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後悔しない新築マンションの選び方(6/6)

新築マンションに入居後、不備が見つかった場合は?

秋津智幸秋津智幸

2016/02/04

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アフターサービス基準を確認しておきましょう

 新築マンションの引渡しを受け、ようやく入居したら、不備が見つかるということもあります。そんなときは、売り主の「アフターサービス」を利用して補修してもらいましょう。

 アフターサービスとは、新築マンションを購入した際、引渡しから一定期間以内に建物や設備に不備があった場合、売り主が無償で保証するといったサービスです(経年変化や使用上の不注意、過失になる損傷は除きます)。

 請求可能な期間は部位ごとに異なりますが、建物に関しては基本的には1~2年間としている場合が多いようです。また、建物の瑕疵に関しては、法律で引渡しから10年間は保証することになっていますので、契約時に交付されるアフターサービス基準を確認しておきましょう。

入居後にチェックすべきことは?

 マンションも人によって工事されるので、多少の不具合やミスはつきものです。最初から完璧に造られるとは限らないので、入居後はしっかりと不備がないかをチェックしたほうがよいでしょう。

 たとえば、お風呂やシンクの排水状況、エアコン、床暖房、ガス機器などは、使用してみないとチェックすることができないため、内覧会のときには確認できない場合もあります。入居直後には、内覧会で確認できなかった設備、水回りやガス機器に不備がないかを必ずチェックしておきましょう。

 アフターサービスは24時間365日対応しているところも増えてきているので、連絡を入れれば素早く対応してもらえます。アフターサービスを適用させるためには、所有者が問題個所を指摘する必要があります。売り主や管理会社がチェックしてくれるというわけではないので、自分でチェックしなければなりません。

 ただし、設備機器については、メーカー保証を利用することもあり、その場合は売り主のアフターサービスの部署を経由して修理を依頼するより、メーカーへ直接依頼したほうが早いケースもあるので、その辺もアフターサービス基準をよく読んでおきましょう。

 通常、入居後6カ月、1年目や2年目といった節目のタイミングで管理会社から何か不具合がないかというアンケートが届くので、このときに不備について報告してもいいでしょう。

共有部分の不備を見落とさないように

 また、見落としがちなのが共有部分の不備です。実は共有部分に関しても期間内であれば管理組合の理事会を通して補修の請求ができます。しかし、通常の管理組合の理事会では、初めて理事になった入居者の人がアフターサービスについて意識していることが少ないので、理事会の議題に上がることが少ないようです。

 また、そもそも知識として管理組合の役割を知らない場合もあるので、アフターサービスの期限近くになったら管理組合の理事会で共用部分のチェックを行なうことを提案してみるとよいでしょう。もちろん、チェックした結果、不備があれば補修請求することを忘れないことです。

 共用部分をチェックするためには、専門的な知識よりも高い意識が必要になります。アフターサービスを最大限に利用するためには、日頃、入居者が意識して不具合と思われる共用部分をリストアップしておくことが有効です。

 たとえば、あってはなりませんが、共用部の壁に気になるクラックがある、エレベーターの動きが悪い、機械式駐車場の動きがおかしいなど使用しているなかで気がついたことは理事会に報告しておくとよいでしょう。ちなみに理事会への報告は、入居者であれば、管理人や管理専用ポストに渡す(投函する)などしておけばよいことになっているマンションが一般的です。

管理会社による無料点検もある

 管理会社による無料点検もありますが、管理会社はアフターサービスをする売り主の子会社や関係性の深い立場の場合が少なくありません。売り主に不利になるような行動はしにくいこともあるので、不備があっても見て見ぬふりをする可能性がゼロではありません。

 通常は、後々問題が大きくなるよりは気づいたときに処理したほうが得策なので、仕事として責任を持って点検してもらえますが、あくまで点検は一時的なものですし、入居者のように毎日使用しているわけではありませんから、気づかないこともあります。やはり、日々入居している者同士が意識してチェックしていくことがポイントです。

 また、専門家にサポートしてもらい、不備を見つけてもらうということもありますが、専門家の利用にはそれ相応の費用がかかってしまい、皆の共有で預かっている管理費や修繕積立金を使ってまで点検を専門家に依頼できることは稀です。

 もし、専門家に依頼するなら、チェックだけでなく、売り主やゼネコンとの交渉もサポートしてもらうこともできますが、それも高額になるケースがあるので、新築から数年程度の年月では、やはり管理組合から共用の費用を使ってまでの依頼はしにくいでしょう。

 専門家に依頼するケースは、まず入居者またはその代表である理事会が自分たちでチェックし、大きい問題となりそうな不具合(欠陥)と思われるものが見つかり、その修繕を売り主に要求しているにも関わらず、対応が悪い場合などに限られてくると思われます。

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この記事を書いた人

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント

公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、AFP、ファイナンシャルプランニング技能士2級。 神奈川県住宅供給公社にて、分譲マンション、一戸建・宅地分譲、高齢者住宅等の新規不動産販売部門に従事した後、同社賃貸部門にて賃貸物件の募集、管理業務に従事する。その後、不動産投資専門の仲介会社を経て、不動産コンサルタントとして独立。 現在は「不動産サポートオフィス」の代表コンサルタントとして、自宅の購入、不動産投資、住み替え、融資など多岐にわたる不動産に関する相談・コンサルティングを行なう。その他、不動産業者向けの研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム等の執筆にも取り組んでいる。 主な著書に、「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)、「失敗ゼロにする不動産投資でお金を増やす!」「賃貸生活A to Z」(アスペクト)がある。

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