中古マンションを購入すべき時期は? 後悔しない買いどきを不動産のプロが解説!
菅 正秀
2017/09/21
「いつ買うのがベストか」で迷っていませんか?
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住宅ローン金利が過去最低レベルを記録し、テレビや雑誌などで「いまが買いどき!」という特集をよく見かけます。逆に、人口減少や、オリンピック以後に予測される景気悪化を理由にあげて、「いまは買うな!」と主張する特集もあります。
一体いつが買いどきなのか混乱してしまう人も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えするなら、目的、物件、資金計画の3つがそろったときが買いどきです。具体的に言うと、あなたがマンションを購入したいと思う動機(目的)が明確で、実際にそこに住みたいと思うマンションが見つかり(物件)、その物件を購入できる(資金計画)なら、そのときに購入すべきだと言えるでしょう。
なぜなら、住まいとは、仕事以外の時間の大半を過ごす場所であり、その住まいに不満を持ちながら生活するのは大きなマイナスになるからです。人生のうち、「家族と過ごす時間が充実し、満足している」と言える期間を少しでも長くもてたほうがいいと思いませんか?
そうした時間を得るために、快適な住まいは大きな役割を担ってくれるはずです。
人口減少時代に突入! 不動産価格が下がるのを待つべき?
そうはいっても、マンション購入となれば人生において最大の買い物と言えるものです。「本当にいま購入してもいいのだろうか」「いま購入して損をしないのか」と不安になるのも当然のことです。
そこで、まずは資産価値から見たマンションの買いどきを考えてみましょう。
確かに、日本は人口減少時代に突入し、毎年20万人くらいの人口が減少するとともに、全国の空家率も13%を超えていると言われています。そう考えると、「これから不動産価格は大きく下落するのではないか」、「いま買ってしまったら損するのではないか」と思う人も少なくないことでしょう。
しかし、あなたが購入したマンションに、終の住処として住まい続けるなら、空家率はあまり関係ありませんし、不動産価格が下がっても大きな問題にはならないことでしょう。そもそも、マンションも物なので、使い続けて古くなれば価値は下がっていくのが当然なのです。
むしろ、一戸建ての場合には、所有者のメンテナンスが不十分であれば大きく価値を下げてしまうこともありますが、マンションの場合はマンション全体で定期的にメンテナンスを行ないますので、周りと比べて大きく価値を下げてしまうこともありません。
また、日本の不動産市場では、木造住宅なら、築20年を過ぎると資産価値はゼロとみなされてしまいますが、私が住んでいる地域のマンションは昭和50年前後に建築されたマンションでも、一定の価格で取引されています。これは、最終的には、そのマンションを賃貸に出して家賃収入得ようとする目線で購入する人たち(投資家)がいるためです。
このように、これから不動産価格が下がることを見越して(そもそも、いつ、どれくらい下がるのかは誰にもわかりませんが)、マンション購入を待つ必要はないと言えるでしょう。
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消費増税前に購入すべき? 増税で支払額はいくら増える?
次に消費税とマンションの買いどきについて考えてみましょう。消費税が増税されると個人消費に影響があらわれますが、消費税は中古マンションの買いどきに影響を与えるのでしょうか。
前回、消費税が増税されたタイミング、5%から8%に上がるときに駆け込み需要があったのは確かです。しかし、中古マンションの場合は、消費税が上がったとしても、実はあまり影響がないと言えます。
それは、個人間の取引には消費税がかからないからです。ただし、住宅ローンの事務手数料や司法書士、不動産会社などに支払う各種手数料には消費税がかかるので、消費増税の影響がまったくないわけではありません。とはいえ、数万円ほどの値上がりです。
売り主が法人の場合(不動産会社が個人の売り主から買い取って再販売するケースなど)は、物件に消費税がかかりますが、物件全体の価格ではなく、かかるのは建物部分のみです。
たとえば、4000万円の中古マンションで、建物部分の価格が2000万円とすると、現在は消費税8%ですから、税額は160万円です。これが、消費税10%になると税額は200万円になります。これにさきほど見た、手数料の消費増税分を加えると負担増は50万円くらいということになります。
この金額が高いと考えるかどうかは人によりますが、人生で最大の買い物を50万円のために買い急ぐ必要はあるでしょうか?
