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「店舗閉鎖が進む大手旅行代理店」から見えるDX革命がもたらすリアルビジネス不況(2/2ページ)

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芳しい成果が上がらない新規事業

こうした状況は店舗主体の旅行代理店は似たり寄ったりだ。

例えば、近畿日本ツーリストなどを抱えるKNT-CTホールディングスも21年3月期に96億円の債務超過となり、店舗を約3分の1に縮小する。しかも、看板企画旅行の「ホリデイ」(海外)と「メイト」(国内)を廃止する。債務超過対策で親会社の近鉄や銀行から400億円の資本支援を受けたばかりだ。

近ツリが背水の陣で進める新規事業もいばらの道が続く。同社では同じ趣味を持った人をつなぐオンライン上のコミュニティー事業(SNS)など新サービスを構築するが、その人たちが集まって旅行をするまでの規模には遠く及ばず、口さがない業界関係者は「気休め的、実験的な新規事業」と手厳しい。

JTBにしてもふるさと納税の商品開発、国際会議や見本市の誘致や自治体の観光課題解決などコンサル事業を育てる計画だが、規模や利益面は不透明だ。加えて「スマホでライブ中継」という海外オンライン視察事業など利益が出にくそうな事業もある。そのためか従来から手掛けてきた「修学旅行の企画や手配・引率の方がまだ手堅い」という冷めた声もあるほどだ。

そうしたなか21年10月、JTBがけん引してきた日本観光振興協会は政府の観光需要喚起策「Go To トラベル」の早期再開などを求める緊急要望書を国土交通省に提出した。

だが、過去に「Go To」でも、予約などはネット経由が優勢。「Go To」支援に関する事務作業を、苦境の旅行会社社員が請負ったが、「日給換算で数万円の事例もある」と批判され、「大手旅行会社の救済が目当てではないか」という声も出た。

強みのはずのきめ細かいサービスで収益悪化

そもそも町場の店舗旅行代理店では、顧客が旅行商品購入に至るまでの相談はコンサルといえるが、これが無料ということが経営の足を引っ張り、効率販売ができるネット販売に敗れた面がある。

有り体にいうと、ネット専業旅行代理店なら顧客の時間負担で勝手にやらせる旅行の選択を店舗旅行代理店ではそれを手伝う作業に、手間ヒマ、つまり、コストをかけてきた。

しかも、旅行代理店の弱点は飛行機や列車などの移動手段とホテル・旅館などの滞在先を組み合わせたパック商品などを売るだけで独自のコンテンツが乏しい点もある。加えて、商品の仕入れ先の鉄道や航空会社の系列旅行店との激しい競争もある。

これまで商店街で旅行代理店と仲良く軒を並べてきたはずの携帯電話ショップは、後期高齢者にもスマホへの乗り換えを推奨し、使い方を無料で教えている。その高齢者層は新聞の購読をやめ、ニュースはスマホ経由のみ。高齢者層の旅行もスマホ経由で予約してしまう時代になりつつある。

不動産を使った店舗ビジネスが厳しくなった今、旅行代理店や広告代理店も店舗(不動産)のリストラに走る――。

コロナ後のDX革命による不況の入り口が、まさに大きく開こうとしている。

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この記事を書いた人

都市開発・不動産、再開発等に関係するプロフェッショナルの集まり。主に東京の湾岸エリアについてフィールドワークを重ねているが、全国各地のほか、アジア・欧米の状況についても明るい。

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