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東京市場の株価上昇にはまだ余力あり――見極めは日経平均3万6720円(1/2ページ)

望月 純夫望月 純夫

2021/04/05

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イメージ/©︎blueone・123RF

マネタリーベースと呼応した株価の動き

好況感なき30年半ぶりの3万円台回復といわれている日経平均は今後どのような展開をするのだろうか。過去を振り返りながら未来を展望してみよう。

はじめて世界を同時に襲った経済危機は1929年の世界恐慌だったたが、このときのNYダウが、元の水準まで回復するには25年の月日を要した。この経験から89年の日経平均3万8915円のピークを境に始まるバブル崩壊から、このときの最高値まで日経平均が回復するのにも25年を要し、2014年には回復するという仮説を立てたが、残念ながら一致することはなかった。

しかし、歴史を検証する意味は大きい。このバブル崩壊、2000年のITバブル、08年のリーマンショックなど、幾多の試練を超えて日経株価は回復の道を歩んできた。この間、社会構造、生活様式、技術革新と、日経平均を構成する株の銘柄も変化した。

例えば、NT倍率(日経平均をTOPIXで単純に割ったモノ)は、00年4月の日経平均の30銘柄入れ替えまでは12倍~14倍程度で、銘柄の入れ替えを機に、NT倍率10倍割れまで低下した。しかし、05年8月に採用された「ファーストリテイリング」によるNT倍率の上昇が始まり、19年10月に「エムスリー」が採用され、直近のNT倍率は16倍まで拡大している。

日経平均は225社で構成されているが、日経平均の寄与度により上昇率が加速している。現在の寄与度の第1位はファーストリテイリングで13.1%、第2位がソフトバンクGの7.4%、エムスリーは第6位で2.5%である。上位15社での寄与率は51.7%である。

日銀が日経平均のETFの購入を決めて以降、この流れが加速した面はある。この結果、ファーストリテイリングの第2位の株主が日銀であり、今後も日経平均型のETFを買い続ければオーナー経営者の柳井社長の保有株を超すことにもなる。21年3月の日銀総会で、日銀のETF買いはTOPIX型に変更されることになるが、これにより現実の景気に沿った動きになろう。

現在の相場はマネタリーベースに呼応しており、第2次安倍政権スタートした12年12月時点では137兆円だったが、現在は619兆円で、およそ4.5倍になっている。

当時の日経平均は8160円なので、単純に4.5倍にすれば日経平均は3万6720円となる。このようなマネタリーベースが上昇している間は、相場は長続きするので、株価上昇の可能性はまだまだ十分ある。とはいえ、最大の不安要素はTOPIXを構成する銘柄の回復、つまりコロナ以降の経済の回復による。

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この記事を書いた人

コンサルタント、ラジオパーソナリティ

1971年慶應大学法学部卒、同年山一証券入社。1985年新本証券国際部入社、パリ駐在員事務所長を経て企業部にて新規公開企業の実務に携わる。 1998年退職後、コンサルタントとして独立。著書に『株をやさしく教えてくれる本(あさ出版)などがある。フジサンケイビジネスアイ株式初級講座、ラジオ日経の「株式宅配便」のパーソナリティを務める。

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