BOOK Review――この1冊 『人生を変えるサウナ術 なぜ、一流の経営者はサウナに行くのか?』 本田直之・松尾大 著
BOOK Review 担当編集
2020/01/09
サウナは熱いし、息苦しくなるから少ししか入れない……。
本書は、そんな人にこそおすすめしたい一冊だ。著者の本田直之氏と松尾大氏は、共に経営者として多忙な日々を送るかたわら、20年以上にわたってサウナに入り続けてきたという生粋のサウナ愛好家。近年の愛称では「サウナ―」だ。好きが高じて、サウナイベントのプロデュースや、サウナーのためのアパレルブランドの立ち上げなど、サウナの良さを多くの人に伝えるビジネスを展開している二人いわく、サウナの最大の効用は「ととのう」ことだ。
「ととのう」とは、「心と身体がリフレッシュされた、調和のとれた理想的な状態」で、前向きなマインドで毎日をハッピーに過ごすために欠かせないものだと、本書は指南する。それに加えて、思考が研ぎ澄まされてクリエイティビティが刺激され、よいアイデアが生まれやすくなるためか、サウナ―の中には、ビジネスの第一線で活躍する経営者やクリエイターも多いという。サウナで日常的にととのうことは、ビジネスと人生を謳歌するための、かけがえのない味方となってくれるのだ。
事実、サウナの効用は、疲労回復やリフレッシュ、免疫力が向上するといったフィジカルなものから、自律神経が鍛えられて精神が安定する、デジタルデトックスをしながらマインドフルネスの効果を得られるといったメンタルなものまで、実に幅広い。こうした効用が相まって、心身がととのい、何物にも代えがたい快感を得られるのだ。一度ととのうことを経験すると、すっかりやみつきになり、サウナ―としての道を歩み始めるのだという。
ととのうためのサウナの入り方を、肩の凝らない言葉で解説する本書は、サウナ初心者のための、心強い指南書の役割も果たしてくれる。
基本のサイクルは「サウナ→水風呂→外気浴」だ。外気浴とは、イスなどに腰掛けて休憩すること。サウナと水風呂で交感神経優位になっている身体を、副交感神経優位に導くためのプロセスであり、ととのうためには欠かせない。
時間の目安は「サウナ:水風呂:外気浴」で「4:1:5」程度。これを1~3セット程度繰り返す。しかし、サウナはあくまでも気持ちよくなるために入るものなので、我慢は禁物。自身の感覚に従い、好きなように入ってよいという。まずは本書を参考にしながらサウナの入り方を身に付けつつ、慣れてきたら、自分なりのリズム、入り方をみつけるのもサウナ―の醍醐味だろう。
巻末には、国内はもちろん、海外のサウナまで堪能してきた著者二人のおすすめサウナが掲載されている。首都圏だけでなく、各地のサウナ施設も紹介されているのもうれしい。海外のサウナも紹介されており、水風呂代わりに湖や海に飛び込むという本場、フィンランドのサウナ施設は開放的で周囲の景色も素晴らしく、「いつか行ってみたい」と胸が躍る。サウナ専用施設だけでなく、銭湯やスパ、ホテルに併設されたサウナなど、ととのうための環境のそろったサウナは世界各地に存在し、価格帯や雰囲気も様々だ。サウナを目的とする旅、「サ旅」に出かけるのも楽しいだろう。
サウナの魅力に目覚め、サウナ―となった暁には、楽しいことがたくさん経験できる。家から通いやすい場所にあるサウナを‶本拠地〟として「ホームサウナ」に定めたり、出勤前に「朝ウナ」をたしなんだり、サウナを通じて知り合った友人「サフレ」とサウナ話に興じたりと、サウナの眼鏡をかけて世の中を見渡せば、思いがけない出会いや発見に数多く出会えるにちがいない。身近な存在でありながら、かくも奥が深いサウナの世界。2020年、新しいことを始めたいという人は、本書を読んでサウナの世界に足を踏み入れてみてはいかがだろう。
『人生を変えるサウナ術 なぜ、一流の経営者はサウナに行くのか?』
本田直之・松尾大 著
KADOKAWA刊
1400円(本体価格)+税
この記事を書いた人
ウチコミ!タイムズ「BOOK Review――この1冊」担当編集
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