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物件購入の決め手に「重要事項調査報告書」――そこから何を読み取り判断すべきか(1/2ページ)

斎藤 岳志斎藤 岳志

2020/09/14

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©︎maru123rf・123RF

「重要事項調査報告書」の3つのチェックポイント

マンションの購入、投資にあたっては、個々の物件について情報を集めることは重要ですが、加えてマンション全体についても事前に知っておくこともとても重要です。

個々の物件の履歴を確認するのが「登記簿謄本」とすれば、マンション全体の管理状態や、履歴、現状を確認するのが「重要事項調査報告書」です。

この書類は不動産会社から建物管理会社に依頼してもらって取得することができます。区分マンションの物件を購入する際は、「この書類をチェックしないで買うのはゼッタイにNG!」といっても過言ではない書類です。むしろ、個々の物件の登記簿よりも先にチェックしておきたいものです。

とはいえ、どのタイミングでチェックさせてもらえるかは、営業担当者の裁量や会社の考え次第という部分もあります。しかしながら、タイミングはともかく、これをチェックする前に契約することは絶対にしてはいけません。

そんな重要事項調査報告書でとくに注目したいチェックポイントは次の3つです。

1)修繕積立金の残高
2)建物全体での滞納状況
3)過去の修繕履歴

修繕積立金の残高は多いに越したことはありません。しかし、金額が少ないと思っても、以前に行った修繕内容によるので、その点で考慮すべきでしょう。例えば、修繕履歴でフルメンテナンスが直近で行われているなどの記載があり、それが妥当ということであれば問題はありません。

2つ目の延滞状況というのは、滞納金額は多いということは、ほかの所有者がマンション力の維持に対する意識が低いということにもなります。あるいは、管理会社の管理体制など、管理会社をチェックするうえでの見極めのポイントにもなります。

そして、1)、2)をチェックしたうえで、3つ目のポイントである「過去の修繕履歴」という全体を見ておくことにつながるわけです。

つまり、過去の履歴からは、物件全体の維持・管理に対する意識の高さが確認できます。物件管理とは、即ち資産管理で、それがきちんと行われているかの確認は購入する際の判断材料にもなります。

中でも詳しく見ておきたいのが修繕履歴です。

フルメンテナンスの大規模修繕工事は12~15年に1度のペースで行われているかが目安になります。調査報告書を見て、「大規模修繕工事の間隔が空いている」というようなことがあれば、その理由について営業担当者を通じて管理会社に確認すべきでしょう。

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この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

FPオフィス ケセラセラ横浜代表 百貨店在職中にファイナンシャル・プランナーの資格を取得。税理士事務所、経営コンサルティング会社などを経て、FPオフィス ケセラセラ横浜を開設、代表を務める。 マイホーム購入・売却相談のほか、不動産投資のサポートも行なっている。株式投資やFXなど一通りの投資を実践した後、2007年より不動産投資をスタート。現在は、自らの資産運用はほとんど中古マンション投資に絞って取り組んでいる。

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