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収益物件の裏を見抜くための知恵(4)

はじめから売却を意識して物件を選ぶことが大切

枦山 剛枦山 剛

2016/03/28

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不動産投資は情報戦

不動産業界と不動産投資について少し勉強すると、あることに気づきます。それは、不動産投資は情報戦であり、超優良物件(短期で大きな利益が確定できそうな物件)は、個人投資家に情報が出回る前に、不動産会社が買い取ってしまうということです。

なぜなら、不動産会社がまず狙うのは転売益、つまり購入した物件に儲けを乗せて転売することで、短期に大きな利益をあげることだからです。そのため、超優良物件については、売買を仲介して仲介手数料を取るのではなく、物件そのものを買い取ってしまい、転売することで利益を得るのです。

そして、この転売は不動産会社の間で行なわれることが少なくありません。投資用不動産は、家賃を値上げしない限り収入の上限が決まっているので、転売されるたびに利回りが下がってしまいます。つまり、不動産会社の間で転売された後、個人投資家の手に売却される頃には、優良物件もごく普通の利回りしか出ない物件になってしまっているというわけです。

もちろん、転売益がすぐに取れるほどの物件ではないけれど、投資物件としては十分に魅了的という物件が、個人投資家に紹介されることも多々あります。

とはいえ、そうした物件は、レインズに登録される前に非公開物件として売られてしまうことが少なくありません。なぜ不動産会社がそのようなことをするかといえば、情報を公開しなくても売れると考えているから。そして、売り主、買い主のどちらも自分で探して両方から仲介手数料をもらう「両手取引」を狙うからです。

残念ながら、そのような非公開物件は、不動産会社と太いパイプでつながっていて、「この人なら必ず買うはず」という投資家にしか紹介されません。そういう人に紹介するのがいちばん効率がいいからです。そのため、いい物件は既存顧客のうち資金的に余裕のありそうな人から順番に紹介されていきます。

やり方しだいで利益を出せるのが不動産投資

このような背景を知ってしまうと、不動産投資の初心者は非常に割を食っているように思えますが、そのような優良物件でなくとも運営次第では利益を出せる可能性は多分にあります。ここが、不動産投資が株式やFXといったほかの投資と違う点で、自分の裁量で、ある程度は投資の結果を変えることができるのです。

運営次第では、何年か物件を保有し、家賃収入つまりインカムゲインを得た後に、タイミングを見て売却すればキャピタルゲインを得ることも可能です。

もちろん、購入にあたっては、しっかり収支のシミュレーションを行ない、融資の組み方や保有期間を十分に検討する必要があります。保有期間を検討するというのは、最初から出口、つまり売却を意識して物件を購入するということです。

毎月の家賃収入が入って利益が出るならずっと保有していてもいいじゃないかと考えるかもしれませんが、経年とともに物件価値は下がっていきますし、それに伴って家賃収入も下がっていきます。

さらに経年と共に建物や建物付帯設備に関する原価償却費も年々下がり、所得計算の際に計上できる経費も減ります。また、元利均等返済の借り入れで購入している場合は、毎年同じ金額を返済するのに、返済が進むにつれ、返済額に占める元金返済額が増加します。そうすると何が起こるかといえば、元金返済は利子と違って所得計算では経費にならないので所得税も増えます。こうしたことから経年と共に手残り収入が減ってしまうのです。

したがって、買い手がつくうちに売ってしまうということも重要な戦略のひとつなのです。

現在は、不動産価格が高騰しているので、利回りが全体的に低下しており、利益を出しにくい環境なのは事実です。決して買い急いではいけない時期ですが、あせらずにやり方次第では利益を出せるということを念頭に置いて、じっくりと投資物件を探してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

中学卒業後に大工、建設業、鉄工業などを経て、97年、若干23歳の時に鉄工業で創業する。大手ゼネコン5次下請けからスタートし、最終的には総合建設業者として大手ゼネコン5社の内2社、準大手ゼネコン5社、財閥系商社、建材メーカー、設計事務所、他数百を超える顧客と直取引するまでになり職人100人前後を抱える。同じころ飲食店、建設業専門経営コンサルタント業などを行なう関連会社3社も経営し、事業の多角化を行なう。 その間、約24年で多くの大型開発工事、投資用マンションとアパート建築、高層ビル建設、公共施設工事、メーカーの建材開発に携わり新施工法や新製品の商品化に貢献し徹底した品質管理と原価構造を学ぶ。しかし、拡大路線が裏目に出て廃業に至る。これを契機に経営者としての人生を徹底的に見つめ直し、顧客と社員と自身の相互利益を探求し学ぶ。 その後、不動産コンサルティングの業務に魅了され転身。 業界の活性化や顧客満足度の向上を阻む建設業界や不動産業界の古い慣習と収益構造に疑問を持ち、既成概念にとらわれない顧客サービスを模索し経営方針を固める。 現在、「経済活動を通し社会の不満、不便、不安を解消する」を経営方針に掲げ、顧客と企業の相互利益がかなうビジネスモデルを手掛け、建設と不動産に関わるすべての業界に変革を呼びかける。 (保有資格) 不動産系 1. 宅地建物取引士 2. 管理業務主任者 不動産コンサル系 1. 不動産コンサルティングマスター (合格後未登録) 2. 住宅建築コーディネーター 3.賃貸不動産経営管理士 4. 既存住宅アドバイザー 建築系 1. 一級建築施工管理技士 2. 監理技術者資格者証 3. 監理技術者講習修了証 4. 建築物石綿含有建材調査者 5. 特殊建築物調査資格者 6 マンション健康診断技術者 7. ブロック塀診断士 8. 建築仕上診断技術者 金融系 1. 貸金業取扱主任者 2. 住宅ローンアドバイザー ほか、損害保険募集人資格4種保有 その他 1. 相続診断士 2. 上級個人情報保護士 ほか、労働安全衛生法による資格16種保有

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