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札幌の民泊管理会社TAKEが破産申請 逆風続く民泊マーケット、コロナ廃業も続出(1/2ページ)

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文/朝倉 継道 イメージ/©︎kudoh・123RF

負債総額2億2300万円

札幌の不動産会社(民泊管理業者)株式会社TAKEが、この2月8日に札幌地裁へ自己破産を申請した。5日にはすでに事業を停止し、従業員も解雇。負債総額はおよそ2億2300万円と伝えられている。

TAKEは、主に民泊運営で知られていた会社で11年に設立。以前はリフォームを手がけていたが、18年の住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行とともに、住宅宿泊管理業者として登録し、民泊に進出。インバウンド人気に潤う北海道を足場に事業を拡大した。

リフォームで培ったノウハウを活かし、内装にこだわった物件をアピール。各報道によれば、地元札幌を中心に、東京、大阪なども併せ約150室を管理運営していたという。ピークとなった19年5月期には、2億5000万円台にまで売り上げを伸ばしていたとされる。

しかし、それも束の間、昨年来の新型コロナウイルス感染拡大により民泊需要は激減。宿泊しながら飲食店から料理や飲み物などを取り寄せる「泊飲み」プランを打ち出すなどしたが、ついに行き詰まった。

ちなみに、TAKEが登録していた住宅宿泊管理業は、賃貸住宅でいうところの管理会社にあたる業態だ。オーナーからの委託を受け、物件を民泊運用しながら管理も行う。

そのため、賃貸管理会社が破綻した場合に生じるのと似たリスクが、今回、TAKEに物件を任せていたオーナーにおいても不安視されている。しかしながら、破産申請直後となる現在のところ、トラブルなど表立っては報道されていない。

逆風下の民泊

「コロナ禍」により、民泊は厳しい逆風下に立たされている。

昨年(20)11月に、観光庁が「住宅宿泊事業の廃止理由調査について」と題して行ったリリースにも、その状況は如実に浮かび上がっている。

「令和2年9月8日~10月18日の間に廃止の届出があった住宅宿泊事業者(民泊事業者)から、289件の回答を得た」として、以下のような事業廃止の理由が示されている。

「収益が見込めないため」 49.1%
「旅館業または特区民泊へ転用するため」 18.0%
「他の用途へ転用するため(旅館業・特区民泊を除く)」 8.3%
「事業を行う権利がなくなったため」 4.5%
「届出住宅の使用権がなくなったため」 2.4%
「事業者としての業務負担が大きいため」 1.4%
「法令に適合することが困難なため(経済的な理由を除く)」 0.7%
「その他(事業継続の意思あり)」 4.2%
「その他(事業は完全に廃業)」 11.4%

出典/観光庁「住宅宿泊事業の廃止理由調査について」

このとおり、もっとも大きな割合を占めるのが「収益が見込めないため」だ。この回答を数で示すと142となり、そのうち134が、新型コロナウイルスを収益が見込めなくなった原因としている。

すなわち、全体の46.4%(134/289件)が「コロナ廃業」ということだ。

ちなみに、前年(19)同時期での調査における「収益が見込めないため」の事業廃止は、廃止理由全体の7.2%に留まる。

コロナの逆風が、まさに民泊には吹き荒れている状況だ。また、その様子は当然ながら、宿泊実績そのものにも現れている。

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