マンション投資でサブリースが必要ないこれだけの理由
斎藤 岳志
2021/09/28
イメージ/©︎maru123rf・123RF
サブリースは安心できるのか?
賃貸住宅の管理委託の方法の1つに「サブリース」があります。
サブリースとはサブリース会社が物件を借り上げ、入居者がいてもいなくても毎月の家賃保証をするもので、「一括借り上げ」ともいいます。
賃貸住宅オーナーにとって最大のリスクは、やはり入居者がいない“空き部屋”になることです。そこで「入居者がいなくても」家賃が入ってくるわけですから、これほど安心なことはありません。
しかし、毎月の家賃から引かれる手数料が15%前後、あるいは受け取る家賃が周辺の同じ物件の70%という場合もあり、手取りがかなり減るというのが大きなマイナス面になります。
加えて、その仕組みも複雑です。
通常、賃貸住宅ではオーナーが直接、あるいは管理会社と契約していれば管理会社を介して、入居者と賃貸借契約を結びます。そのため入居者がどんな人なのかなど、大体のことは分かります。また、部屋の設備の故障、家賃の未払いなど、なんらかの問題が生じれば、これも管理会社を通じて連絡を受けて最終的な対応策はオーナーが決定をします。
一方サブリースでは、オーナーはサブリース会社に家賃保証をつけて貸します。サブリース会社は入居者を自社で募集し、入居者にその部屋を貸します。有り体にいえば、又貸し、転貸しになるわけです。
そのためオーナーは入居者がどんな人かも知らず、なんらかのトラブルがあっても、その対応はサブリース会社が行います。契約内容によっては部屋の修理などの費用をオーナーが求められこともありますが、基本的にサブリース契約期間中は、対応はサブリース会社が行います。
このためサブリース会社のセールスパーソンは「オーナーは預金通帳だけ眺めていてください」といった営業トークをしたりするわけです。
社会問題となった理由は何か?
サブリースについては、さまざまな問題点が指摘されていますが、大きくクローズアップされたのは、一括借り上げの際の家賃保証の減額、あるいはサブリース会社側からの一方的な解約についてでした。
というのも、新築一棟建てのアパートや、区分所有のマンション賃貸(投資)では、サブリース会社の家賃保証の金額が購入資金の借入の返済原資になっているため、サブリース会社から契約破棄をされてしまうと、その資金計画がくずれてしまいます。
「預金通帳だけ眺めていてください」という話だったのに、「話が違う、契約違反だ」ということなったわけです。こうしたトラブルが多くなったため、国土交通省、消費者庁、金融庁の3つの省庁が注意喚起を促す文書を出したり、2020年6月にサブリース新法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)が国会で可決、21年6月15日に全面施行されたといった経緯があるのです。
このように、これまで問題として取り上げられたのは、サブリース会社からの契約解除や家賃の引き下げでした。しかし、オーナーとして忘れてはいけない大きな問題として、サブリースは固定化され機動的に、物件を利用できないということがあります。
実は大家にとって不便なサブリース契約
借地借家法では借主の保護が手厚く、オーナーの事情で出ていってほしい、つまり、サブリース契約の解約にとても手間がかかります。
しかし、賃貸管理会社への委託の場合、もし賃貸管理会社に不満があれば、その管理会社との契約解除をするだけ。現状の入居者との賃貸借契約は継続するので、新しい管理会社にしたり、自主管理することは容易です。
こうしたことから、サブリース契約はしないほうがよいというのが私の考えです。
そもそも中古マンション投資では、エリア、立地条件を自ら自由に選ぶわけですから、サブリースをつける必要はないでしょう。言ってみれば、その物件のあるエリアにニーズがあり、物件の状況、設備を吟味し、家賃をいくらにすれば借りてもらえるかを考えるわけですから、それだけで空室リスクを軽減することが可能なはずです。
仮に一括借り上げ・家賃保証というサブリース契約が必要な物件なら、それは再検討、再考すべき物件といえます。
もし、どうしてもサブリース契約をするのであれば、サブリース会社が出してくる「事業計画書」をよく検討することがとても重要です。その際、契約年数、家賃減額の有無、将来の家賃下落など、リスクを最大限のリスクがどう置かれているか、見通しは甘くないかといったマイナス面に注視すべきです。
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この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
FPオフィス ケセラセラ横浜代表 百貨店在職中にファイナンシャル・プランナーの資格を取得。税理士事務所、経営コンサルティング会社などを経て、FPオフィス ケセラセラ横浜を開設、代表を務める。 マイホーム購入・売却相談のほか、不動産投資のサポートも行なっている。株式投資やFXなど一通りの投資を実践した後、2007年より不動産投資をスタート。現在は、自らの資産運用はほとんど中古マンション投資に絞って取り組んでいる。