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契約・工事で知っておくべきこと(3/3)

工事の開始時・最中にチェックすべきこと

山田章人山田章人

2016/01/29

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大事なのは仕様の確認

 着工後の一番大きなトラブルは、仕様の確認を怠ったばっかりに、後から揉めてしまうパターンです。

 スケジュールが詰まってくると、建て主は焦ってしまい冷静に考えられなくなってしまいます。同時に業者も早く進めないと工事費の振り込みも遅れてしまうこともあり、まずは着工してから仕様をおいおい決めるということもないわけではありません。

 工事が始まってから仕様を決めていくのでは、ゆっくり考える時間もありませんし、間取りの変更などもできません。そして「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまうのです。

 このようなトラブルにならないためには、着工前にすべての仕様をしっかり決めておくことです。そして、建物の周辺(外構など)についての予算も確認しておくと、資金的なトラブルも回避できます。

工事前に近隣住民への挨拶を忘れずに

 また、近隣住民とのトラブルは絶対避けたいところです。

 工事中は、騒音や人の激しい出入りなどで、近隣住民にも落ち着かない思いをさせることになりますので、工事前の最初の挨拶が肝心です。後々長く近所づき合いをすることになるのですから、将来の住人としての自覚を持って挨拶に行きましょう。

 挨拶は業者の営業マンなどに同行してもらい、工事のスケジュールや騒音が出そうな時間帯なども説明してもらいます。持参するものは、「ご挨拶」とのしをつけたタオルや菓子折りが一般的で、予算は1件 500~1000円です。

工事前の大切な行事・地鎮祭

 工事前には、工事の無事を祈るために、その土地の神様を鎮める地鎮祭を行ないます。

 一般的には着工前の吉日を選び、地域の神社の神主を招いて行ないます。参加者は、建て主とその家族のほか工事関係者です。費用は神主への玉串料が1万~2万円、供え物も同額程度です。工事関係者にもお礼を渡すことがありますが、そのときは5000~1万円が目安になります。

 そして、基本構造ができあがったときに上棟式を行なう場合もあります。これは、今後の工事の無事と職人への感謝を表す儀式で、もともとは神社にお願いするものでしたが、工事関係者だけで行なう場合も多いようです。最近の傾向としては、地鎮祭のみを行なうというパターンが多くなっています。

工事中もチェックを忘れずに

 最後に着工後のチェックポイントを紹介しておきます。

 建築家に依頼した場合、設計図通りかどうかを建て主の代理人で監理者として細かくチェックしてくれます。

 設計と施工が同じ会社の場合、通常の会社なら社内の検査としてチェックはしますが、大きな会社になればなるほど、ひとりの現場監督が抱える案件が多くなり見落とす可能性もあります。

 重箱の隅をつつくようなチェックは必要ありませんが、目安として、図面でわからないことを聞くという範囲で設計担当者または現場監督に聞いてみてください。それだけでも、気が抜けないなという空気が現場に生まれます。

 まず、必ずチェックしておきたいのは電気のスイッチ・コンセントの数・高さです。設計段階で確実にすべてのチェックをすませているのがベストですが、着工後でも若干の変更は可能です。ただし、電気の容量、配線のルートなど簡単にいかない場合もあります。

 高さなどは指定しない場合、一般的な高さとして進んでしまう場合があります。ペット対策や、使う機器のために高さをきちんと指定したに場合は、ちゃんと指定の高さについているかどうかのチェックはしておいたほうがよいかもしれません。あくまでも、設計段階でのしっかりとした打ち合わせを忘れずに。

 現場では、建て主はお施主さんとして絶対の立場にあります。かといって、現場で職人さんに「ああしてほしい、こうしてほしい」と追加や変更は言わないほうが賢明です。必ず、同行の建築家または現場監督を通してください。現場の、お金のことも含めたすべてが頭に入っているのは現場監督です。職人さんは自分の範囲のことはわかりますが、それ以外はわかりません。

 たとえば、現場でコンセントや通風口の位置を少し変更してずらしてほしいと目の前の職人さんに言った場合、施主の言うことだからと何とかしてくれるかもしれません。でもその変更した位置には、他の部材を取り付ける予定になっているのかもしれません。これでは後から現場で責任問題となるので気をつけてください。

 世間話や、興味としての質問はいいのですが、指示となる話は控えたほうがよいです。それでも、できるだけ作業の邪魔にはならないように配慮はしてあげてください。

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この記事を書いた人

一級建築士

5人建築家コンペでの家づくり 家escort京都 代表。 省エネ住宅診断士。 一級建築士事務所にて、神社仏閣から商業建築、住宅まで幅広く設計監理業務に従事した後、独立。2005年より、それまでの経験から、いい建物づくりには住まい手と設計者、施工者の相性のよい結びつきが不可欠と考え、住生活エージェントに専念。 住まい手が、自ら相性の良い建築家と施工者を選び出すのは至難の業であるという考えのもと、住まい手目線を基準に最適な建築家と施工者を結びつける代理人を目指す。自らの立場を、販売代理店ではなく、購入代理店と位置づけている。住まい手にとって最適な住宅とは何かを考え、老後までを考えた資金計画、不動産業者とは違う目線での土地探し、まだ施主様すら気づいていない好みや個性を引き出し最適な空間を生み出す工夫など、家づくりの準備を充実させることによって、結果、生涯心地のよい住まいを手に入れていただくことをミッションとして活動している。

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