中古住宅探しで営業マンや売り主に聞いておかないと後悔する15のリスト
菅 正秀
2017/01/24
1〜3月は理想の住まいに出会うチャンス
毎年1〜3月は不動産業界の繁忙期に当たります。この時期には、「今年こそは」とか、「春までには」とか、「新学期までには」という気持ちで新居を見つけようと意気込んでおられる方も多いことと思います。
家を探している方だけでなく、家を売りたいと考えている方も、この時期には同じように考えるため、多くの物件が中古住宅の市場に出てきます。
ですから、中古住宅を探している方は、理想の住宅を見つけられるよう、この1〜3月の間に積極的に活動されることをおすすめします。
実は、理想の中古住宅を見つけるには、ヒアリングしたり、質問したりする力が大切になります。意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、なぜそうした力が必要なのか、理想の中古住宅を見つけるにはどうしたらいいのかをお話ししていきましょう。
満足できる住宅を見つけるには、まずは良い不動産会社の営業担当者と出会えるかどうかが重要です。その担当者が、あなたのために頑張ってくれる人かどうかを見きわめるは、ただ希望を伝えるだけではなく、きちんとコミュニケーションを取って、いろいろ質問してみることが必要です。
また、紹介してもらった物件の良さを知るには、物件の価格やスペックだけでなく、物件の住み心地、保育園や学校、病院などの情報、スーパーなどの買い物事情といった周辺環境のほかにも、ご近所づきあい(マンションであれば隣人の情報なども)についてなど、いろいろ知っておきたいことがあります。
つまり、理想の中古住宅に出会うには、不動産会社の営業担当者や売り主さんとコミュニケーションを取って、いろいろとヒアリングすることが大切といえるでしょう。
そこで今回は、中古住宅を購入する際に、理想の家と出会うために不動産会社の担当者に聞くべきこと、また物件の内覧時や、その前後の検討時期に、売り主さんにヒアリングしておきたいことをお伝えしたいと思います。
中古住宅探しは、良い担当者選びが9割
上述した通り、理想の住宅と出会うためには、まず良い不動産会社の営業担当者と出会うことが必要になります。
そのための大前提として、まずは新築分譲の一戸建てやマンションの営業と、中古物件の仲介営業の担当者のスタンスの違いを押さえておきましょう。
新築物件の営業の場合は、担当する特定の物件を売らなければなりません。なので、いかにその物件がほかと違い優れているかなど、その物件を売り込むための営業になります。
一方、中古物件の仲介営業の場合は、中古住宅市場(通称「レインズ」という売り物件を登録するデータベース)から、買い主の希望に合う物件を選び出し紹介することがメインになります。したがって、特定の物件だけを売らなければならないわけではありません。
仲介営業の担当者は、可能な限りお客さんのニーズを聞き出して、そのニーズにマッチする物件を、経験とカンとデータベースを駆使して探し出します。なので、営業担当者には、たくさんのヒントを与えたほうが、より精度高く物件を紹介してもらうことができるのです。
ですから、仲介営業の担当者には、疑問に思ったこと、不安に思っていること、ほしい物件の詳細等なんでも投げかけてみましょう。たとえば、購入手続きのこと、ローンの組み方、物件の環境のこと、近隣のこと…。
そうすれば、心ある営業担当者なら、知っていることはすぐに答えてくれますし、知らないことは調べてくれるはずです。
営業担当者を、家探しの「相棒」「パートナー」として、あなたができないこと、知らないことを調べてもらうような関係になれば、きっと満足いく「家」が見つかると思います。
この質問をすれば信頼できる営業担当者かどうか見抜ける!
ただし、すべての不動産会社・営業担当者が、そんなスタンスではありません。なかには使えない「相棒」も存在します。
ですから、その担当者が、あなたの理想の物件を探しだすために額に汗してくれる人なのかどうかを見きわめて、フィーリングの合わない担当者は代えてもらうなり、不動産会社を替えるなりしましょう。
安心してください。不動産会社はコンビニの数ほど存在します。そして、扱っている物件は基本的にはどこも同じです。きっとあなたのフィーリングに合う「相棒」が存在すると思います。
とはいえ、その「相棒」はどうやって見つけ出せばいいの? とお思いでしょう。
そのために、ひとつ良い質問があります。
それは、担当者から物件を紹介されたときに、「どういう意図」でこの物件を紹介したのか聞いてみることです。その答え方で、使える営業担当者かどうか判断できると思います。その担当者がどこまであなたのニーズを理解して、それに応えようとしているかが、その答えからわかるはずだからです。
(参考記事)
信頼できる不動産営業マンを一発で見抜く、たったひとつの質問
物件を内覧するときは売り主さんに話を聞くチャンス
「相棒」として信頼できる不動産会社の担当者が見つかったら、物件を紹介してもらいましょう。気になる物件があったら、内覧をすることになります。
売り主さんが居住中の物件の場合は、内覧する際には売り主さんが立ち会われるケースが多いです。そんなとき、どうしても売り主さんに気を使ったり、緊張してしまったりするかもしれません。
ですが、これは逆にチャンスなのです。なぜなら、売り主さんはその物件に何年か住まわれた方ですので、その物件の使い勝手や、学校や病院等周辺の施設情報、近隣情報を豊富に持っていらっしゃいます。なので、積極的にコミュニケーションを取るようにしましょう。
売り主さんに聞いておくことは、一言で言うと「あなたのライフスタイルに合う物件かを判断する材料になる」ものになります。ですから、聞くべきことはあなたの家族構成、勤務形態、何を大切にしているのかによって変わってきます。
周辺環境について売り主に聞いておくべきこと
まず聞いておきたいことは、周辺環境についてでしょう。たとえば、次のようなポイントがあげられます。
(1)駅までは徒歩で何分かかるのか?