中古マンションの買いどきを考える上で、消費増税はあまり考慮しなくても問題ないと言えるでしょう。
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次に、相場と金利の面から見た買いどきを考えてみましょう。
昨今、東京や大阪の中心部などで中古マンションの価格が上昇しています。その原因としては、新築マンションの高騰、相続税対策、インバウンド需要などがあげられます。
しかし、かつてのバブル期のように新築マンションより中古マンションのほうが高いというような異常な上がり方ではありません。最大の問題は、新築マンションの高騰と言えるでしょう。
2016年には、首都圏の中古マンションと新築マンションの成約数が逆転しました。東日本不動産流通機構(レインズ)によると、2016年の首都圏の新築マンション販売戸数は、3万5772件だったのに対し、中古マンションの成約数は、3万7189件でした。
加えて、国(国交省)も既存住宅流通活性化政策、つまり中古住宅の流通を活性化させるための手立てを着々と進めてきています。
そのひとつとして、現在、「安心R住宅(仮称)制度」を導入予定です。安心R住宅(仮称)とは、消費者が安心して購入できる高い品質の中古住宅に設けたブランド名です。国土交通省に登録された各事業者団体が定めた基準を満たすと認められた物件に使用できることになっています。
中古マンションを安心して購入できる環境が整いつつあると言えます。
そして、現在の住宅ローン金利は史上最低水準です。しかも、頭金なしで、物件価格の100%を融資してもらうことも可能です。
私がマンションを購入した頃(バブル崩壊後の平成5年頃)は、住宅金融公庫(現在の【フラット35】)の金利が4%台、銀行ローンは5%台が当たり前でした。その上、物件価格の最低1割を頭金として自己資金で用意することが必要でした。
つまり、現在は、安心して物件を選べるという面でも、資金を用意しやすいという面でも、中古マンションを購入しやすい環境が整っていると言えるでしょう。
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1年でいつ買うのがおすすめ? 物件数が増えるタイミングは?
さて、近々に中古マンションを購入するとして、1年のうちでいつ買うのがおすすめかといえば、それは不動産業界でいう住宅シーズンがいいでしょう。
なぜなら、最初に申し上げた「あなたが住みたいと思う」物件に出会えるチャンスが多いからです。
業界でいう住宅シーズンは、1年に2回あります。それは、1〜3月の最需要期と9〜11月の秋の住宅シーズンです。
1〜3月期は、新学期、新入社、転勤移動など、4月からの新生活に合わせて住み替えをする人が多くなります。そのため、物件の供給が多くなり希望に合う物件が出てくる可能性が大きいですし、あれこれ吟味するチャンスも増えるのです。
9〜11月期も、1〜3月期の最需要期には及びませんが、新婚や転勤、夏休みに帰省した折に両親から資金援助の話が出た、といった理由から、住み替え需要が増える時期になります。また、新年は新しい住まいで迎えたいという心理的な需要もあります。
ですから、このふたつの時期には物件情報をこまめにチェックすることをおすすめします。
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まとめ
中古マンションの買いどきは、周りの情報に振り回されることなく、あなた自身のタイミングで決めるべきです。
私がマンション購入の相談を受けたときには、冒頭に申し上げた通り、「あなたがマンションを購入したいと思う動機(目的)が明確で、実際にそこに住みたいと思う物件があり、その物件を購入できる(資金計画)なら、それが買いどきです」とお答えしています。
いちばん重要なのは、なぜマンションを買うのかという「目的」です。そこをじっくり考えてください。伴侶との新生活のため、子どもの教育のため、子どもが巣立った後の第二の新婚生活のため…など。
目的が明確なら、失敗しないマンション選びができると思います。
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この記事を書いた人
株式会社フェリーズディア 取締役チーフコンサルタント
宅地建物取引士、マンション管理士、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター。 1958年、大阪府大阪市生まれ。創価大学法学部卒業。大学卒業後、弁護士事務所に勤務、宅地建物取引士資格取得を契機に大手不動産会社に転じる。法律知識を活用し中古住宅、中古マンションの仲介営業を担当。 その後、顧客と一緒にモノづくりをするために、地域中小建設会社に移り、注文住宅・賃貸マンションの受注営業を担当。大手建設会社との競合が激しい中、操業以後に流入してきた近隣住民のクレームにお悩みの経営者さんに、不動産会社時代の人脈を使い工場の移転先を斡旋した上で、その跡地に93戸の賃貸マンション建設の受注をするなど、15年間で約32億円の受注する実績をあげる。現在は、建築にも明るい不動産コンサルタントとして、不動産会社のエスクロウ業務(契約管理)・新人社員指導等を行なっている。 一生に一度の買い物ともいえる住宅の購入をアシストできる人材を育成し、業界の健全な発展に貢献すべく活動中。