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コロナの寒風が吹く令和3年「公示地価」 大阪・ミナミに大幅下落地点が集中

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文/朝倉 継道 イメージ/©Tang90246・123RF

公示地価として初めてコロナ下の状況を報告するもの

「新型コロナウイルスが影響」「令和3年の公示地価は6年ぶりの下落」、そんな文字が各メディアに踊っている。3月23日、国土交通省より、2021年1月1日時点の「公示地価」が発表された。

昨年は、時期的にコロナの影響が反映されない発表となっていたため、今回分が、公示地価としては初めてのコロナ下の状況を報告するものとなっている。主なトピックをまとめていこう。

まずは「全国」の数字だ。

「全用途」は6年ぶりの下落
……下落率マイナス0.5%(前年はプラス1.4%)
「住宅地」は5年ぶりの下落
……同 マイナス0.4%(前年はプラス0.8%)
「商業地」は7年ぶりの下落
……同 マイナス0.8%(前年はプラス3.1%)

商業地での前年との差が、特に目に付くかたちだ。「3大都市圏」の数字は次に示すとおりである。

東京圏
「全用途」マイナス0.5%(前年はプラス2.3%)
「住宅地」同 0.5%(同 1.4%)
「商業地」同 1.0%(同 5.2%)

大阪圏
「全用途」マイナス0.7%(前年はプラス1.8%)
「住宅地」同 0.5%(同0.4%)
「商業地」同 1.8%(同6.9%)

名古屋圏
「全用途」マイナス1.1%(前年はプラス1.9%)
「住宅地」同 1.0%(同 1.1%)
「商業地」同 1.7%(同 4.1%)

3大都市圏の各圏域においての「全用途」は、いずれも8年ぶりの下落である。「商業地」も、同じく8年ぶりの下落だ。対前年における数字の開きが非常に目立つ。さらに、住宅地は、東京圏が8年ぶり、大阪圏が7年ぶり、名古屋圏が9年ぶりの下落となっている。

次に、「地方圏(全体)」と、そこに含まれる「地方4市(札幌・仙台・広島・福岡)」の数字を紹介する。

地方圏(全体)
「全用途」マイナス0.3%(前年はプラス0.8%)
「住宅地」同 0.3%(同 0.5%)
「商業地」同 0.5%(同 1.5%)

地方4市(札幌・仙台・広島・福岡)の平均
「全用途」プラス2.9%(前年はプラス7.4%)
「住宅地」同 2.7%(同 5.9%)
「商業地」同 3.1%(同 11.3%)

ここでやっとプラスが出てきた。地方4市の平均は、全用途、住宅地、商業地、いずれもプラスである。これについては、進展する再開発が地価の上昇を維持する下支えになった、などの説明が報道などに見られる。ただし、それでも上昇率はご覧のとおり大きく縮小している。

全国に5カ所しかない20%超の大幅下落地点を全て抱える大阪・ミナミ

以上のとおり、公示地価は、昨年と今年とでは様変わりの状態だ。とりわけ、下落が著しい「商業地」および「3大都市圏」の両くくりにあっては、その背景として、

・コロナ禍による、訪日客需要、いわゆるインバウンドの消滅
・それにともなう投資の冷え込み

これらが大きいことは、論を待たない。さらには、外出自粛や時短営業といった、主に商業地を直撃するかたちでのコロナ感染対策がおよぼした影響も、もちろん少なくなかっただろう。

それをまさに象徴するといえるのが、大阪の中心繁華街のひとつ、ミナミの状況である。今回の公示地価において、大阪・ミナミは、全国に5カ所しかない20%超の大幅下落地点(標準地)をなんと全て抱えている。

このうち、もっとも下落率の大きい地点は、「大阪市中央区道頓堀1-6-10」でマイナス28.0%だ。ここは、昨年惜しまれつつ閉店した、大きなフグのちょうちんで有名だった、あの「づぼらや」道頓堀店の跡地である。

上昇エリアも 北海道「倶知安」「北広島」 長野県「白馬」

さて、以上に挙げた以外にも、コロナの影響による下落の話題には事欠かない今回の公示地価であるが、逆に、地価が上昇しているところもある。公表されている資料のひとつ、「変動率上位順位表(全国)」で、いくつか例を見てみよう。

まず、住宅地だ。順位表TOP10のうち1位と5位、10位に、北海道の「倶知安」(ニセコ地区の一部)の名前が見えている。また、7位には長野県の「白馬」の名前も見えている。これらは、最近までインバウンドに支えられてきたスキーリゾートである。

そのため、コロナ以降、客足は大きく減っているが、大阪などでの状況と違い、こちらでは、コロナ収束後を見据えた長期目線での投資が動いているようだ。それらにより、地価が下支えされていると見られる。

また、同じく住宅地の2~4位および6位を占める北海道北広島市の各地点では、野球場を中心としたボールパークの開発により、地価が押し上げられている。

商業地である。ここでも1位に倶知安の名前が見えるが、それに続く2位から8位まで、ずらりと福岡市内の各地点が並ぶ(さらに10位にも)。前記した、地方4市における地価の上昇維持を再開発の槌音ひびく福岡が、先頭に立って引っ張っているかたちだ。

工業地は沖縄県豊見城市字豊崎3-62が、上昇率全国1位となっている。背景にあるのは物流施設需要だ。

ちなみに、工業地は、全国平均でもプラス0.8%と上昇を維持している。住宅地・商業地との違いを見せているが、そのキーワードが「物流」だ。コロナ禍が、いわゆる巣ごもり消費を促したことで、ネット通販なども拡大、それが施設需要におよんで地価の上昇を支えている様子が見られる。

以上、先般公表された公示地価から、いくつかトピックを挙げた。

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