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区分の賃貸経営、イケイケではダメ――所有物件の大ざっぱな売値を把握することで資産を見直す

斎藤 岳志斎藤 岳志

2021/06/08

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イメージ/©︎morris71・123RF

年に一度は「資産の棚卸し」を

中古マンションを買い、空室もなく大家業も順調となれば、誰でも新たな物件への投資を考えるようになります。これは特別なことではなく、うまくいっているのだから当然なことです。

しかし、順調だからとイケイケではなく、やはりどこかで立ち止まり見直すことも必要です。いわば自分の「資産の棚卸し」。できれば、年に一度、年末や年度末などタイミングを決めて「いま大家として保有している部屋を売却するとして、いくらであれば希望者が現れるか」を考えてみてください。

区分マンションの場合、短期間で値上がりを期待するのは難しいものです。それに中古マンション投資をするにあたっては、基本的に家賃収入を定期的、かつ長期的に受けるインカムゲインを目標にされているでしょうから、あまり手放すことでのキャピタルゲインは意識されていないかもしれません。

とはいえ、不動産投資とはいえ資産運用ですから、当初考えていた現金、株や債券、保険、不動産といった資産全体の構成のバランスが取れているかをチェックすることは必要です。仮に不動産に偏るなどすれば、物件を売却して、見直すリバランスが必要です。

また、いつ何時、現金が必要になるかも分かりません。そんなときでも、どのくらいで売却できるという目安を持つことは、万一のときの心の余裕、安心にもつながります。

では、売却価格の目安はどのようにつかめばよいか。一番、簡単な方法は「収益還元法」というものです。計算式は、

年間利益÷利回り=収益還元価格(売却価格)

になります。例えば、家賃8万円、管理費・修繕積立金2万円、固定資産税3万円、利回り7%とすると以下のようになります。

{(8万円-2万円)×12-3万円}÷7%=約985万円

この価格で売り出せば早い段階で買い手が付くと予想される、いわば最低価格ということです。

計算で忘れてはいけない税金の重み

そのほかの方法としては、所有する物件に近い条件の部屋がいくらで売りに出ているかをネットなどで調べてみる方法です。調べやすいサイトの1つは国土交通省の土地総合システム(https://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet)です。このほかにも民間の情報サイトも参考になります。また、不動産流通機構が運営する「レインズ」も参考になりますが、詳細を見ることができるのは不動産業者だけなので、付き合いのある業者がいれば、調べてもらうという方法もあります。こうした周辺情報を集めることでも、イメージすることができるでしょう。

また、売却価格の最低ラインを見極める方法としては、物件の購入価格から、これまで受け取った家賃から管理費・修繕費といった経費と固定資産税を引いた「純利益」を差し引いた金額というのもあります。

具体的には物件価格が2000万円(諸費用込み)で5年経過、家賃9万円、管理費・修繕積立金2万円、固定資産税5万円であれば、

2000万円-{(9万円-2万円)×60カ月ー5万円×5年}=1605万円

となるので、この金額で売れば損失はないということになります。

ただし、いずれの場合も売却した際に利益が出た場合は、その利益に対して譲渡税がかかるので、こうした税金も考慮することが必要です。とくに5年未満で売却すると、短期譲渡所得になるため税率が39.63%になり、長期譲渡所得の税率の20.315%より大幅に高くなるので要注意です。

もちろん、ローンで購入している場合は、金利分のマイナスもありますし、減価償却費でプラスになる部分もあるので、一概には単純計算はできません。しかし、売却する際の金額を大ざっぱに出すための方法のとしてこれらの方法を覚えておくと便利だと思います。

いずれにしても、定期的な資産の棚卸しをすることで、しっかりと自分の資産状況をつかんでおけば、売却はもちろんですが、新たな物件を購入する際の参考になるはずです。

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この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

FPオフィス ケセラセラ横浜代表 百貨店在職中にファイナンシャル・プランナーの資格を取得。税理士事務所、経営コンサルティング会社などを経て、FPオフィス ケセラセラ横浜を開設、代表を務める。 マイホーム購入・売却相談のほか、不動産投資のサポートも行なっている。株式投資やFXなど一通りの投資を実践した後、2007年より不動産投資をスタート。現在は、自らの資産運用はほとんど中古マンション投資に絞って取り組んでいる。

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