの必要性、近所での買い物、医療施設へのアクセスなども気にとめておきたいポイントである。

新型コロナによってテレワークが推奨され、コロナ後も在宅勤務対応も重要になるだろう。とはいえ、夫婦2人または夫婦+子どもの3~4人が同時にオンラインで仕事や学習をする環境をマンション内だけで整えることは大変だ。それにたまには息抜きも必要で、それには仕事もできるカフェ、あるいは家族に気兼ねせずテレワークができるコワーキングスペースやレンタルボックスなどが近所にあると便利で、こうした点もチェックポイントになる。

忘れていけない管理費と長期修繕計画

「マンションは管理を買え」

というのは、住宅情報誌などによくあるアドバイスだが、購入時にこのアドバイスをどのくらいの人が本気で受けとめているだろうか。実際に物件の検討を始めると立地、価格、間取り、周辺環境などはしっかり検討するものの、管理はどうしても後回しになってしまうことが多いようである。

中古マンションであれば、駐輪場やゴミ置き場などから管理状態が判断できる。現地訪問の際は、自転車が決められたスペース内に整然と置かれているか、ゴミ置き場は正しく分別され清潔に維持されているか、そして、全体的に植栽の手入れや清掃は行き届いているかなどをチェックポイントになる。

物件概要などの資料からは、管理費、修繕積立金、駐車場料金などが分かるが、修繕積立金や駐車場料金が極端に安い物件は要注意だ。

マンションを購入する際には、頭金と諸費用の他、継続的に支払う住宅ローン、保険料、税金、管理費、修繕積立金、駐車場料金なども計算して購入可能な価格の判断をすることになる。給料が順調に増えていた時代ならともかく、収入の伸びが少ない割に、税金、社会保険料、教育費などが上昇している現代は相当な余裕を持って資金計画を立てる必要である。住宅ローン審査をギリギリ通るかどうかの人にとっては、修繕積立金や駐車場の安さは追加負担の可能性があり将来の破綻リスクであることを肝に銘じてほしい。

ディベロッパーにとっては、物件を早く売り切ることが重要で、購入者が将来にわたってローンを返済できるかどうかまでは関係ない。そのためほとんどの新築マンションでは修繕積立金がかなり低めに設定されている。将来、これが大幅に引き上げられるケースが多いことを理解しておくべきである。

中古マンションの場合は、月々の支払いに加えて、全体の修繕積立金残高、管理費等滞納者の有無とその合計金額、長期修繕計画、修繕履歴、管理組合の活動状況などを調べることで新築マンションの場合よりも物件の良し悪しの判断が容易となる。

駐車料金もチェック!

駐車場料金が月1000円などというマンションのチラシを見たことがないだろうか。

月々の支払い金額が安ければ住宅ローン審査も通りやすく、負担感も軽いが、駐車場料金はディベロッパーや管理会社に支払うわけではなく、修繕積立金と同様に管理組合に入り、駐車場の維持管理や将来の修繕などに備えるための資金となる。それら経費が管理費や修繕積立金から支払われるものは、駐車場を利用しない区分所有者までが負担していることに気付いてほしい。駐車場管理が資金不足となればこれも大幅値上げになるかもしれない。

管理規約、使用細則などは難しそうで敬遠されがちだが、管理規約を甘くみてはいけない。たとえば、ペット禁止の規約があるにも関わらず、「今どきはペットを飼うのは普通だから入居後にペット好きの人たちが集まって規約を変更すればいいですよ」などと言うセールスパーソンがいたら、そんな人からは買わないほうがよい。

管理規約の変更には4分の3の賛成が必要で、簡単にできるものではない。特にペット禁止マンションにはペット嫌いの人がわざわざ選んで買っている。そうなればペットを認める規約変更など難しい場合がほとんどである。

さらに同じマンションの中に億ション、ファミリータイプ、ワンルームなど様々なタイプの部屋が混在し、価格差が大きい場合も要注意だ。

富裕層は、ホテル並みのコンシェルジュサービス、24時間有人管理などいくらお金が掛かっても手厚いサービスを求めることが多いが、むしろ、賃貸オーナーを含めて負担をできるだけ減らしたいグループ、管理にまったく興味のない人々など、考えがバラバラで、管理組合がまとまらないこともしばしば見られる。なるべく同じような価値観を持つ人が多く購入するマンションを買うことも管理上のトラブル回避になる。

マンションは高い買い物。だからこそ、これらのポイントをしっかり押さえて、いい物件に巡りあってほしい。

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この記事を書いた人

都市開発・不動産、再開発等に関係するプロフェッショナルの集まり。主に東京の湾岸エリアについてフィールドワークを重ねているが、全国各地のほか、アジア・欧米の状況についても明るい。

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