ふるさと納税の税金の流れについて
野田洋介
2019/08/15
〇はじめに
ふるさと納税は、ふるさとに対して貢献または応援したいという納税者の想いを実現する見地から、自治体に対する寄付金を所得税と住民税から差し引きする制度です。ふるさと納税といっても、寄付する自治体は出身地に限らず自由に選択することができます。
実際にふるさと納税をされたことがある方は多くいらっしゃると思いますが、どのように税金が控除され、いわゆる2,000円負担で返礼品を受け取っているかのイメージがつきづらいかと思いますので、ふるさと納税における税金の流れについて説明します。
〇税金の控除のための具体的な手続き
・確定申告
ふるさと納税をした際に自治体が発行する領収書を受け取り、所得税の確定申告において寄付金控除を受けます。その際、確定申告書の「住民税に関する事項」の「寄付金税額控除」欄への記入も忘れずにお願いします。領収書は、確定申告書とともに税務署に提出します。
・ふるさと納税ワンストップ特例
ふるさと納税ワンストップ特例を利用すると、確定申告なしで寄付金控除が受けられます。ワンストップ特例は寄付した自治体より特例の申請のための用紙が送られ記入することにより受けられます。ふるさと納税ワンストップ特例を使うためには、次の条件を満たす必要があります。
① もともと確定申告をする必要がない給与所得者であること(年末調整のみで完結し、医療費控除等もないこと)
② その年中の寄付先の自治体数が5つ以下であること(1つの自治体に複数回寄付しても1カウントとする)
③ ふるさと納税の自治体にふるさと納税ワンストップ特例の申請書を提出すること
〇軽減される税金について
ふるさと納税により軽減される所得税と住民税の合計額は、次の(1)と(2)①、(2)②の合計となります。つまり、ふるさと納税の額(寄付金)から2,000円を差し引いた金額に相当する税金が軽減されます。
ただし、ふるさと納税ワンストップ特例を利用すると、所得税の軽減額(1)を含めた軽減額全体が、ふるさと納税を行った翌年度の住民税から減額されます。
(2)の住民税については、翌年度分の税額が軽減されます。
〇その他
ふるさと納税の寄付者に対して地元の特産品などの返礼品を用意していますが、寄付額が変わらなければ軽減税額が変わりませんので、返礼品が寄付する自治体を選択するうえでのインセンティブになっています。
2019年6月1日以降、返礼品は地場産品で返礼割合が30%以下でなければ、住民税の特例控除を適用できなくなりました。
この記事を書いた人
税理士
昭和58年8月石川県金沢市生まれ。 平成18年3月法政大学工学部を卒業しその後会計事務所に就職。 平成24年12月に税理士試験を合格し平成25年4月税理士登録。 平成29年7月に株式会社アグラデッソ会計事務所、野田洋介税理士事務所開業。 開業後も法人・個人事業者の会計、税務顧問によりタックスプランニングや資金繰りコンサルティングを行う。その他、相続対策・事業承継・組織再編・IPO支援等中小企業や個人のコンサルティングを行っている。