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大切なのは豪華な施設より「堅実さ」

豪華な施設は本当に必要? 購入後に「ムダなお金」がかからない中古マンションの選び方

牧野寿和牧野寿和

2016/07/12

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住み始めてからかかる費用を把握していますか?

中古マンションを選ぶときには、購入価格だけでなく、住み始めてからどれくらいの費用が発生するかをきちんと把握しておかなければなりません。そうでないと、入居後に思わぬ出費に泣くことになりかねません。

まずはリフォームについて。購入した後でまったく手を入れないことを前提にしてしまうと、どうしても見た目の良い、価格帯が高めの築浅物件ばかりに目が向きがちです。ですが、リフォームすることを前提に物件を探してみると、選択肢が広がることもあります。

気になるのがリフォームの費用ですが、現在は、住宅ローンとリフォームローンが一体になった金融商品を利用することも可能です。リフォーム費用の見積もり書を金融機関に提出する必要があるので、まずはリフォーム会社に見積もり書を出してもらいましょう。

リフォームの見積もりは2〜3社から取る

その際、見積もりは必ず2〜3社から相見積もりを取ることが大切です。
会社によって金額が全然違うことがあるからです。見積もり書に不明な項目や費用があったときには必ず確認をとりましょう。見積もり書は銀行に提出する前に、融資担当者にも見てもらい、適正な資金計画であることを確認してもらうことが必要になります。

なお、リフォーム会社を選ぶときは、近隣のエリアだけでなく少し離れたエリアも含めて複数の会社をピックアップして、どんなリフォームを得意としているかを調べておきましょう。というのも、会社によっては、元は工務店だったり、ガス工事店だったりと、リフォーム会社といってもいろいろなので施工内容に得手不得手があるのです。

リフォームの必要はないと思って購入した物件でも、住み始めてみると思わぬ修繕が必要になることもあります。リフォーム済みの物件であっても、施工時期によっては再工事が必要になることもあります。いつ、どこをリフォームしたのかを確認して、購入後のリフォーム計画を立てておきましょう。

無視できない修繕積立金、管理費の負担

中古マンションを選ぶ際に大切になるのが、入居後の修繕積立金や管理費の負担がどれくらいあるかという点です。

修繕積立金とは、マンションの良好な居住環境を確保し、資産価値の維持・向上を図るために行なわれる、計画的な修繕工事のために少しずつ貯めていくお金のことです。大規模修繕工事の費用は多額になり、一括で徴収することはむずかしいので、いずれ予想される修繕工事を盛り込んだ長期修繕計画を策定し、毎月の修繕積立金の額が設定されます。

外壁や屋根、エレベーター等の共用部分は、マンションの住民で構成される管理組合によって維持管理・修繕が行なわれます。場合によっては資金不足により、必要な修繕工事が行なえないこともあるので、修繕計画は一定期間ごとに見直されていきます。

購入を検討する際には、修繕計画とそれを元に設定された修繕積立金を提示してもらえるので、必ず資金計画に組み込んでおきましょう。

修繕積立金、管理費の具体的な金額は?

国土交通省の調べによると、15階建て未満で建築延床面積5,000〜10,000㎡のマンションの場合、1㎡当たりの毎月の修繕積立金の平均額は202円となっています。たとえば、10階建てで建築延床面積が8000㎡のマンションで占有面積80㎡の物件を購入する場合は、次のように算出されます。

80㎡×202円/㎡=1万6,160円

ただし、修繕積立金は、マンションに空住戸や滞納者が増えることで、不足することがめずらしくありません。入居後に積立金が段階的に上がっていくことや、修繕工事の内容によっては一時金を徴収されることも多くなっています。

管理費については、エレベーターの点検や共用部分の清掃、設備の維持管理にあてられます。同じく国土交通省の調べによると、駐車場のあるマンションの毎月の管理費の平均額は1万5,257円と、かなりの額になっています。

修繕積立金と管理費は、マンションの資産価値に直結するものですから、安ければいいというものではありません。修繕計画の内容や、管理サービスの質や金額に納得できる物件を選びたいところです。

豪華な施設や設備で生活コストがアップする

次に見ておきたいのは、設備や施設についてです。オール電化やガス温水式床暖房、共有施設のキッズルーム、専用プールなど、最近のマンションは豪華な設備や施設を備えたものが増えてきています。

ですが、キッズルームやプールなどは最初のうちは使う人がいても、徐々に使用頻度が減っていきます。特にプールは維持管理がきちんとしていないとすぐに汚くなり、かえって物件の印象を悪くすることもあります。また、IHクッキングヒーターなどは専用の鍋が必要になったり、メンテナンスに高い費用がかかったりするという話もあります。

豪華な共用施設の運営費は、物件購入費や管理費のなかに含まれています。最新設備がついているからといって資産価値が高いとみなされるとは限りません。それどころか、余計な設備や施設がある分、生活コストは高くなり、資金計画を圧迫する要因にもなり得ます。

中古マンションを選ぶ際に大切なのは、こうした一見便利に思える設備に目を奪われず、堅実に住める物件を選ぶことです。

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この記事を書いた人

CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士

1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。

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