建物、工作物の景観に対する条例

街並み

不動産投資には、さまざまな法律や条例を知っておく必要があります。その中でも、建築基準法や、消防法と言った法律は有名です。この他にも景観法や、景観法を基礎にしたさまざまな条例があります。今回は、この景観に関する条例についてご説明します。

条例なので建物の場所によって適用される条例が変わります。また、市区町村によっては、条例を制定せず、景観法と建築基準法で規制しているところもあり、自己の投資物件はどの範囲において条例の適用を受けるのか、または、条例が制定されていない地域なのかを知っておく必要があります。

もちろん、不動産を数個に持っている投資家は、各物件について調べる必要があります。例えば、東京都港区に物件を持っているなら東京都景観条例、港区景観条例が適用され、京都府ならば、京都府景観条例が適用されます。実は、この景観条例が適用されている建物や、工作物は身近に存在しています。京都市では、コカ・コーラ社の自動販売機の色が赤色ではなくて茶色になっており、町並みに沿った色に変更されています。この他にも鎌倉市の海沿いには白い看板の吉野家が存在していたり、飛騨には各社コンビニの看板が白黒になっている光景が街中で見受けられます。

街を散策して、チェーン店の看板の色が違っていたりした場合は、この景観条例が適用されている場合なのかもしれません。

では、不動産投資について景観条例まで把握する必要が本当にあるのでしょうか。 不動産購入時に、すでに景観法違反の建物や建築基準法違反の建物の場合には、重過失がない限り、錯誤無効(民法95条)による契約の白紙化、瑕疵ある物件として契約の取消や損害賠償を請求することなどが考えられます。

しかし、一度購入した不動産を賃借人が退室したタイミングでのリフォーム(特に戸建賃貸の場合)や増築、改築する場合には注意が必要です。

なぜならば、景観法76条は、形態意匠について条例で制限をすることができると規定しています。形態意匠の制限とは、建築物や工作物の色彩(色の統一や目立つ色の禁止など)、素材(木で統一するなど)、形態等を制限することにより、町並みに調和を持たす、圧迫感を持たせないようにすることを目的とします。このことから、建物のリフォームや増改築の際には事前認定を求める条例が多く、不認可をうけた建物は、認可が下りるように建築計画などの変更をしなくてはなりません。また、建築した後に罰金刑を支払う必要がでてくることのある条例などもあります。

このように、自己所有の不動産であるからといって、好きな色や好きな構造に変更することが禁止されている場合もありますので、建物購入時に確認しておいたほうがいいでしょう。特に、観光地で有名な場所は、景観条例の適用範囲が広いという傾向にありますのでこのことも頭に入れて物件選びから条例のことを気にかけるといいでしょう。

この記事のコラムニスト

森田雅也
森田雅也(弁護士)
弁護士法人法律事務所オーセンス 弁護士(東京弁護士会所属)。
上智大学法科大学院卒業後、中央総合法律事務所を経て、弁護士法人法律事務所オーセンスに入所。入所後は不動産法務部門の立ち上げに尽力し、不動産オーナーの弁護士として、主に様々な不動産問題を取り扱い、年間解決実績1,500件超と業界トップクラスの実績を残す。不動産業界の顧問も多く抱えている。一方、近年では不動産と関係が強い相続部門を立ち上げ、年1,000件を超える相続問題を取り扱い、多数のトラブル事案を解決。 不動産×相続という多面的法律視点で、相続・遺言セミナー、執筆活動なども多数行っている。
[著書]「自分でできる家賃滞納対策 自主管理型一般家主の賃貸経営バイブル」(中央経済社)。
[担当]契約書作成
森田雅也は個人間直接売買において契約書の作成を行います。