(2)保育所の場所や、入所の難易度はどれくらいか?
(3)幼稚園、学校の評判や様子は?
(4)どこのスーパーが良いのか?
(5)どこの病院が良いのか?
(6)役所や図書館など公的機関の場所は?
(7)隣・近所との付き合い方や、町内会の加入状況は?
(8)マンションの場合は、上、下、両隣の居住者の情報
(9)マンションの場合は、管理組合の活動状況(役員の選定方法、理事会の開催頻度、総会の参加人数など)
小さいお子さんがいらっしゃるなら、保育園や学校の情報、病院であれば小児科がどこにあるかといった情報が必要でしょう。また、お子さんが独立されて夫婦ふたりになったので住み替えを考えているといった方であれば、交通や買い物の利便性のほか、病院の情報などが重要になるかと思います。
ですから、ご自身のライフスタイルに合わせて聞きたいことを事前に考えておくといいでしょう。
とかく物件見学時は、物件のことばかりに気を取られてしまいますが、このあたりもしっかり頭に入れておきましょう。
リフォーム履歴を聞いておくことは大切
周辺環境のほかにも聞いておきたいこととしては、物件や取引に関連したことがあるでしょう。たとえば、次のようなことは最低限確認しておきましょう。
(10)次の引越し先が決まっているのか(引越先が新築の場合、その建物が完成するまで引渡してもらえないケースがあります)
(11)設備の使い勝手や、これまでの修理履歴
(12)リフォームの履歴
特に一戸建ての場合は、増築していても未登記だったり、建ぺい率、容積率の制限を超えてしまっていたりする場合があります。
建ぺい率、容積率の制限を超えてしまっている場合は、将来、建て替えをする場合、同じ大きさの建物が建てられないことになりますので、リフォームの履歴はしっかり確認しておくようにしましょう。
一戸建ての場合は、こんなことも聞いておく
物件が一戸建ての場合には、このほかにも次のようなポイントが聞いておきたいこととしてあげられます。
(13)お隣との境界(ブロック塀の中心・内面・外面や、杭、鋲等があるなど)が明確か
(14)設計図書(設計図、竣工図、設備図等)を保管しているか(これがあると、リフォームする場合に便利です)
(15)物件が注文建築の場合は、その建築会社名と連絡先(将来の修理・リフォームの時、元施工の会社のほうが親身に対応してくれます)
これらのポイントすべてを聞かなければならないわけではありませんが、売り主さんと積極的にコミュニケーションを取って、「この人は一生懸命家探しをしている人だ」といった良い印象を残しておくことは大切です。
実は、そうしておくことで、後日、値段交渉や契約条件の交渉をするときに、売り主さんが「あの人になら多少譲歩してもいいかな」と思ってくれて、良い結果をもたらすことが多いのです。
これは私の経験則ですが、かなりおすすめです。
近隣の人や管理人にもヒアリングは必要?
よく雑誌などに、「近隣の人にもヒアリングしましょう」ということが載っていますが、これはなかなかハードルが高いですし、必ずしなければならないものではありません。
また、聞かれた側としても、どう答えていいものかむずかしいものですから、当たり障りのない答えしか返ってこないことも多いと思われます。
あまり身構えずに、チャンスがあれば聞いてみるという程度で良いでしょう。
ただし、マンションの場合は、管理人さんにヒアリングすることをおすすめします。
たとえば、駐車場の空き状況、駐輪場の空き状況などは、現場の管理人さんしか分からないケースが多いです。
また、ゴミ出しのルールなども生活していく上では大切なことですから、どんなルールになっているかを聞いてみましょう。
ゴミ出しのルールを聞くのは、単純にルールを教えてもらうことだけが目的ではありません。
その際に「ルールを守らない人がいると管理人さんは大変ですね。」と言ってみると、「いや、このマンションの住人はちょっとモラルが低くてね」とか、「みなさん、ルールをちゃんと守ってくれて、いいマンションですよ」といった管理人さんの本音が聞けて、マンションの実態がわかることもあります。
住宅は人生最大の買い物です。購入してから後悔しないために、ここでお伝えしたヒアリングのポイントを活用して、理想の住まい選びに役立ててみてください。
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この記事を書いた人
株式会社フェリーズディア 取締役チーフコンサルタント
宅地建物取引士、マンション管理士、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター。 1958年、大阪府大阪市生まれ。創価大学法学部卒業。大学卒業後、弁護士事務所に勤務、宅地建物取引士資格取得を契機に大手不動産会社に転じる。法律知識を活用し中古住宅、中古マンションの仲介営業を担当。 その後、顧客と一緒にモノづくりをするために、地域中小建設会社に移り、注文住宅・賃貸マンションの受注営業を担当。大手建設会社との競合が激しい中、操業以後に流入してきた近隣住民のクレームにお悩みの経営者さんに、不動産会社時代の人脈を使い工場の移転先を斡旋した上で、その跡地に93戸の賃貸マンション建設の受注をするなど、15年間で約32億円の受注する実績をあげる。現在は、建築にも明るい不動産コンサルタントとして、不動産会社のエスクロウ業務(契約管理)・新人社員指導等を行なっている。 一生に一度の買い物ともいえる住宅の購入をアシストできる人材を育成し、業界の健全な発展に貢献すべく活動中。