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配偶者控除と配偶者特別控除について

野田洋介野田洋介

2019/10/15

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〇はじめに

10月に入り、サラリーマン(給与所得者)の方は年末調整の時期が近付いてきたころになります。年末調整のなかで、配偶者がいらっしゃる方は配偶者控除や配偶者特別控除をよく耳にされるかと思います。昨年より配偶者控除、配偶者特別控除について改正が入り配偶者の収入のみならず本人の収入次第では控除が受けられなかったり、控除が軽減されるようになりました。年末調整前にこれらの控除について改めて紹介できればと思います。

〇用語の意味

年末調整等の際に、収入と所得という用語を目にするかと思います。混同しやすいこれらについて説明します。
・収入とは
収入が給与(賞与を含む)のみの場合、給与収入は手取額はではなく、所得税の源泉徴収や社会保険料、住民税等を差し引く前の額面額が収入となります。額面額には非課税の通勤手当は含まれません。
・所得とは
給与の場合、給与収入から給与所得者の必要経費である給与所得控除を差し引いた額が所得(給与所得)になります。
例えば、給与収入が100万円の方は、ここから給与所得控除65万円を差し引いた額である35万円が給与所得になります。

〇配偶者自身の税金について

配偶者の方が無職で給与収入、その他の収入がなければ当然ながら税金は発生しません。パートをされている方(パート以外に収入がない方)に関しましては給与収入が103万円以下であれば税金は発生しません。上述の通り103万円以下であれば給与所得控除により所得が38万円以下となり、基礎控除という一律38万円が給与所得から控除されるため課税所得が0円となり所得税が課税されないという仕組みです。(現行税制より)

〇配偶者控除について

納税者本人の配偶者である妻または夫に所得がない場合や、あっても一定額以下の場合には、配偶者控除を受けることができます。
ただし、納税者本人の給料収入(賞与含む)が1120万円(所得900万円)を超えると控除額は段階的に減少し、給与収入が1220万円(所得1000万円)を超えると配偶者控除がなくなります。
配偶者控除の対象となる配偶者を控除対象配偶者といい、次の2つの要件を満たす必要があります。
① 年間所得1000万円以下の納税者本人と生計を共にする民法上の配偶者であること
② 配偶者の年間所得が38万円(パート・アルバイトの方でいうと年収103万円)以下であること

〇配偶者特別控除について

配偶者のパート・アルバイトの収入が103万円(所得38万円)を超えると配偶者控除
を受けられなくなりますが、約201万円(所得123万円)以下であれば配偶者特別控除を受けることができます。ただし、配偶者控除と同様に、納税者本人の給料や賞与の合計収入が1120万円(所得900万円)を超えると控除額が段階的に減少し、1220万円(所得1000万円)を超えると配偶者特別控除がなくなります。

以上の2つの所得控除についてまとめると以下のようになります。

〇留意点

配偶者の給与収入が103万円以下であっても、生命保険の一時金、損害保険の満期返戻金、家賃、原稿料、FX取引、仮想通貨の売却収入などがあれば、それらを含めた合計で所得が38万円を超えてしまうと、配偶者に税金が課せれるとともに配偶者控除、配偶者特別控除にも影響が出ます。

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この記事を書いた人

税理士

昭和58年8月石川県金沢市生まれ。 平成18年3月法政大学工学部を卒業しその後会計事務所に就職。 平成24年12月に税理士試験を合格し平成25年4月税理士登録。 平成29年7月に株式会社アグラデッソ会計事務所、野田洋介税理士事務所開業。 開業後も法人・個人事業者の会計、税務顧問によりタックスプランニングや資金繰りコンサルティングを行う。その他、相続対策・事業承継・組織再編・IPO支援等中小企業や個人のコンサルティングを行っている。

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