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「保険」と「共済」は何が違う?――メリット・デメリット、保険と共済の上手 な使い分け

平野 敦之平野 敦之

2021/01/13

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病気や怪我、事故などに備えるために各種の保険に加入する方法がありますが、保障が(補償)が必要な場合の選択肢は、「保険」以外にも「共済」があります。

何となく似たようなものというのはあるでしょうが、両者の違いは意外と知られていません。共済の役割や内容を知って活用することが大切です。

そもそも「共済」とはどういうものか?

共済は相互扶助のもと、特定の地域や職域などによる組合員によって設立された非営利の事業体です。協同組合という言葉を聞いたことがあるとも思いますが、これの英語での略称をCO・OP(コープ)といいます。株式会社ではなく協同組合になっているためコープという言葉を使います。

単に共済といっても全国組織の大きな共済から小規模な共済まで、その種類は多種多様です。誰もが聞いたことのある共済だと、「都道府県民共済」「こくみん共済coop(全労済)」「JA共済」「CO・OP共済」などがあります。他にも全国の各地域や職域に密着した共済がたくさんあります。

共済の特徴とは何?

共済の主な特徴は次のとおりです。

・非営利の事業である
・組合員にならないと加入できない
・生保医療関係の保障は一般的に一律掛金で手頃な掛金

一番の特徴は非営利事業であるということと、「組合員」にならないと加入できないということです。組合員になるには出資金などを支払うことが必要です。「組合員になる」というと加入のハードルが高そうですが、実は意外とそうではありません。不特定多数の人を相手にしているのではなく、組合員になった人を相互扶助の理念のもとに助け合うという考えで成り立っています。

死亡保障や医療保障などは、年齢によって掛金が違うと考えがちですが、共済では一部を除き通常は一律掛金で設定されています。

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使う用語にも違いがある共済と保険

共済と保険ではそもそも使う用語が異なります。この言葉の違いが分からないと、何を言っているのか理解しにくいので、簡単な言葉の違いを知っておくと理解しやすくなります。

まず、共済を運営する協同組合では「保険」という言葉は使わずに「共済」といいます。そのため各種保障についても、「生命共済」や「医療共済」、「自動車共済」、「火災共済」などといいます。保険でいう保険料のことは「共済掛金」、万が一のとき支払われる保険金のことを「共済金」と言います。

<共済と保険の主な違い>

共済同士であっても、例えば根拠法や監督官法などは共済によって同じではありません。保険との違いだけで見ると、共済ごとの違いを見落としますので注意してください。

保険の場合、契約期間は1年間から長期契約、あるいは生命・医療共済などのように終身での契約などさまざまな契約期間があります。共済の場合、例外はありますが、一般的には、契約期間1年間のものが中心です(医療共済などは終身タイプのものも販売されているケースもあり)。

また共済金の支払いについても、必ずしも保険金と同じではありません。例えば、地震保険というものは損保が取り扱い、政府が関与する官民一体の保険です。

共済にある火災共済にも地震災害等をカバーするものがありますが、損保の地震保険とは仕組みが異なります。ちなみに保険に加入すると生命保険料控除の対象となりますが、共済契約でも該当する各種生命保険料控除は適用することができます。

共済のメリット・デメリット

共済の特徴を踏まえた上で、そのようなメリット・デメリットがあるか確認してみましょう。

<主な共済のメリットとデメリット>

メリットとデメリットはそれぞれ裏返しなので、これは保険でも同じことが言えます。保障をいくつかの「型」したパック販売で手頃な保険料である分、死亡保障における高額な保障を設計したり、自分に合わせて保障をカスタマイズするようなことは苦手です。

生命共済や医療共済などは一律掛金になっていますが(群団方式)、年齢を重ねた人でも加入しやすい一方で、通常は若年層には不利に働きます。終身医療共済などの場合は別ですが、契約期間の終わりの決められている商品が多いため、高齢になると保障が手薄になりがちです。

デメリットとは少し違いますが掛捨てタイプの商品が主流ですので、共済では積立タイプの取り扱いは少ないと考えてください。

共済の活かし方、使い方

このように共済の場合、生命共済や医療共済などの自分にかける保障では、手頃な掛金で保障は掛け捨てでよいという人に向いています。終身タイプでなければどこかで保障がなくなるので、タイミングをみてこうした保障は卒業するという考えの人にはいいでしょう。

共済も保険いずれにも一長一短ありますから、これらの特徴や違いを理解して上手く使い分けることを心がけてください。

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この記事を書いた人

平野FP事務所 代表 CFP ®認定者、1級FP技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

東京都出身。証券会社、損害保険会社を経て実務経験を積んだ後に1998年から独立して活動をはじめてFP歴20年以上。また相談業務を受けながら、中小企業の支援にも力を入れている。行政機関や大学での非常勤講師、企業研修などセミナーや講演も多数。メディアでの執筆記事も多く、WEBに公開されているマネー記事は550本以上。2016年にお金の情報メディア「Mylife Money Online」の運営を開始。主な著書に「いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)」がある。誰もが自分らしい人生を安心して豊かに過ごすため、「お金の当たり前を、当たり前に。」をモットーに活動中。「Mylife Money Online」のURLはコチラ→ http://mylifemoney.jp

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