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知っておきたい不動産購入時の税金(5)

不動産を購入すると毎年かかる固定資産税・都市計画税とは? 住宅の場合の軽減措置は?

土屋裕昭土屋裕昭

2016/02/26

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固定資産税を支払うのは誰?


家や土地などの不動産を所有していると、毎年払わなければならないのが固定資産税と都市計画税です。これらの税金は、不動産取得税のように取得したときにだけかかるのではなく、毎年かかってくるものです。

税金には国が課税する国税と、都道府県が課税する都道府県税、市町村が課税する市町村税がありますが、固定資産税は、その土地や建物が所在している市町村が課税する市町村税です。

毎年、4〜5月頃になると、市町村から固定資産税の納税通知書が送られてきます。この納税通知書にしたがって一括払いで納付するか、分割の場合は4回に分けて納付します。納期については市町村によって違いがありますが、4月、7月、12月、翌年2月が一般的です。

ただし、東京23区については課税するのは東京都で、毎年6月に納付通知書が送られてきて、分割の場合は、6月、9月、12月、翌年の2月の4回で納付します。

固定資産税が課税されるのは、「毎年1月1日にその土地、建物を所有している人」です。もう少し厳密に言えば、登記済みの土地や建物については、その年の1月1日現在で、登記簿に所有者として登記されている人が、所有者であるとみなされて課税されます。

つまり、所有権の移転登記が行なわれていない場合など、実際の所有者が別にいても、登記されている人が課税されるのです。

たとえば、12月25日に土地の売買を行ない、代金の支払いと土地の引渡しも完了し、所有権の移転登記は、翌年の1月5日に行なったケースを考えてみましょう。

この場合、実際の所有者は土地を買った人ですが、1月1日現在で登記されているのは土地を売った人なので、売った人に固定資産税が課税されます。

なお、新築の建物で、その年の1月1日現在で登記が済んでいない場合、その年の固定資産税はかかりません(ただし、土地については課税されます)。

固定資産税の税額はどう決まるの?

固定資産税の税額は、課税標準に税率をかけて計算します。計算式は下記の通りです。

固定資産税額=課税標準×税率(1.4%)

課税標準というと耳慣れない言葉ですが、これを一言で言えば「税額計算の基礎となる金額」のことで、固定資産税の課税標準は、固定資産評価額です。

この固定資産税評価額は、総務省が定める固定資産評価基準にしたがって、市町村(東京都23区は都税事務所)が決定します。おおむね、毎年3月に国土交通省から発表される公示価格の70%程度となることが多いようです。なお、固定資産税評価額は3年ごとに見直しがあります。

固定資産税の税率は各都道府県が決めることになっていますが、標準税率1.4%となっており、現在はほとんどの市町村が1.4%を適用しています。

住宅用の土地や建物なら、固定資産税の軽減措置がある

住宅用の土地や建物については、固定資産税の軽減措置があります。

(1)建物部分の軽減措置

平成30年3月31日までに新築された住宅用の建物については、3年間もしくは5年間にわたって固定資産税が2分の1に軽減されます。

・3階建て以上の耐火構造・準耐火構造の建物(マンション)は新築後5年間

・一般の住宅(上記以外)は新築後3年間

※ただし、居住部分の床面積が、一戸につき、50m2以上280m2以下であること

(2)土地部分の軽減措置

・敷地面積のうち200m2までの面積 : 固定資産評価額を6分の1に軽減
・敷地面積のうち200m2を超える部分: 3分の1に軽減

※ただし住宅の床面積の10倍を限度とする

※マンションの場合は、敷地面積を住宅の戸数で割った面積で判定する

市街化区域内では、都市計画税も毎年かかってくる

都市計画区域内の市街化区域内にある土地、家屋については、固定資産税とセットで都市計画税が課税されます。

税率は0.3%で、固定資産税と一緒に納付することになります。

都市計画税の計算式は次の通りで、都市計画税の課税標準も固定資産税評価額となります。

都市計画税額=課税標準×税率(0.3%)

固定資産税と同様に、都市計画税についても住宅用地の課税標準の特例があります。特例については次の通りです。

・敷地面積のうち200m2までの面積:固定資産税評価額を3分の1に軽減
・敷地面積のうち200m2を超える部分:固定資産税評価額を3分の2に軽減

※マンションの場合は、敷地面積を住宅の戸数で割った面積で判定する

※空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく必要な措置の勧告の対象となった特定空家等に係る土地は除きます

なお、建物については原則として軽減措置はありませんが、市区町村によっては条例で特別に軽減の特例を設けている場合があります。

マイホームを購入すると、購入後もランニングコストがかかります。固定資産税・都市計画税もそのひとつです。

マイホームの資金計画を考える際には、固定資産税・都市計画税など、購入後にもかかるお金の負担についても考慮に入れることを忘れないでください。

 

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この記事を書いた人

税理士

CFP、宅地建物取引士 米国アラスカ出身。一般企業勤務を経て簿記知識ゼロから3年で税理士試験合格。著書に「いちばんわかりやすい確定申告の書き方」(ダイヤモンド社)など多数。HP「相続税申告のツチヤ」にはお客様の声50件超掲載。

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