自主管理、それとも管理会社に委託、どちらが正解?――マンション投資にかかる手間ひまを解剖
斎藤 岳志
2021/07/13
イメージ/©︎Eliška Kadlecová・123RF
管理の仕事は大まかに6つ
区分マンションの投資をするにあたって、考えておくべきことの1つに、その部屋の管理をどうするかということがあります。
つまり、管理を外部の管理会社に任せるか、大家として、自らが入居者と直接やり取りしていくかということです。
区分マンションでは、入居募集、賃貸契約から退去、日常的なメンテナンス、家賃の受け取りや遅れた場合の督促など一切合切をアウトソーシングできるしくみが整っています。そして、これらすべてを自分で行うことを「自主管理」と呼びます。
自主管理にするか、管理会社に任せるかは、それぞれの考え次第で自由です。もちろんのことですが管理会社に任せる場合は、費用がかかります。
管理会社に任せるにせよ、自主管理をするにせよ、入居者とのやり取りは大まかに分けると次のようになります。
1)入居者募集
2)賃貸契約の締結・更新・解約手続き
3)毎月の家賃の受け取り
4)室内(占有スペース)の設備などの不具合の修理など
5)家賃の支払い遅延の督促
6)そのほか居住者からの苦情やトラブル処理の依頼、逆に居住者に対する苦情やトラブル受付
自主管理ではこうしたことをすべて自分で行うことになります。ただ、不動産会社の中には賃貸家約や更新だけはサポートしてくれるところもあるようです。
どんなトラブルもいち早い対応が必要
私は現在10室あまりの物件を所有していて、物件数が多いこともありますが、すべてを管理会社に任せています。
持っている物件が1部屋、2部屋と少なく、家賃の支払いも滞ることなく、トラブルもない居住者さんであれば、設備のトラブルもそうは頻繁に起きるものではないので自主管理もそれほど大変でないというお話も耳にします。
そこで少しでも支出を減らしたい、入居者とのやり取りも経験のと思う方は自主管理をされるのもいいでしょう。また、定年をむかえて時間的なゆとりがある方であれば、仕事の1つとして自主管理をされるのもいいかもしれません。
なかにはこうしたやり取りをきっかけに入居者と親戚、友人関係のようなコミュニケーションへと広がったという人もいるようです。
とはいえ、やはり室内の設備などは経年劣化もしますし、今般のコロナ禍のように、これまではなんの問題もない方が仕事を失い家賃が滞ることもあるかもしれません。長く大家業をやっていると、さまざまな入居者がいて、さまざまな出来事があるものです。
また、トラブルなどについてはそうした連絡がいつくるか、どんなときにくるかもわかりません。日中かもしれませんし、深夜かもしれません。ちょっとした旅行に出ているときかもしれません。
居住者さんの立場からすれば、何かあったときに連絡が取れないというのは不安でしょうから、なるべく早く対応することが求められます。
さらに家賃の遅延が発生した場合は、その督促はいち早く行うことが重要で、こうした手間もかかります。さらに遅延にとどまらず、未払いが続けば法的な対応も必要になります。当然のことですがこれも自ら行う必要があり、場合によっては、訴訟も必要になって、その際の弁護士費用なども必要になることもあります。
しかし、「これも含めて大家業」ですから、自主管理を選ぶのもありでしょう。
私はというと、すべてを管理会社に任せています。物件数も関係しますが、「得意なことは得意な人に」というのが私の考えだからです。
いずれにしても、区分マンション投資をするにあたっては、管理をどうするかはとても重要で、よく考えてから、自主管理にするか、管理会社に委託するかを決めてください。
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この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
FPオフィス ケセラセラ横浜代表 百貨店在職中にファイナンシャル・プランナーの資格を取得。税理士事務所、経営コンサルティング会社などを経て、FPオフィス ケセラセラ横浜を開設、代表を務める。 マイホーム購入・売却相談のほか、不動産投資のサポートも行なっている。株式投資やFXなど一通りの投資を実践した後、2007年より不動産投資をスタート。現在は、自らの資産運用はほとんど中古マンション投資に絞って取り組んでいる。