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賃貸物件は相続させたほうがいいのか――押さえておきたい5つのポイント(2/2ページ)

田中 あさみ田中 あさみ

2022/01/27

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4.生前贈与と比較する
賃貸物件を相続した場合と、生前贈与したケースで比較します。

贈与税には暦年課税と相続時精算課税という2つの制度があり、暦年課税は年間110万円までが基礎控除で非課税、相続時精算課税は年間2500万円が全額控除となります。

ただし相続時精算課税は贈与者が亡くなった際に、相続財産の価額に制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算しますので「税金の先送り」となってしまうことがあります。

賃貸物件にほとんど価値がない場合には、生前贈与の基礎控除額の範囲内となり「負担を減らせる」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、価額の低い物件は相続税の評価時にも低く評価されるため、税金面で大きな変化がある可能性は低いでしょう。そして、経年劣化とともに不動産の価値は低くなります。

不動産は相続時に評価が時価より低く、小規模宅地等の特例により減額される可能性があります。よって物件の価額が高い場合には、親が亡くなるまで保有し相続することで税金がおさえられる可能性が高いです。

生前贈与と相続の比較ポイントは物件の価値、そして「家賃収入が子どもの収入となる」という点です。家賃収入をいつ子どもに引き継ぐかを考え、よく話し合い検討しましょう。

5.収支シミュレーションを行う
賃貸物件の収支シミュレーションを行いましょう。

大規模修繕の予定がある物件は、修繕費を経費に加え試算を行います。ローンの繰り上げ・繰り下げ返済の予定があるときもシミュレーションに組み入れましょう。

家賃収入は過去の入居率の平均からおおよその金額を算出しますが、賃貸物件は経年とともに家賃が下がることを考慮する必要があります。

資産替えを行ったほうがいい事例も

賃貸物件の価額や築年数、エリアなどによっては売却した代金で生命保険に加入するといった「資産替え」を行ったほうがいいケースもあります。

生命保険は死亡保険金が「500万円×法定相続人の数」の価額が相続税から控除され、相続税対策となるのです。

相続税をおさえるために重要なポイントは、①生前贈与の非課税枠の活用、②生命保険、③不動産といわれています。

ただし相続税だけではなく、相続人の負担軽減や相続人同士のトラブル回避なども重要な相続対策となります。

上記の5つのポイントを確認・把握し、実際の相続に生かしていきましょう。

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この記事を書いた人

2級FP技能士・ライター

北海道在住。大学在学中に2級FP技能士を取得。 会社員を経てFP資格を活かし、ライターとして不動産・金融・相続・法律分野の記事を多数執筆する。「難しいことを分かりやすく」をモットーにライターとして活動中。

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