SDGsとアレルギー(喘息)患者
加藤 美奈子
2022/03/25
イメージ/©︎amanemark・123RF
皆さん、SDGsはご存知ですか?
日本語訳では、「持続可能な開発目標」となります。簡単に概要を説明すると2015年に国連(国際連合)で採択され、2030年までに17項目の目標に向かって世界中のひとりひとりが行動をおこしていかなければならないということです。
2021年は、なんと日本人の生活者のSDGs認知率は54.2%(電通 第4回「SDGsに関する生活者調査」)あると発表がありました。
では、このSDGsをアレルギー患者を中心に考えてみたらどうなるでしょうか?
アレルギー患者は食物や喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症、結膜炎、鼻炎、薬物などに分類されます。また即効型や遅延型、小児性、成人性、遺伝性、職業性などタイプもいろいろあります。
そこでアレルギー患者の中で、今回は喘息患者に注目し、私なりのSDGsを考えてみました。
SDGs 1 貧困をなくそう
理由:喘息のコントロールができず、発症した時は咳が止まりません。また、体力を奪われ不眠にも繋がります。疲労が蓄積されると精神も不安定になります。それによって定職できず働けなくなり収入が安定しません。貧困層をなくすには、患者が治療でき、安心して働ける場など環境を整えることが大切です。
SDGs 3 すべての人に健康と福祉を
理由:喘息は、遺伝性やウイルス、外気や住まいの汚染物質、ストレスなど様々な原因で発症します。喘息をコントロールできるように適切な治療が大切になります。まずは、かかりつけ医師を見つけましょう。インターネットでアレルギー専門医を検索するとエリア別で医師を探すことができます。
厚生労働省 喘息死ゼロ作戦評価委員会によれば、喘息死亡率は60歳以上が、2015年から90%を占めていますので、長期間の治療を途中で辞めず担当医師と十分なコンタクトをとりましょう。
SDGs 8 働きがいも経済成長も
理由:完治せず持病となり、咳などの症状がある場合、患者自身の孤立感をなくし、患者が勤める会社や店では、働きやすい環境を提供することが望ましい。コロナウイルス感染拡大が収束しない今の時期は、咳をすることが非難される立場になってしまいがちです。リモートワークの充実、個室確保など、本人と周囲の気持ちが落ち着いて仕事ができるようにさまざまな調整が必要です。
SDGs 10 人や国の不平等をなくそう
理由:喘息患者は、連続性のある咳などの症状が活発に出ている時は、治療を受け、自宅で安静していなければなりません。
コロナウイルス感染拡大が世界中で起きている今は、病院内でさえ咳の音で周囲から白い目で見られやすい環境です。差別を受けられないように周囲の協力が大切です。
SDGs 11 住み続けられるまちづくりを
理由:若男女すべての国民が安心安全な住宅に住むことが大切です。また災害時には、自家発電があると吸入器が使用し続けられる上に換気システムが充実していると空気がいつも清浄化し、温熱調整システムがあると夏の暑い時や冬の寒い時も温度管理ができます。息患者は気管支が敏感であるため、室内環境がクリーンであり続けることが大切です。
SDGs 16 平和と公正をすべての人に
理由:患者に対し、周囲は白い目で見たり、非難することで、患者は、ストレスで体調が余計に悪くなるため、差別感情を持つことは避ける必要があります。
SDGs 17 パートナーシップで目標を達成しよう
理由:喘息患者が結婚し、子どもを安心して育てる時は周囲の理解や協力が必要です。周囲の理解力アップと、結婚後住むための住環境を整えることが大切です。
さらに的確な医療を受けるには、子どもの患者は小児科のアレルギー専門医、大人の患者は耳鼻科、内科(呼吸器科)のアレルギー専門医となります。治療レベルの地域差をなくすために医師が全国的に増えるように様々な業種の働きがけが必要です。
最後に皆さんにメッセージ
アレルギー症状は人それぞれ重度が違い、それらを我慢しないことが大切です。
・どうしてそうなったのか
・対策はどうしたらいいのか
この2点を考えましょう。追究することが健康への近道です。
いままで環境アレルギーに対策に関する記事を24回にわたって執筆しました。何か御質問などあればご連絡ください。
春日井環境アレルギー対策センター 代表 加藤 美奈子
この記事を書いた人
春日井環境アレルギー対策センター 代表
子どもがアレルギー起因の喘息で入退院を繰り返した経験から、2011年にアレルギーをもつ子どもの育児をサポートする任意団体を設立。2018年、春日井環境アレルギー対策センターを設立し、健康住宅建築や既存建築物の空気質測定、室内空気環境品質検査認証などを中心に事業展開。アレルギー患者を一人でも減らすべく日々活動している。資格:看護師、環境アレルギーアドバイザー、シックハウス診断士