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軽く思っていたらキケン 賃貸住宅での「入居者が住む部屋」へのオーナーの立ち入り(1/2ページ)

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イメージ/©︎themorningstudio・123RF

ゴミ屋敷化が心配な部屋を覗いてみたい…

入居者が現に住んでいる賃貸住宅の部屋へのオーナーの立ち入り……。もちろん、入居者本人がその時その場にいて、「どうぞどうぞ」と招き入れてくれるのならばなんの問題もない。だが、そうでない場合はどんなケースで許されるのか? ふと疑問に思うオーナーも少なくないだろう。

「どうもウチのアパートの一室がおかしい。窓の内側にモノがうず高く積み上がっているのが見える。もしやゴミ屋敷化してるんじゃないだろうか。留守中に一度こっそり中を覗いてみたいものだが……」

オーナーの口からたまに漏れ聞くそんな類の悩みだが、マスターキーを使ってこっそりドアを開けたりするのは御法度だ。不法行為として賠償責任を追及されたり、住居侵入の罪に問われたりする可能性がある。

プライバシーの侵害に厳しい判決

賃貸住宅の戸室における入居者のプライバシーの保護に関して、大変参考になる司法の判断が平成19年(2007)に下されている。大阪地方裁判所での同年3月30日の判決だ。

場所は賃貸マンションの一室。借主は女性だ。この女性がある時、部屋のクーラーの修理を貸主に依頼したことが上記の発端となった。クーラーを修理するには、もちろん作業員が女性の部屋に立ち入ることとなる。そこで、女性と貸主の両者は、まず修理を行う日を決定。そのうえで女性は「その日は部屋にいるようにします」との旨、貸主に申し入れた。

ただし、「当日予定外に在室できなくなった場合は部屋を片付けておきます」との旨も女性は告げていた。つまりこの日に限っては「仮に私が不在でも、貸主さん、作業員さんは入室していいですよ」と、女性は意思表示していたことになる。

ちなみに、ここでの「片付けておく」は、もちろん貸主や作業員に見られても不都合がない状態に部屋を整理しておくという意味だ。プライバシー面、さらにはセキュリティ上、支障がないよう準備をしておくという意味になる。

ところが、結果として貸主と作業員は、約束の日の前日に女性の部屋に入ってしまった。修理業者側の都合を受け、彼らは日程を変更、当該日の1日前に女性の留守宅に“侵入”してしまったのだ。なおかつ、貸主はその旨を事前に女性に伝えてはいなかった。もちろん、相談を持ちかけてもいなかった。そのため、当日部屋には“片付けられていない”女性の下着や貴重品などが放置されていたという。

つまりは、ある時間のみに限定された「私が不在でも入室していい」との女性の言葉を貸主は拡大解釈してしまったようだ。「とりあえず先方は入っていいと言ってるんだから、1日くらいズレても構わないだろう。クーラーは予定よりも早く直るんだし」と、高をくくったのかもしれない。

これに対し、女性は怒り、裁判となった。

結果、裁判所は貸主に慰謝料3万円の支払いを命じている。女性のプライバシーが侵害されたことについて、「権利侵害行為と認められ、不法行為にも該当」との厳しい判断が下っている。

なお、実際にはこの裁判においては、敷引き特約の存在や、契約解除のことなども絡んで、審理内容は以上に記したものよりもやや複雑になっている。とはいえ、要点はシンプルだ。入居者が許可しない時間に、勝手に部屋に立ち入ったオーナーの罪は、たとえ判断ミスであり、悪気がなくとも、「慰謝料を支払わなければならないくらいに重かった」ということになる。

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この記事を書いた人

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賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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