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ハンガリー第二の都市の知られざる魅力(3)

ハンガリー最古の“デブレツェン大学”を散策する

パップ英子パップ英子

2016/05/01

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デブレツェンの人口は約20万人

人口約20万人ほどのデブレツェンは、ハンガリー国内における第二の都市です。日本人の感覚からすると、小さい都市だな、という印象を持たれる方が多いかもしれませんね。でもハンガリーはとても小さな国なので、20万人というのは、ひとつの都市の人口としてはかなり多いのです。そのデブレツェンは首都ブダペストから約230キロメートル東、広大な平原地帯に位置しています。

前回、デブレツェンのショッピングモールで見つけた可愛い雑貨屋さんを写真でお伝えしましたが、お店にあったステンドグラスのライトがとても素敵だったので、お店の方に許可をいただき、写真を撮らせていただきました。

筆者が暮らすのは首都ブダペストでもブダ側という、ブダ王宮などがあり、繁華街というよりは閑静な住宅エリアなためでしょうか、写真のようなアンティーク・ライトなどを置いているお店を見かけたことがありません。

不思議なことに、雑貨などで掘り出し物のように素敵だなと思えるものは、ライトであれ、刺繍などでも、デブレツェンやソーノック(ブダペストとデブレツェンの中間にある地方都市)など、ハンガリーでも地方都市に足を運んだときに出逢えることが多いのです。

写真の奥に見えるのが、前回ご紹介したデブレツェンのシンボルといわれるカルヴァン派大教会です。トラムの手前に人が立っていますが、これは歩いているのではなく、トラムを待っているところ。そうです、この場所がトラムのホームなんです! この黄色いトラムが何となく、日本の都電荒川線に似てる感じがするのは筆者だけでしょうか!?

この場所からトラムに乗り、この都市にある国立大学、デブレツェン大学にまで足を伸ばしてみました。 今回は、1538年に設立された、ハンガリー国内でも最古の高等教育機関に当たる大学、デブレツェン大学の散策風景をお届けします。

ハンガリー最古の高等教育機関、デブレツェン大学へ


(c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )

大学の最寄り駅で下車し、歩くこと数分。目の前にデブレツェン大学のグラウンドが見えてきました。この日は休日でしたが、写真(左)に見えるようにグラウンドで走り込みをしている学生さんがいれば、写真には映っていませんが、社会人の方々がグラウンドの端で砲丸投げの練習をしていました。

デブレツェン大学というと、医学を志す人にはとても有名な大学で、日本からも医学留学される方々がかなりいらっしゃるようです。この大学の歴史はとても古く、1538年にデブレツェン改革派大学(カルヴァン派教会)として創立されました。

前回、お伝えしましたが、ハンガリーの歴史は常に他国から侵略の憂き目に遭ってきた悲しい物語があります。そんな激動の歴史が続いたハンガリーで、460年以上も高等教育機関としての歴史を持つデブレツェン大学には、歴史の足跡が感じられる光景に出逢えるような気がして足を運んでみました。

右の写真は、グラウンドの先に見えていた建物で、新設されたスポーツ・スタジアム。皆さんは、ハンガリーが水球競技で有名な国なことをご存知でしょうか?

ハンガリーには水球のプロリーグがあるほど、国民に親しまれているスポーツで、水球競技においては実質世界ナンバー1の実力です。このスタジアムでは、そんな水球のプレーをじっくり堪能することができるそうです。

古くて豪華な中央棟は由緒ある建築物


(c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )

筆者が訪れたのはデブレツェン大学のメインキャンパスですが、とても広くてビックリ! 2000年以降、農業大学、コシュート・ラヨシュ大学、薬学大学など、ほかの大学を合併した状態が現在のデブレツェン大学のことで、広大なキャンパスの理由を知って納得しました。また、デブレツェン市内にも小さなキャンパスが点在しているそうです。

写真に映る古くて豪華な建造物、ここはメインキャンパスのなかでも中心棟と呼ばれる場所。1932年に折衷主義建築(*1)とバロック・リヴァイヴァル建築(*2)で建てられた由緒ある建築物は、建築業界の方なら一度は目にしてみたい建築物かと思います。

