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新築マンション購入の基礎知識(4/5)

新築マンションを購入するとどんな税金がかかるのか

秋津智幸秋津智幸

2016/02/02

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不動産にはいろいろな税金がかかる

 新築マンションに限らず、不動産を購入する場合、税金は気になるもののひとつです。

 不動産にはさまざまな税金がかかります。購入時には「印紙税」「登録免許税」「消費税」「不動産取得税」が、購入後維持していくために「固定資産税」「都市計画税」がかかってきます。政府が住宅ローン控除などの優遇措置をしてまで住宅取得を政策のひとつとして後押しするのは、不動産にはこうした付帯する税金が多く、結果的に多くの税収を確保できるからです。

 さて、これらの税金について新築マンションにかかる税金についてみていきましょう。

気になるのはやはり「消費税」

 昨今、やはり気になるのは「消費税」だと思います。すでに消費税増税は決定しており、2017年(平成29年)4月1日から消費税が現在の8パーセントから10パーセントになります。

 中古住宅では、ほとんどが個人間売買(売り主も買い主も個人)となるため、消費税は一部の消費税事業者(たとえば不動産会社)が売り主の物件のときに多少影響がある程度で、基本的には仲介手数料などのサービスへの対価にかかる費用の消費税が上がる程度です。

 たとえば、4000万円の中古住宅で売り主が個人なら、仲介手数料(大雑把に物件価格の3パーセントとして)120万円に対する消費税が8パーセントから10パーセントになり、消費税9万6000円が12万0000円に2万4000円UPするといった具合に、新築物件に比べれば影響は限定的です。

新築マンションの場合、消費税の影響は大きい

 では、新築マンションではどうかといえば、やはり消費税増税の影響は大きくなります。消費税は、土地は非課税のため、建物代金にのみ課税されるのですが、マンションは物件価格のうち、建物代金が大半を占めるものがほとんどで、不動産のなかでも消費税の影響が最も大きいのが新築マンションです。

 たとえば、4000万円の新築マンションがあったとします。その土地と建物の割合を土地750万円、建物3250万円とした場合、建物の3250万円に対する消費税が変わってきます。

 消費税8パーセントでは260万だった税額が、10パーセントでは325万円に65万円UPしてしまいます。つまり消費税増税前は4000万円だった物件は、4065万円になるということです。

 新築マンションでは仲介手数料はかからないことがほとんどですが、登記にかかる司法書士の報酬や銀行の融資手数料なども消費税はかかるので、上の例ではおおむね70万円程度の差が出てきます。

緩和策として住宅ローン控除を拡充

 一方、消費税が上がることに対しては政府も不動産、特に新築住宅については税制の別の部分で緩和策を設けています。すでに5パーセントから8パーセントに増税した平成26年4月1日時点から、住宅ローン控除(正式名称は「住宅借入金等特別控除」)における「特定取得」という新築向けの現在策を設定しています。

「特定取得」とは、住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等が、8パーセントまたは10パーセントの税率により課されるべき消費税額等である場合におけるその住宅の取得等をいいます。つまり、新築物件であれば、住宅ローン控除の最大限度額を年間20万円から40万円にして所得税を緩和しています。ただ、8パーセントから10パーセントに増税となったことに対しては特に目新しいものはなく、やはり2パーセント分の増税感はぬぐえません。

 新築マンションの購入を考えている人は、可能なら増税前に購入したほうがいいかもしれません。

購入時には「印紙税」「登録免許税」などがかかる

 そのほかの税金についても見ていきましょう。まず、購入時の「印紙税」は、契約書に貼る税金で、売買契約書と金融機関からローンを借りる際の金銭消費貸借契約書に添付します。契約書に記載される売買金額やローンの金額によって印紙税(印紙代)が異なってきます。ただし、不動産の売買契約書の場合には特例があり、印紙税が減額されています。

「登録免許税」は、登記する際に払う税金で、登記費用の大半が登録免許税です。登記費用には登録免許税のほか、司法書士の報酬と謄本代や交通費などの実費相当の費用が含まれますが、70~80パーセントは登録免許税です。

 また、物件を取得後、6カ月~1年以内に「不動産取得税」の支払いがあります。不動産取得税は、不動産の取得時に一回だけ支払う税金で、不動産の評価額を基に計算された税金です。

 新築のマンションでは、土地はマンション全体の土地に対して自分が所有している持ち分に対して、建物は完成後、初めて行政が建物の価値を評価して評価額を決めますので、購入を決めた時点では、正確な取得税の額が計算できません。

毎年かかる「固定資産税」と「都市計画税」

 次に、不動産を所有しているとかかる税金として「固定資産税」と「都市計画税」がありますが、共に土地と建物に分けて、毎年1月1日現在の所有者に対して課税されます。

 固定資産税には、住宅の場合、土地と建物双方に減額される特例がありますが、都市計画税には、住宅用の場合、土地には減税の特例がありますが、建物には原則として減税の特例がありません。

 なお、固定資産税減税の特例のうち建物については、現行では、平成28年3月31日までに新築された建物についての時限立法なので、新築マンションの購入を考えている人は注意が必要です。

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この記事を書いた人

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント

公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、AFP、ファイナンシャルプランニング技能士2級。 神奈川県住宅供給公社にて、分譲マンション、一戸建・宅地分譲、高齢者住宅等の新規不動産販売部門に従事した後、同社賃貸部門にて賃貸物件の募集、管理業務に従事する。その後、不動産投資専門の仲介会社を経て、不動産コンサルタントとして独立。 現在は「不動産サポートオフィス」の代表コンサルタントとして、自宅の購入、不動産投資、住み替え、融資など多岐にわたる不動産に関する相談・コンサルティングを行なう。その他、不動産業者向けの研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム等の執筆にも取り組んでいる。 主な著書に、「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)、「失敗ゼロにする不動産投資でお金を増やす!」「賃貸生活A to Z」(アスペクト)がある。

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