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新たな住宅セーフティネット制度の驚くべき現状と子育て世帯への支援制度(1/4ページ)

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取材・文/浦邊 真理子 イメージ/©︎stylephotographs・123RF

少子高齢化、人口減少、地方都市の過疎化や高騰する都市部の住宅価格。さらに空き家問題……。そして、収束の兆しは見えつつあるものの未だ予断を許さない新型コロナ。“住宅”や“住環境”について考えるだけでマイナスばかりが浮き彫りになる昨今、住宅弱者や賃貸住宅オーナーで不安を感じていない人は稀有だろう。日本はどこに向かっているのか。政策立案の研究を行ってきた国土交通省国土技術政策総合研究所 建築研究部長・長谷川洋 (はせがわひろし)氏に、セーフティネット制度の現状や子育て世帯への支援制度、これからの街づくりと建物再生などについて話しを伺い、前・後編の2回にわけてお届けする。

セーフティネット住宅の拡大にはオーナーと行政のつながりが重要

2017年10月に「新たな住宅セーフティネット制度」が施行されて久しい。この制度は賃貸人が、急増する高齢者、部屋を借りるのに苦労する障がい者や低所得者、シングルマザーなどの住宅確保要配慮者(以下、要配慮者)に向け、「入居を拒まない住居(以下、登録住宅)」として登録申請を行う。要配慮者は、「住宅セーフティネット情報提供システム」から部屋を検索し、賃貸人又は管理会社等に申し込むという仕組みであり、賃貸人は改修費などの一部や、要配慮者を専用に受け入れる登録住宅に低額所得者が入居する場合は家賃補助の制度が設けられている。


出典/セーフティネット住宅 情報提供システム
「新たな住宅セーフティネット制度について」を基に編集部作成

空き家も増加するなか、オーナーそして要配慮者にとっても画期的な制度だと思われたが、蓋を開けてみると登録は遅々として進まなかった。国は改正法施行3年半後の2021年3月までに17万5000戸を登録目標に掲げていたが、施行から2年経った時点では2万戸にも及ばず目標の11%だったという。その内訳も1社(ヴィレッジハウス社)が、全戸数の約7割、約1万5000戸を登録している状態だった。しかし、改正から丸4年を目前にした現時点(21年7月末時点)での登録戸数は、なんと50万1200戸。進まなかった登録住宅は、一気に目標をクリアしたかのようにみえた。

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