「共済」の地震保障はどこまでカバーされる?――保険との組み合わせは
平野 敦之
2021/08/16
写真はイメージ/©︎mihtiander・123RF
共済に付帯する地震の備え――どんなものがある?
地震保険は火災保険に付帯した契約になり、損害保険料率算出機構によると、2019年度の付帯率は全国平均で66.7%でした。
地震災害に備えるための選択は損害保険会社以外にも各種の「共済」があります。これら火災共済のなかにも地震災害への保障が付帯されています。
保険と共済は違うため、共済の火災保険である火災共済に入っていても損害保険会社の地震保険は契約することができません。つまり、保険は保険の地震保険、共済は共済の地震災害などについて保障が付帯されているものであれば地震の備えができます。
■都道府県民共済 「新型火災共済」
県民共済をはじめとした都道府県民共済では、新型火災共済を取り扱っています。新型火災共済には、地震や津波、噴火などによる一定の損害について共済金の支払い対象になります。具体的には次のようになっています。
・半壊・半焼以上の損害に対しては、加入額の5%の範囲内(最高300万円まで)
地震等による加入住宅の半壊・半焼以上の損害を被ったときに支払い対象
・一部破損の場合、一律5万円(加入額100万円以上の場合のみ)
半壊・半焼に至らず、損害額20万円を超える損害を加入住宅が被ったときに支払い
・死亡・重度障害には1人100万円(合計500万円まで)
地震等による加入住宅の被災を直接の原因として、加入者またはその家族が事故の日からその日を含めて180日以内に死亡・重度障害になったときに支払い
受取額は、加入金額5%で最高300万円(半焼・半壊以上)ですから、持ち家の人には決して多い金額ではありません。3つ目の保障は亡くなった場合の死亡等の保障なので住まいの保障とは分けて考えてください。
■こくみん共済coop(全労済) 「住まいる共済」
住まいる共済は「火災共済」と「自然災害共済」の組み合わせで保障内容が変わります。
・火災共済のみ
・火災共済+自然災害共済(標準タイプ)
・火災共済+自然災害共済(大型タイプ)
火災共済だけでは地震災害等の保障が付帯していないため、地震に備えるためには「自然災害共済」にも加入する必要があります。
被害の程度により共済金の支払い金額が変わり、「全壊・全焼」「大規模半壊・大規模半焼」「半壊・半焼」「一部壊・一部焼」の4段階で判定されます。
標準タイプは最高1200万円、大型タイプは最高1800万円の地震等共済金が支払われます。少額の損害の場合、地震等特別共済金が支払われます。
条件としては、住宅の損害額が20万円超100万円以下の場合が対象です(加入保障額が200万円(20口)以上の場合)。標準タイプで一世帯当たり3万円、大型タイプで4.5万円になります。
この補償額では高額な物件では保障が不足するケースがあるでしょうが、1800万円ということは損保の地震保険でいうと火災保険で3600万円(地震保険は50%で1800万円)と近い契約金額になるイメージです。
■JA共済 「建物更生共済むてきプラス」
JA共済には、「火災共済」と「建物更生共済むてきプラス」の2つがあります。
火災共済には地震等の損害は保障されていないため、建物更生共済むてきプラスでの対応になります。この商品は積立型のため、現在の金利情勢では賛否両論あるでしょうが、それについては一旦置いて解説します。
この保障も地震や地震による津波や噴火などまでカバーされています。その保障額は、損害額の50%が限度になります。
実際の地震共済金の支払いは、損害の額×(火災共済金額/共済価額)×50%
で計算されます。
JA共済の特徴の一つは、建物や家財だけでなく畜舎・堆肥舎といった特定建築物や営業用什器備品も対象になることです。これらが必要な人は検討してみるといいでしょう。
ここまで主に全国的な展開をしているいくつかの共済の地震災害に関連する保障について確認してみました。
制度や仕組みが損保の地震保険と違うのはもちろんですが、共済によっては保障が異なります。このことを前提に損保の地震保険と比較的似ている点は次のようになります。
・少額の損害については対象にならないか、保障される金額もわずか
・加入や支払いについても一定の制限がある
とはいえ、地震災害に対する保障の基本的なスタンスそのものはそんなに変わりません。
また、JA共済の建物更生共済むてきプラスのような積立型を除くと、火災共済は基本1年契約です。火災保険・地震保険のような長期契約はありません。
保障が不足する場合の対処法
なかには地震や噴火、津波などの災害が心配なので共済に加えて、もう少し保障をつけておいたいというケースもあるでしょう。
損保の場合、最近はいくつかの会社が地震保険に自社で独自の上乗せ保障をつけているケースもでてきていますが、こうしたプラスαの保障がつけられるものは共済にはありません。
では、どうするか。方法は限定されますが、いくつか考えられる方法を挙げてみます。
・少額短期保険の地震補償保険に加入
SBIグループでは、地震補償保険という独自の保険を発売しています。
これは火災保険への加入の必要はなく、単独で加入可能で最高900万円まで補償をつけることが可能です。保険金の支払いは自治体の罹災証明に基づいて行われます。
・家財だけ別に損保で加入
家財だけ別に火災保険に加入し、そこに地震保険を付帯するという方法もあります。
注意が必要なのは同じ家財を対象として共済と損保に重複して加入しないということ。重複して加入しても、支払いはされないので、掛金が無駄になります。
保険でも共済でも地震災害で住まいが全壊した場合、やはり補償は不足します。住宅ローンの有無など状況に応じて、いろいろな商品を組み合わせていてはいかがでしょうか。
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この記事を書いた人
平野FP事務所 代表 CFP ®認定者、1級FP技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
東京都出身。証券会社、損害保険会社を経て実務経験を積んだ後に1998年から独立して活動をはじめてFP歴20年以上。また相談業務を受けながら、中小企業の支援にも力を入れている。行政機関や大学での非常勤講師、企業研修などセミナーや講演も多数。メディアでの執筆記事も多く、WEBに公開されているマネー記事は550本以上。2016年にお金の情報メディア「Mylife Money Online」の運営を開始。主な著書に「いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)」がある。誰もが自分らしい人生を安心して豊かに過ごすため、「お金の当たり前を、当たり前に。」をモットーに活動中。「Mylife Money Online」のURLはコチラ→ http://mylifemoney.jp