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告知期間は賃貸でおおむね3年「人の死の告知に関するガイドライン」のポイント(1/2ページ)

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イメージ/©︎maposan・123RF

「事故物件」告知の基準がいよいよリリース

この10月8日に、国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表している。

昨年2月の検討会発足、今年5月から6月に行われたパブリックコメントの募集と、不動産業界およびその周辺においては、この間大いに注目されていたものだ。

このガイドラインが扱うテーマは、ざっといえば不動産取引における「事故物件の告知」ということになる。

なお、告知するのは宅地建物取引業者、いわゆる不動産会社だ。告知されるのは売買物件の買主や賃貸物件の借主、いわゆるユーザーだ。

従来、不動産を取り巻く関係者それぞれの間で解釈や対応が揺れていたところ、今回、国によって初めて一定の基準が示されたかたちとなる。

そのため今後は、この問題がとくに取沙汰されやすい賃貸集合住宅を中心に、関連する事業者の多くが、当ガイドラインに沿った告知対応を行うことになるだろう。(賃貸の場合は仲介会社・管理会社やオーナーなど)

そこで、この記事では、もっともその影響が及ぶと思われる賃貸集合住宅=賃貸アパート・マンションを借りる入居者の立場を踏まえながら、ポイントを解説していきたい。

自然な死は告知不要 ただし発見遅れは告知の対象

第一の重要ポイントだ。今回のガイドラインでは、「賃貸借取引及び売買取引の対象不動産において『自然死』または『日常生活の中での不慮の死』が発生した場合」については、原則告知すべき対象としていない。

例えば、その部屋で入居者が老衰や持病で亡くなったり、物につまづき転倒して亡くなったり、お風呂に溺れたり、食事中に誤嚥が起きたりして亡くなっただけでは、不動産会社は入居希望者にこれを告げる必要はない。

対して、自殺や他殺、火災による焼死など、「自然死または日常生活の中での不慮の死」ではないものが、告知しなければならない対象となる。

ただし、自然死または日常生活の中での不慮の死であっても、発見遅れにより部屋にダメージが及んだようなケースは別だ。いわゆる特殊清掃や大規模リフォームなどが行われる状態となった場合は、「買主・借主が契約を締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼす可能性がある」ものとして、こちらは告知の対象となる。

告知の対象となる「場所」の範囲は限られる

告知の対象となる具体的な場所の範囲はどうなるのだろう。

今回のガイドラインでは、「賃貸借取引及び売買取引の対象不動産の隣接住戸または借主もしくは買主が日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分」においての人の死は、原則告知の対象外となっている。それが自殺や他殺であろうとも、発見遅れにより特殊清掃等が行われた場合であろうともだ。

よって、例えば「壁1枚を挟んだ隣の部屋で自殺や他殺があり、遺体の発見が遅れて腐敗し、特殊清掃や大規模なリフォームが行われた」場合も、不動産会社は原則これを告知しなくてよいことになっている。

これは、入居者側の気持ちとしてはかなり微妙なところだ。しかしながら、「ではもう少し範囲を広げたとしてどこに線を引けば皆が納得するのか?」「2~3戸隣りの部屋の場合まだ気になるか?」「フロアが違えば気にならなくなるのか?」などと考えていくと、たしかに判断が難しい。今回、ガイドラインは、そのもっとも狭い範囲(取引対象の住戸内および住人の日常の行動範囲内)までをもって、線を引いたかたちとなっている。

ただし、この部分には「事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案はこの限りではない」と、但し書きも添えられている。「別の階の部屋だが、昨年殺人事件があり、報道もされた」といったケースでは、この但し書きにのっとり、のちのちのトラブル回避のため、進んで告知の判断をする事業者も少なくないことだろう。

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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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