(*1)ヨーロッパの過去の様式だけではなく、非ヨーロッパ建築の様式も含めて自由に多様な様式を選択して組み合わせた建築のこと。
(*2)ネオ・バロック様式とも呼ばれる。フランスでナポレオン3世の第二帝政の出現(1852年)とそのパリ改造計画(1853〜70年)を契機として起こったバロック建築様式の復興を意味する。フランスのルーブル宮殿新館がネオ・バロック様式として有名。

写真(右)は中央棟の夜の光景です。このようにライトアップされると、なんだか舞踏会のメイン会場のようにも見えてくるほどゴージャスですね。

筆者のパートナーはデブレツェン大学の出身なのですが、この中央棟には芸術学部や教育学部などの教室が多いとのことです。ただし、しっかりと大学関係者の方にお聞きした訳ではないので、違う学部だったらごめんなさい! ネット上に、デブレツェン大学のMAPが表示されるサイトを見つけたので、参考までに記載しておきますね。

大きな時計が印象的な“大学教会”

デブレツェンといえば、キリスト教でも改革(カルヴァン)派の本拠地として知られる都市。デブレツェン大学にある教会も同様です。大きな時計塔が印象的なこの場所は、大学教会がある建物で、この地下には主に同宗派の熱心な教徒である学生が集まる大きなサークルがあるとのこと。

反対側に回ると、古代ギリシャ時代の大神殿のような建物にも見えますね(写真右)。日本にある大学のキャンパスをイメージすると、デブレツェン大学は棟によってそれぞれずいぶんと雰囲気が異なり、まるでいろんな異なる時代にタイムスリップしたかのような不思議な錯覚を覚えました。

塔のなかに入ると小洒落たカフェが


(c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )

時計塔と大学教会がある棟のなかに入ってみました。地下に降りると、大学のキャンパスというよりデパートなどに入っていそうな小洒落たカフェが現れました。壁側にテーブルと椅子がいくつかあり、休みの日でもこの日はカフェがオープンしていてちょっと嬉しかったです。

デブレツェン大学のメインキャンパスには、芸術学部、理学部、情報学部、医学部、音楽学部が入っています。今回は芸術学部の授業が受けられる中央棟などを中心にご紹介しました。写真にはありませんがこの大学は医学部が有名で、日本からはもちろん、国内外から医師の道を志す学生さんが大勢、いらっしゃるそうですよ。

大学構内をレポートする記事は少しレアケースかもしれませんね。この大学のメインキャンパスを散策してみると、建築がお好きな方ならきっと大変興味を持たれることと思います。棟それぞれで建築様式が大きく異なり、ネオ・バロック様式の中央棟があるかと思えば近代建築の粋を集めたような美しい建物の生命科学棟など、とても見どころがあるんです。キャンパス内には学生寮もあり、学生さんたちの居心地も大変よさそうでした。

デブレツェン最後のレポートは、ハンガリー最古の高等教育機関、“デブレツェン大学”のメインキャンパスの風景をお伝えしました。散策シリーズが続いていますが、ハンガリーといえばやはり世界遺産都市の首都、ブダペストの由緒ある観光名所を忘れてはいけませんよね。

次回は、まだインテリア連載を始めてご紹介したことがなかった、ブダペストで最も有名な史跡、観光名所をレポートしたいと思いますので、西洋建築や歴史にご興味がある方は特に、楽しみにお待ちください。

 

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この記事を書いた人

“FinoMagazin”(フィノマガジン)主宰(編集長)

ハンガリー在住コラムニスト。 食品会社でワインインポーター業務に従事した後、都内の広告代理店に転職。コピーライター、ディレクターとして勤務。百貨店やデパート、航空会社、ベビー・ブランド等のクリエイティブ広告で、インテリア製品のコピーライティング、ディレクション等を数多く手がける。 2013年、夫の国ハンガリーに移住後も育児に奮闘しながら執筆業に邁進。日本の雑誌(出版社)でハンガリー紹介記事(取材・撮影・文)を担当。また、自身とハンガリー人クリエイターとで運営するブダペスト発ウェブメディア“FinoMagazin”でもインテリアを含めたライフスタイル全般コラムを連載。美容メディアにてビューティ・コラム連載、その他、企業のWEBサイトや企画書制作、日本のTV局、広告代理店、メーカーからの依頼でハンガリー現地ロケ・コーディネート等、多岐に渡る業務をこなしている。 自身主宰のハンガリー情報WEBメディア “フィノマガジン” http://www.finomagazin.com/

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