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感情を揺さぶって思い通りに物件を売り込む!

お客さんだけが知らない 普通の物件を「最高」と思わせる不動産仲介マンのストーリー営業術(2/5ページ)

大友健右大友健右

2017/02/07

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お客さんに来店してもらうために不動産会社がすること

いまでは、多くの人がSUUMOやHOME’Sといった賃貸物件のポータルサイトを利用して、お目当ての物件を見つけてから不動産会社に電話やメールで問い合わせをします。

借りる側としては、ポータルサイトで気になった物件を内見して、気に入ったらすぐに契約といった具合に、ピンポイントで決めてしまいたいと考えるのは当然でしょう。

一方、不動産会社の営業マンにとっても、それで契約が取れれば、ほとんど手間をかけることなく仲介手数料が入ってくるのですが、話はそう簡単ではありません。

せっかく問い合わせがあっても、その部屋がまだ空室とは限りません。それに、不動産会社が扱っている物件は、数多くありますから、営業マンとしては少しでも契約を取るために、お客さんに何とか店頭まで足を運んでもらって、いろいろな物件を紹介したいと考えます。

そこで、内見の予約が取れたお客さんには、お目当ての物件以外にも何件かの物件を見てもらおうと営業トークを展開します。また、お目当ての物件が成約済みだったお客さんには、メールなどでいろいろな物件情報を送って、何とか来店してもらおうと働きかけるでしょう。

また、これはとても残念なことですが、ポータルサイトには、お客さんからの問い合わせを取るために、「おとり物件」と呼ばれる成約済みの物件や、最初から存在しない物件情報が掲載されている場合もあります。

おとり物件については、別の記事で詳しくふれていますので、そちらを参考にしてください。

いずれにしろ、お客さんからの問い合わせをきっかけに、営業マンはなんとか来店してもらおうと営業活動を展開していくのです。

営業マンは最初から「本命」には案内しない

さて、営業活動が実を結び、無事にお客さんに来店してもらい、物件を案内するときにもセオリーがあります。営業マンは、お客さんを「いい物件と出会えた!」という気持ちにさせるストーリーをつくるのです。

もう少し詳しく説明しましょう。営業マンは最初から「本命物件」を紹介するようなことはしません。営業マンは、本命物件をさらに魅力的に見せて、確実に成約に結びつけるための内見ルートを組み立てています。

不動産業界では、「回し物件」という言葉がありますが、これは本命物件をより魅力的に見せるための「残念な物件」のことです。不動産会社によっては、本命物件を「決め物件」、残念な物件のことを「当て物件」「中物件」などという呼び方をするところもあります。

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この記事を書いた人

株式会社ウチコミ 代表取締役 株式会社総研ホールディングス 代表取締役 株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役 1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち、大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。 現在、株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役として、住宅リフォームを中心に事業を展開。また、株式会社ウチコミ 代表取締役として、賃貸情報サイト「ウチコミ!」を運営。入居の際の初期費用を削減できることから消費者の支持を集める。テレビ・新聞・雑誌などメディア出演も多数。

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