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火災保険の申請代行トラブル多発 被害に遭わないために必要なこと

平野 敦之平野 敦之

2021/10/11

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イメージ/©︎cherokee4・123RF

台風や水害などの自然災害が多発していることに伴い、火災保険の保険金の申請代行(請求代行)をして保険金請求サポートする業者とのトラブルが増えています。

実際、損害保険料率算出機構の発行する火災保険・地震保険の概況2020年度版をみても自然災害における保険金の支払い増加が近年顕著な状況です。

また、国民生活センターによると火災保険金が出るようサポートするなどという、保険金が使えると勧誘するいわゆる住宅修理サービスに関する相談が急増しています。

実際に2020年度の相談件数は19年度の2倍以上となり、21年度も前年同期を上回る相談が寄せられています。

このような悪質な業者がいる一方で、役に立ったという人もいるようです。

本来は加入先の保険会社に火災保険を請求すれば済む話ですが、自分で保険金の請求ができるか分からない、あるいは損害に気づかないケースもあるためなかなか難しいところもあるのです。

 

火災保険・地震保険の申請代行業者、住宅修理サービス業者とは

火災保険などの契約者に代わって、火災保険金の保険金の書類作成や請求申請を行う業者のことをいいます。

住宅の修理業者がこうした代行業を行っているケースも多く、本来火災保険の対象となる人が受け取る保険金から高額な申請代行手数料などを請求したり、本当は自然災害による損害でないのに嘘の申告をしたり、契約の解約に高額な解約料を請求されるケースなどもあるようです。

なかには住宅の修理代金として必要な金額を支払ったにも関わらず、着工されないなどさまざまなトラブルが発生しています。

火災保険とはいうものの、対象になるのは火災だけでなく台風や雪災、ひょう災、水災なども対象になります(但し、火災保険商品によって違いがあります)。また契約内容によるものの自然災害で建物が全壊したといった大きな損害だけでなく、雨どいが壊れたなどちょっとした損害でも対象になるケースもあります。

こうした一般の人には見落としがちなことや後からでも保険金請求ができることもあまり知られていません(通常は3年で時効)。

 

火災保険・地震保険の申請代行の仕組みとは?

自然災害などの住宅修理に関して騙したり、噓をつくような業者はもちろん論外ですが、根本的なところについてお話しておきます。

火災保険をはじめとした損害保険は「実損払い」が原則です(地震保険は別)。つまり、契約金額を上限に実際の損害を支払うということです。仮に風災による損害で住宅の修理代金が100万円かかるとします。

火災保険からは支払われる項目がいくつかありますが、一般的に損害が100万円であれば修理代として支払われる保険金は100万円です(現在の火災保険の場合)。実際にはこれに加えて費用保険金などプラスアルファがありますが、例えば、損害が100万円なのに200万円支払われることはありません。

100万円保険金が支払われ、そこから住宅修理代行業者に手数料を取られたら修理代が不足します。

例えば、保険金の30%~40%もの手数料を請求されたら、手元に残るのは60~70万円です。すべてしっかり修理するなら手数料の分は自費で負担しなければなりません。もともと実際の損害の保険金が原則ですから、そこから手数料を差し引かれたら自己負担が発生します。

元からその手数料分は承知で契約した、あるいはこの住宅修理代行業者が来なければ請求をできなかったから構わないというのであればいいかもしれません。

繰り返しますが、損害保険は実損払いです。実際の損害よりも保険金がたくさん貰えるわけではありません。悪質な業者でなく保険金の支払いがなければ1円も請求しないということもあるようですが、保険金から手数料を負担すると自己負担が発生することはよく覚えておいてください。

 

参考にしたい関連業界から注意喚起

悪質な住宅修理業者によるトラブルが増えていることもあり、関連団体などが以前より注意喚起を行っています。

一般社団法人日本損害保険協会 住宅の修理などに関するトラブルにご注意

独立行政法人国民生活センター 保険金で住宅修理ができると勧誘する事業者に注意

岡山市 必要のない住宅修理工事の勧誘に注意!

一番下は岡山市のものですが、このように市区町村や各損害保険会社でもこうした注意喚起をしています。

 

被害に遭わないためのポイント

こうした業者の被害に遭わないように日頃から注意が必要です。いくつかポイントをお話しておきます。

・自然災害などで住宅が被害を受けたら加入先の損害保険会社や保険代理店に連絡して保険金支払いの対象になるかの確認や保険金の申請方法について確認する

・実際に住宅修理の工事については安易に契約しない。複数の業者から見積もりを取ったり、話を聞いたり、家族や友人知人などにも相談してみる

 

まずはその場で慌てて契約したり、決めたりせず時間をおいて判断するようにしてください。こうした状況を受けて、あいおいニッセイ同和損保では、被災後の修理トラブル防止のための住宅修理サービスに関する専用相談窓口(24時間365日)を設置しています。

なかには損害保険会社は保険金を払い渋るなどの言い方をするかもしれませんが、自分がお金を支払っている契約先です。気にせず連絡して気軽に加入先の損保に相談してみてください。


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この記事を書いた人

平野FP事務所 代表 CFP ®認定者、1級FP技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

東京都出身。証券会社、損害保険会社を経て実務経験を積んだ後に1998年から独立して活動をはじめてFP歴20年以上。また相談業務を受けながら、中小企業の支援にも力を入れている。行政機関や大学での非常勤講師、企業研修などセミナーや講演も多数。メディアでの執筆記事も多く、WEBに公開されているマネー記事は550本以上。2016年にお金の情報メディア「Mylife Money Online」の運営を開始。主な著書に「いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)」がある。誰もが自分らしい人生を安心して豊かに過ごすため、「お金の当たり前を、当たり前に。」をモットーに活動中。「Mylife Money Online」のURLはコチラ→ http://mylifemoney.jp

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