色彩計画の選択・トーンのコーディネート
Mie
2019/10/16
図1
前回はStep2-§2として「色選び②「色彩計画の選択・色相のコーディネート」についてお話しました。色の配列によって、「同一色相」「類似色相」「対照色相」「中差色相」「補色色相」の5つに分類するのは、ちょっと難しいと感じる方もいらっしゃるかも知れませんね。でも安心してくださいね。ここまでできれば、そのあとはそれほど難しいことはありません。
「色相のコーディネート」は「トーンのコーディネート」と比較すると難易度が高いので「色相のコーディネート」を行う際にはシッカリと色彩計画することが最大の難関でもありますが、最重要ポイントでもあるからです。ここまでの部分を理解していれば、今後は楽しいことが、たくさん始まります。そして、目標とする「居心地の良い空間作り」に着実に近づいていますし、もし、「色相のコーディネート」が難しいと感じてしまったら「トーンのコーディネート」にシフトしてみるのもよいでしょう。
なぜなら「トーンのコーディネート」はイメージ(印象)が具体的にカテゴリー分けされているので、ご自身の「居心地の良い空間作り」に必要としている色彩計画をトーン図と呼ばれる一覧表を使用し、イメージする配色に近いカテゴリーを選ぶことで探し易くなるからです。
トーンのコーディネートでは、A色とB色の関係性が「同一トーン」「類似トーン」「対照トーン」の3種に分かれます。A色とB色の違いを覚えていらっしゃいますか? ちょっとおさらいをすると、色彩計画には「3色構成」がオススメというお話をしました。
基本となる3色を仮にA色、B色、C色と名付けました。3色の役割はA色=ベースカラー(基調色)3色中で最も広い面積を有します。
B色=アソートカラー(配合色)3色中で2番目に広い面積を有します。C色=アクセントカラー、またはセパレーションカラー(補助色)3色中で1番小さな面積を有します。そして、色の配分を考える色彩計画で最も重要なポイントになる部分はA色のベースカラー(基調色)とB色のアソートカラー(配合色)の関係性です。
そのA色とB色の関係性が「トーンのコーディネート」には3つほど分類され、図1のイラストのように色の種類によってそれぞれに「同一トーン」「類似トーン」「対照トーン」という違いがあります。
図1の下部のトーンのイラストでは、横方向の2色の色相(暖色、寒色、中性色)は共通していますが「トーンのコーディネート」の違いによってイメージが変化していることがわかります。
また、図1の上部のトーン図にはカラフルで小さなリング(色相環)が12個並んでいますが、この並び方にも意味があります。
丸く尖っている先端(右方向)に近いリング(色相環)は、彩度(鮮やかさの強弱)が強く鮮やか。逆に反対側(左方向)に進むと彩度が弱く鈍くなっています。さらに、上下の並び方は上方向に位置しているリング程、明度(明るさの度合い)が高く(明るく)、下に位置しているリング程、明度が低く(暗く)なっています。
そして、それぞれのリング(色相環)には名称があります。つまりトーン図は明度と彩度を合算した色彩の印象(イメージ)の一覧表なのです。同じ色相(暖色、寒色、中性色)同士であってもトーン図上でリングを比較すると、隣接していても、それぞれのリングのイメージは違っています。
それぞれのリングの名称(トーンの種類)を言葉で表現すると次のように例えられますので「色相のコーディネート」が難しいと感じた場合には「同一トーン」または「類似トーン」で色彩計画を進めるとよいでしょう。ただし、ご自身が居心地良く感じられるイメージやテーマをニュアンス的に感じられるトーンを選択するようにすることがポイントです。
○「pale/ペールトーン」…イメージとしては淡く儚くピュアで可憐。透明があって純粋で清らかな印象(空間)を好むなら明度の高いペールトーン
○「light grayish/ライトグレイッシュトーン」…大人しい落ち着きと安心や安らぎのある印象(空間)を好むなら優しさを感じさせるライトグレイッシュトーン
○「grayish/グレイッシュトーン」…シックで味のある濁りを基調とした落ち着きのある印象(空間)を好むならグレイッシュトーン
○「dark grayish/ダークグレイッシュトーン」…硬く重厚でストイックな印象(空間)を好むなら拘りを感じさせるダークグレイッシュトーン
○「light/ライトトーン」…軽やかで澄みきった爽やか、涼やかな印象(空間)を好むなら明度の高いライトトーン
○「soft/ソフトトーン」…シッカリとした安定感と穏やかさ柔らかさを兼ね備えた印象(空間)を好むならソフトトーン
○「dull/ダルトーン」…華やかさと落ち着きを兼ね備え、少しだけ哀愁が漂う印象(空間)が好みならダルトーン
○「dark/ダークトーン」…こっくりとした奥行のある色味と円熟した大人の余裕を感じさせる印象(空間)が好みならダークトーン
○「bright/ブライト、strong/ストロング、vivid/ビビッドトーン(人間の視覚では同じ印象)」…アクティブでスポーティーな明るく陽気な華やかさが特徴なので色鮮やかな印象(空間)が好みならbright/ブライト、strong/ストロング、vivid/ビビッドトーン
○「deep/ディープトーン」…深く濃くトラディショナルな色彩による絶妙なバランスの印象(空間)が好みならディープトーン
次回はStep2-§3色選び④「色彩が与えるイメージとアクセントカラー」についてお話をしたいと思います。それでは、また次回に!
この記事を書いた人
MIE色彩研究社代表
自由が丘産能短期大学能率課インテリアコーディネーター課程卒業。産業能率大学情報マネジメント学部卒業。東京商工会議所カラーコーディネーター検定試験認定講師。電子機器製造メーカー、産業機械商社に勤めながら、社会人学生として産業心理学を学び、色彩と人間の意識との深い結びつきに共感。さまざまな社会経験を通して、色彩と人の意識に関わる数多くの実証の基、色彩スペシャリストとして事業を展開。東京都中央区銀座のオフィスではこれまでに培ったパーソナルカラー、空間色彩、商品色彩、カラースクール、色彩セミナーなどを個人、法人を問わず全国で行っている。趣味は街散策。