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驚きの逸品が、まるでご褒美のような価格で!

ファン垂涎の陶製フィギュアを発掘! ブダペストの「蚤の市」でアンティークなお宝探し(2)

パップ英子パップ英子

2016/09/11

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ブダペストではほぼ毎週、蚤の市が開催されている


(c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )

前回の記事は、ハンガリーの首都ブダペストで定期的に開催されている、クラウザール通りの蚤の市を訪れ、写真とともにその様子をご紹介しました。会場の規模や広さはそれぞれ異なりますが、ブダペスト市内ではほぼ毎週末のように、このような蚤の市が開催されています。

今回も引き続き、蚤の市のレポートの後編をお送りします。今回、筆者は蚤の市で出会った陶製フィギュアをきっかけに、陶製フィギュアの奥深い世界に触れることになりました。そのほかにも美しいテーブルウェアの数々をご紹介していきます。

★★★前回の記事はこちら★★★
ヘレンドやジョルナイの陶器も! ブダペストの「蚤の市」でアンティークなお宝探し

蚤の市で出会った陶製フィギュアをきっかけに、その奥深い世界に触れる


(c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )

上の写真をごらんください。馬車に乗った人物は、狩人でしょうか、はたまた貴族でしょうか? 手前に映る男女、女性はアルパカをあやしていますし、ふたりとも農民のように見えますね。

まるで中世の時代、牧歌的な農村風景を彷彿とさせる可愛らしい陶製のフィギュアたち。ハンガリーの蚤の市で見つけたフィギュアだから、ヘレンドやジョルナイなど有名なブランドではと、筆者は勝手に推測していたのですが、それは大間違いでした!

いざどこでつくられたものなのか調べ始めてみると、これがなかなかの難問でした。この取材当日、その場で店主に、どの国で生産されたものなのかを尋ねておけばよかったと後悔したほどです。

かなりリサーチを試みた結果、これらの陶器製のフィギュアは、ハンガリー国内の製品ではなく、実はドイツ製。それも、イギリス最大級の陶磁器メーカー、「Royal Doulton(ロイヤルドルトン)」や、フランスの「Apollo(アポロ)社」の製品を模したコピー・フィギュアだったのです。

模倣品なの? とガッカリしそうですが、これらのドイツ製のフィギュアは、フィギュア・ファンの間ではとても人気があるとのこと。そして、これらのフィギュアはおそらく、第二次世界大戦の最中に製造されたため、専門家によると“アンティーク”・フィギュアには該当しないそうです。

牧歌的な農村風景をイメージさせるこれらのフィギュア。筆者は単純にアンティーク品かと勘違いしていましたが、“アンティーク”フィギュアの世界はとても奥が深く、勉強が必要だと実感しました。


(c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )

ハンガリーは、中央ヨーロッパに位置する共和制国家。西にオーストリア、スロベニア、北にスロバキア、東にウクライナ、ルーマニア、南にセルビア、南西にクロアチアと多くの国々に囲まれた内陸国です。

ご存知の通り、EU諸国間では、EU協定によって人(労働)やモノ(物資)の移動が基本的に自由です。ハンガリーはEU加盟国であるためでしょうか、ブダペストの蚤の市でも、隣国の国々の製品だけでなく、ヨーロッパ全土、そして中国の青磁のような品物もたくさん見かけました。

上の写真をごらんください。写真手前の左に、女性が手鏡を持って、ヘアスタイルを整えているフィギュアがありますよね(奥の鏡に筆者が映っていますが、お気になさらず…)。このアンティーク・フィギュアは、ハンガリーを代表する陶磁器ブランドであるヘレンド製で、ファン垂涎のアンティーク・フィギュアでした(「HEREND NUDE PORCELAIN LADY WOMAN FIGURINE WITH MIRROR HUNGARY 5724 STUNNING VGC」というものだそうです)。

ものすごい数のアンティーク・フィギュアがややぞんざいに並べられていたため、うっかり見落としていましたが、かなりのお宝が目の前にあったとは!

