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西区姪の浜(福岡市) 玄海灘の魚とどんたく巻き 西の隠れた名店「寿司割烹 たつき」 

ねこやま大吉ねこやま大吉

2020/03/10

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炭鉱で栄えた「姪浜」

福岡の中心街、天神から地下鉄空港線で7駅13分のところにある姪の浜。そこには玄界灘が目の前に広がる。1914年(大正3年)から1962年(昭和37年)まで姪浜炭鉱で栄えた街とは、今では知る人も少ないだろう。

現在は都市計画に伴いその面影はなく、住宅・学校・商業施設が建ち並ぶ近代的な街に生まれ変わっている。そんな歴史を持つエリア、西区。広さは84.15k㎡・人口は21万2398人(福岡市推計人口/2020年3月1日)。面積は品川区と大田区が一緒になったイメージである。

【参考記事】魅惑都市福岡で食す『もつ焼きのくらり庵』(早良区)と『屋台まみちゃん』(中央区)

玄海灘であがる「魚」

大陸棚が続く水深50~60mの浅海である玄界灘。日本海の一部で東シナ海に通じ、島や岩礁が多く、対馬海流も北上し世界屈指の漁場になっている。

鯛・鯵・鯖・鰤・河豚・烏賊・鮪など鮮度のいい魚が、毎日のように博多漁港、唐津漁港、呼子漁港から水揚げされる。

太平洋側は鮪など赤身の魚が主だが、玄海灘は身がしまった淡白な白身魚が多い。台風銀座・大陸からくる偏西風直撃の玄海灘は、穏やかな半面荒れ狂う危険な海でもあることを忘れてはならない。

西の隠れた名店「寿司割烹 たつき」

博多は食の玉手箱である。食べても食べても、食べつくせないほどの料理がある。もつ鍋・水炊き・うどん・らーめん・餃子・焼鳥……そして「魚」。

荒波に育てられた玄海灘の魚を美味しく食べさせる名店「寿司割烹 たつき」が西にあると聞き、地下鉄に乗り姪浜へ。今宵は博多の「幸」をいただくことにした。そこにはたつきオリジナルの「どんたく巻き」(登録商標)があるという。一体それはなんぞや。

明治通り沿いに店を構える「寿司割烹 たつき」は創業1969年(昭和44年)。先代から引き継いだ2代目女将が笑顔で迎えてくれる。新鮮な宝石がずらり並ぶネタケース前のカウンターを陣取る。目の前の職人が笑顔で注文を待っている。まずは生麦酒を御膳に立てると間髪いれず季節の小鉢が運ばれる。蛸、若芽、胡瓜、酢味噌が食材の旨味を引き出してくれる。

いつも思うが突き出しは職人の挑戦状であり、その後の料理に影響力を持つと思っている。

次なるお造りは、鮮度抜群の魚たちのパレード。女将が漁港で直接仕入れてくるものばかり。白身は弾力があり身が引き締まっていて、刺身本来の旨味が凝縮されている逸品だ。海葡萄が口の中ではじける度に潮の香りが充満する。

そして博多といえばごま鯖。甘めのタレに鯖の旨味、脂が重なり合う。臭みは全くなく、博多万能葱が味を調えてくれる。うーん、許されるなら白飯を頼みたい。流石は博多のごま鯖である。

さらに職人さんの勧めで鯛腹塩焼きを焼いてもらう。字の通りの料理であるが、これは初めて出合う味。旨味がのった腹部分(2尾分)を、ただ塩で焼いたものだ。鋭い骨には注意が必要だが旨い。鯛がこんな脂を蓄えているとは思わなかった。

最後に看板メニューの「どんたく巻き」を。鮪・鯛・鰤・烏賊・玉子・紫蘇・葱が巻かれているそれは、まさにどんたく祭り。口の中一杯にほおばっても、それぞれのネタの個性が失われることはない。

ふと気付けば次の取材先に移動せねばならない時間になっていた。

玄海灘の幸を噛みしめながら店を後にし、「また女将に会いたい」……。そんな想いを抱きながら走り始めた。

今回お邪魔した美味しいお店:『寿司割烹 たつき』
住所:福岡市西区姪の浜1-13-28
交通:姪の浜駅 徒歩8分 西鉄バス(姪の浜小学校前)徒歩2分  

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この記事を書いた人

編集者・ライター

長年出版業界に従事し、グルメからファッション、ペットまで幅広いジャンルの雑誌を手掛ける。全国地域活性事業の一環でご当地グルメを発掘中。趣味は街ネタ散歩とご当地食べ歩き。現在、猫の快適部屋を目指し日々こつこつ猫部屋を制作。mono MAGAZINE webにてキッチン家電取材中。https://www.monomagazine.com/author/w-31nekoyama/

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