280万円で買った家が「薪ストーブのある次世代エコハウス」に再生!
高橋 洋子
2016/06/23
NPO法人とやまホーム管理サービスの中山聡さん
愛着のある家を壊したくない!
NPO法人とやまホーム管理サービスの中山聡さん
地方の空き家では、どうしても価格がつかず、更地にするしかない場合があります。しかし、解体して更地にするにもお金がかかるもの。それに何より、愛着のある家を壊してしまうことに踏ん切りがつかない方が多いものです。
そういった物件のなかには、不動産会社に相談をしても、売却の依頼そのものを断られるケースさえあります。
NPO法人とやまホーム管理サービスの中山聡さんにお話を伺うと、不動産会社が売却の依頼を断る理由としては、下記の点があげられるそうです。
(1)遠距離にある
(2)不動産の仲介報酬の上限が法律で決まっているので費用倒れになる
(3)相続手続きや境界確定など個別の案件に対応した手間がかかる
(4)建物に瑕疵(=キズ)があるものが多く、仲介の結果、仲介責任が発生する可能性が高い
こうした空き家をどうにかしようとして始まったのが『100円不動産』。実際に「100円でいいから家や土地をもらってほしい」との連絡が多数、『100円不動産』に寄せられています。しかし、100円では売り主の採算が合わない場合もあります。そこで新たに始まったのが『100万円不動産』です。
280万の家をリフォームして次世代型エコハウスに
築37年の家を購入、リフォームした中山さんの自宅
室内にある薪ストーブ
実は中山さんご自身、中古住宅をご自身でリフォームして暮らしています。もともと400万円で売られていた築37年の家を、280万円で購入。以前は汲み取り式のトイレで、雨漏りが数カ所、すずめやコウモリの巣がある状態でした。
売り主は家に思い入れがあったことから「解体しない」ことを条件に購入。断熱なども含めて、一級建築士でもあるご自身でリフォームして暮らしています。
室内には、古い家の「らんま」を残しつつ、薪ストーブを置き、太陽光発電を利用して蓄電できる仕組みに。家で使用する電力分は、発電できます。また、電気自動車の充電ができる駐車場も整えています。
まさに次世代型のエコハウス。震災などの自然災害に備えた住まいに生まれ変わりました。
100万円ではさらに魅力的な物件が
『100万円不動産』では、いわゆる「格安物件」を不動産会社に媒介してもらい、その広告として掲載するとともに、その広告の内容を実際に取材してレポートしています。
金額は100万円とは限りません。売り主や不動産会社、不動産評価などを元に不動産鑑定士でもある中山さんが算出します。たとえば、岐阜県飛騨市で住人が割腹自殺した家を200万円台で掲載したところ、買い手が見つかりました。
今後も、いくつか100万円不動産で掲載する物件が決まっているとのこと。情報が掲載されるのは不定期で、掲載されるとすぐに買い手が見つかることもあるとか。
格安でマイホームがほしい方、戸建投資用に安く空き家が欲しい方は、ぜひ『100円不動産』のホームページ( http://h-kanri.wix.com/h-kanri )をマメにチェックしてみてはいかがでしょうか。
空き家を売却したい方や、売れずに困っている中古住宅を抱えている不動産会社の方も、『100円不動産』・『100万円不動産』を利用してみてもいいでしょう。
この記事を書いた人
暮らし研究所エメラルド・ホーム代表
暮らしのジャーナリスト・ファイナンシャルプランナー 1979年岐阜県生まれ。 情報誌の編集、フリーライターを経て現職。空き家をリノベーションし、安くマイホームを購入した経験から、お得なマネー情報の研究に目覚め、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。講演・執筆・FP相談を通じて、家探しの基本から中古住宅の価値向上とリノベーションの魅力を伝えている。空き家活用に関するセミナーは3年でのべ2000名が参加し、「わかりやすくて、おもしろい。勇気がもらえる」と幅広い世代から好評を得ている。著書に『家を買う前に考えたい! リノベーション』(すばる舎)、『100万円からの空き家投資術』(WAVE出版)など。