通常、ヘレンドのフィギュアは、カンタンには手が出せないお値段です。ですが、このような街中で開催される蚤の市に足を運べば、名釜の逸品もちょっと奮発すれば手に入れることができます。ファンにとっては本当にありがたいイベントですよね。

中国の青磁や青花風のテーブルウェアはヨーロッパ全土で人気


(c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )

写真に映る青や赤のティーカップやソーサーの数々をご覧ください。チャイナ風の模様がとても美しいですよね。これらのテーブルウェアは、陶器産業で有名なイギリス中西部のスタッフォードシャー州で多く製造された陶器ブランドの品々です。

転写されたその模様や器自体のデザインからリサーチを続けると、イギリスの「ADAMS(アダムス社)」のティーカップであることがわかりました。アダムス社は、18世紀にウィリアム・アダムスという人物が設立し、イギリス中西部の窯業の町スタッフォードシャー・バースレムで創業しています。

アダムス社は創業者の死後も息子たちに引き継がれ、現在はイギリスの名釜ウエッジウッド社(ウエッジウッドもバースレムが発祥の地で同郷に当たります)となりましたが、それ以前は英国を代表する名窯のひとつでした。

蚤の市で見かけるこのようなチャイナ風のディナーウェアは、イギリスのアダムス社や、また、現在はウェッジウッドグループの傘下となっている「Johnson Brothers(ジョナサン・ブラザース)」というブランドの製品が多いようです。

ハンガリーに限らず、ヨーロッパやアラブ諸国の人々は昔から、中国独自の青磁や青花、藍色彩色が美しい陶磁器に強い憧れを持っています。

ヨーロッパの磁器でも最高峰と謳われるドイツ・マイセンの食器や、また、ハンガリーが世界に誇る陶器ブランドであるヘレンドのシリーズにも、中国の陶磁器の影響を強く受けた作品が数多くあります。ヘレンドについては当コラムで以前、お伝えしましたので、よければそちらの記事もご覧ください。

★★★関連記事はこちら★★★
人気のポーセラーツとハンガリーが誇る「ヘレンド」のインテリア活用術


(c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )

蚤の市全体の感想として、この会場内に出店しているブースのほとんどに、ポーセラン(陶器)の食器やフォークやスプーンなど、銀製のカトラリーがズラリとそろっていたことです。

写真の中央に映るの美しいバラ柄のエッグスタンドをご覧ください。この花柄はもしやヘレンド製かと思いましたが、実はルーマニア製のエッグスタンドでした。ゴールドの部分を空けると、ジュエリーボックスの仕様となっているそうです。

日本でエッグスタンドを使うお宅はまだまだ少ないように思われますが、ヨーロッパの食卓(ハンガリーももちろん)には、だいたいエッグスタンドがあります。ちなみに、卵はハンガリー語で“トヤーシュ(tojás)”です。

名釜の逸品も気軽に買える、蚤の市のありがたさ

小花や植物の絵柄が可愛らしい、ヘレンド製のボンボニエール。すでにご存知かもしれませんが、ボンボニエールとはフランス語でボンボンと呼ばれる、小さな砂糖菓子を入れる器のことです。

写真真上にある緑の葉っぱのような絵柄のボンボニエールは、ヘレンドのパセリグリーンという、とっても愛嬌のあるシリーズのものです。

今回、筆者はこのヘレンドの小さなボンボニエールを、日本円にしてわずか2,000円弱でゲットすることができました。ミニサイズとはいえ本物のヘレンド製のため、さすがに砂糖菓子を入れる気にはなれず、現在はジュエリーボックスとして愛用しています。

“お宝”が発見できて、なおかつ、まるでご褒美のようなプライスでゲットできるのが、蚤の市の最大の魅力ですよね。

今回、筆者はこの蚤の市レポートを執筆しているうちに、特にアンティーク・フィギュアの世界について、その奥深さを少しだけ理解することができました。次回、このブダペストで蚤の市を訪れる際は、もっとアンティーク・フィギュアについて、事前にその知識をさらに深めてから足を運んでみたいと思います。

ドナウの真珠“ブダペスト”からお届けする当コラム、次回もどうぞお楽しみに!

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この記事を書いた人

“FinoMagazin”(フィノマガジン)主宰(編集長)

ハンガリー在住コラムニスト。 食品会社でワインインポーター業務に従事した後、都内の広告代理店に転職。コピーライター、ディレクターとして勤務。百貨店やデパート、航空会社、ベビー・ブランド等のクリエイティブ広告で、インテリア製品のコピーライティング、ディレクション等を数多く手がける。 2013年、夫の国ハンガリーに移住後も育児に奮闘しながら執筆業に邁進。日本の雑誌(出版社)でハンガリー紹介記事(取材・撮影・文)を担当。また、自身とハンガリー人クリエイターとで運営するブダペスト発ウェブメディア“FinoMagazin”でもインテリアを含めたライフスタイル全般コラムを連載。美容メディアにてビューティ・コラム連載、その他、企業のWEBサイトや企画書制作、日本のTV局、広告代理店、メーカーからの依頼でハンガリー現地ロケ・コーディネート等、多岐に渡る業務をこなしている。 自身主宰のハンガリー情報WEBメディア “フィノマガジン” http://www.finomagazin.com/

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