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「マスカレード・ホテル」

ストーリーを楽しむか、俳優を楽しむか、演出を楽しむか――いろいろな楽しみ方のできる娯楽作(1/2ページ)

兵頭頼明兵頭頼明

2018/12/26

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(c)2019映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (c)東野圭吾/集英社

都内で3件の殺人事件が発生する。事故現場には犯人からのメッセージと思われる不可解な数字の羅列が残されており、警察は同一犯による予告連続殺人として捜査を開始する。警視庁捜査一課の刑事・新田(木村拓哉)は頭が切れるが、上司には扱いにくいアウトローのような存在。彼はその数字が次の犯行現場を示していると気づき、4番目の犯行現場が日本有数の一流ホテル・コルテシア東京であることを突き止める。しかし、犯人の手がかりは一切ない。そこで警察はコルテシア東京での潜入捜査に踏み切り、新田がホテルのフロントクラークに扮することになった。

コルテシア東京を代表する優秀なフロントクラーク・山岸(長澤まさみ)が新田の教育係に任命されるが、犯人逮捕を最優先とする刑事=新田と、宿泊客の安全を最優先とするホテルマン=山岸のポリシーは正反対であり、二人は衝突を繰り返す。果たして、真犯人は誰なのか――。

一流ホテルを訪れるマスカレード(仮面)を被った宿泊客たちの中から真犯人をあぶりだしてゆくという物語。『容疑者Xの献身』で直木賞を受賞した東野圭吾の同名ベストセラー小説の映画化である。後に二作の続編が発表され、東野にとってガリレオ・シリーズ、加賀恭一郎シリーズと並ぶ人気シリーズとなった。

この作品には三つの顔がある。まず一つ目は、ミステリー作品としての顔。さすがは手練れのミステリー作家・東野圭吾。観客が何気なく見過ごしたエピソードが真犯人を示す伏線だったと分かった瞬間、唸ること請け合いである。

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この記事を書いた人

映画評論家

1961年、宮崎県出身。早稲田大学政経学部卒業後、ニッポン放送に入社。日本映画ペンクラブ会員。2006年から映画専門誌『日本映画navi』(産経新聞出版)にコラム「兵頭頼明のこだわり指定席」を連載中。

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