ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

田舎暮らしに向けて、はじめの1歩を踏み出そう

自分にふさわしい移住先を選ぶ2つのポイント

馬場未織馬場未織

2016/01/04

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

「憧れ」のイメージを明確に

 このサイトを見ているみなさんは、移住やデュアルライフ自体に対して、漠然とでも憧れを抱いているはず。でも一歩行動を踏み出すには、その憧れの奥にある強い希望や目的を掘り下げるプロセスが欠かせません。そこがはっきりしていないと、いったいどこに第二の我が家を求めればいいのか、場所も定めようがありません。

 自分の潜在的な期待や目的意識を探るには、次の2つのポイントで考えるといいでしょう。

「理想の一日」の過ごし方を思い描いてみる

 移住やデュアルライフを実現できた場合、いちばん多くの時間を費やしてみたいのはどんなことでしょうか? どんなことをしている自分を想像するとわくわくしますか?

 たとえば、季節を問わずサーフィンに明け暮れたい、里山ののどかな雰囲気に癒やされたい、静かな環境で趣味の陶芸に没頭したい、などなど。こんな暮らしができたらいいな、というイメージを書き出してください。ひとつに絞らなくてもかまいません。まずは欲張って思いつくままに出してみましょう。

 次に「理想の一日」の過ごし方を思い描いてみます。新しい生活を始めたら、朝は何時に起き、朝食をとりながら窓の外にはどんな景色が見えるでしょうか? 仕事はどこで誰とするでしょうか? 自宅でできるのか、どこかに通勤するのか。通勤するなら、どんな交通手段で所要時間はどれぐらい、など細かく想像してください。もちろん仕事の内容も重要なのはいうまでもありません。

 家族や友人と過ごす時間は十分とれるでしょうか。ご近所づきあいもいまより多くなっているかもしれません。

 こうした作業をしてみると、日ごろの忙しさに流されて忘れていた願望や、自分が大切にしたい価値観が見えてきます。もちろん、すべての「理想」を実現するのは簡単なことではありません。自分だけが頑張ってみても、どうにもならないこともあります。

「ぜひとも譲りたくないこと」から「もしできたらいいな」あるいは「できればいいけど、ダメならダメで、まあいいか」というレベルまで、さまざまなグラデーションがあるはずです。

 こうした「理想の一日」をいちばん実現しやすそうな場所はどこだろうか? と考えることが移住先の選定に役立ちます。

 家族やパートナーがいれば、お互いの理想の生活を話し合ってみることをおすすめします。お互いが思い描く夢や理想を理解して、自分と相手が思い描く理想の生活の「違い」を知っておけば、移住が現実になったときにも折り合いをつけやすくなります。

都市と田舎の割合を決めるワークスタイル

 上の作業で理想的なライフスタイルが見えてきました。この生活をいかに実現できるかのカギを握っているのが仕事です。不労所得だけで十分生活ができるとか、完全な自給自足を目指す場合を除いて、どんな山奥に移住しようと、多くの人は現金収入を得るための仕事を多少はする必要があるでしょう。

 いま、都市部の会社などに雇用されている人は、その仕事を続けながら、どこまで理想を追求できる可能性があるか探ってみることです。よほど次の仕事のアテがあるわけでなければ、あせって仕事を辞め、あえて定期収入の道を断つのはおすすめできません。

 もっとも現実的なのは、月〜金曜はいまの暮らしを続け、週末だけ田舎で過ごすデュアルライフです。これであれば、都市部とデュアルライフ先を月に4往復するとして、その交通費や時間コスト、また住居が2カ所になることのコストを賄えさえすれば、ほかに大きなリスクはありません。移動コストを考えると、デュアルライフ先の場所は自ずと絞られるでしょう。

 少しずつ自分らしい移住の始め方が見えてきたでしょうか。十分な準備が必要なのは言うまでもありませんが、机上でいくら考えていても始まらないのも事実です。「ダメだったら、そのとき軌道修正すればいい」といったおおらかさで、まずは動き出してみませんか。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

ページのトップへ

ウチコミ!