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ゴタつく横浜IR誘致の影で東京・お台場がIR候補地に急浮上の事情(2/3ページ)

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IR誘致で急浮上する東京・お台場

そんなIR誘致で菅首相とその地元の有力者が角を突き合わせ、揺れる横浜市の状況を横目で見ながらほくそ笑んでいるのが東京・お台場だ。

横浜のIR誘致が頓挫し、IR計画が東京にくるとすれば、その有力候補地はお台場で、その利益を受けるのは、政府や東京都にIR構想を伝達してきたフジテレビ(FMH)、三井不動産、鹿島建設、三井住友銀行といった面々なのである。

実は、フジテレビは2017年にIRの開発計画提案書を東京都に提出済み。この提案書はフジテレビのほか三井不動産、鹿島建設、日本財団の4社グループ代表が名を連ねる。

その内容は政府が主導する国家戦略特区ワーキンググループに「東京臨海副都心における国際観光拠点の整備」として13年に出したものと同じ。このほかにも東京・臨海副都心でのIR構想は、森ビル、三井住友銀行もカジノを中核とするIRを含む開発計画提案書を東京都に提出している。

しかし、これら東京の計画は政府のIR推進本部が発表している21年10月~22年4月までの第一次申請には間に合いそうもなく、実際には、申請期間の延長措置の特例措置、あるいは次の申請になる可能性もある。

東京・お台場へのIR誘致で泣く会社、笑う会社

IR誘致で勝ち組になりそうなのが大阪市(夢州)でIR建設に係ることがほぼ確実の竹中工務店と大林組の関西系の2つのスーパーゼネコンだ。この2社は、横浜でIRが決まれば受注が濃厚といわれる。

というのも、この2社は鹿島、セガサミーが主導するゲンティン・シンガポール・リミテッドのグループに入っているためだ。

しかし、IRの予定地がお台場となると、この2社の東京都への食い込みは足りない。このIR誘致でもっとも恩恵がありそうなのがセガサミーで、安倍前首相時代から政権と深いつながりがあるため、お台場シフトにも対応できる体制を整えているようだ。

一方、東京都都港湾局は、すでにIR誘致の候補地として10ヘクタール以上の未利用地3地区をリストアップし、選定評価している。

港湾局から委託受けた三菱総研による調査では、築地市場跡地(23ヘクタール)、臨海副都心・青海(お台場)地区(10~30ヘクタール)、品川・田町間(10~13ヘクタール)の3地域を候補地として比較検討。総合評価で青海(お台場)地区を最適地とした。

また、青海(お台場)において、カジノ付きと、カジノなしの案についても比較検討されたが、その結果は国際会議場も含めたMICE施設[Meeting(会議・研修)、Incentive travel(報奨旅行)、Convention(国際会議・学会)、ExhibitionまたはEvent(展示会・イベント)を備えた施設で、これにエンターテインメント性を加えたものが「IR」になる]として整備、運営は独立採算になるため「収益の源泉」としてカジノは必須とされた。


「収益の源泉」としてカジノは必須 イメージ/©︎tupungato・123RF

つまり、お台場にIRを作るのなら、カジノは必須の施設というわけなのだ。

そのうえでMICE施設としては、シンガポールのマリーナベイ・サンズと同等の国際会議場と展示場、ホテル、商業施設を想定。この場合、建設費は最大3600億円になると試算されている。

東京都は五輪終了後にもIR誘致に触れた「東京ベイエリアビジョン」計画をを発表する方針のようだ。

こうした動きに先んじるかたちで、21年2月の通常国会では「都議選後は東京都がカジノ誘致に動く」と立憲民主党の江田憲司代議士が国会で質問している。

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