ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

新築マンション購入の基礎知識(3/5)

新築マンション購入後にかかるお金について知っておこう

秋津智幸秋津智幸

2016/02/02

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

修繕積立金と管理費

 住宅購入後は住宅ローンの返済だけを考えてしまいがちですが、それ以外にも必要なお金あります。特にマンションの場合は、毎月かかるものとして、修繕積立金、管理費、駐車場代、ケーブルテレビ使用料など、毎年かかるものとして固定資産税・都市計画税があります。また、取得後1回だけかかるものとして不動産取得税があります。

 修繕積立金は、外壁の補修・塗り替え、給排水設備の修繕など将来建物の修繕にかかる費用を事前に積み立てておくための費用です。国土交通省のガイドラインでは、1平方メートルあたり平均202円が相場とされていますが、新築マンションの場合は、購入時に積立基金としてまとまった金額を徴収し、販売時にできるだけ少なく見せるために毎月の積立額は安く設定されている場合があります。

 当初の毎月積立額が少ないマンションでは、数年後に修繕に必要な額が不足するケースがあるため、計画に足りない部分が補えるように修繕積立金がアップするというケースも多くあります。

 修繕計画はあらかじめ決まっているので、修繕積立金をアップさせるためには、区分所有者で構成している管理組合の決議で決定する必要があります。当初の修繕積立金が少ない場合は、変更後2倍、3倍になることもありますので、当初の金額が少ないマンションでは数年後必ず修繕積立金が上がることを覚悟しておきましょう。

 管理費は、管理人の人件費、エレベーターの保守管理や共有部分の電気代や清掃代など建物の共用部の維持にかかる費用です。したがって、共有施設が充実したマンションは管理費も高くなります。

 管理費は毎月払うものなので、バカになりません。修繕積立費と同様、管理費も管理組合の決議によって変更することができます。最近は、マンション管理を委託する会社を変更することで、管理費を安くできたマンションも散見されます。

固定資産税と都市計画税

 固定資産税や都市計画税は、市町村(東京都は都)が不動産など固定資産に対して所有者から徴収する税金で、3年に1度評価を見直します。税額はその時の土地の評価額や建物の評価によって異なります。都市計画税は都市計画区域内の市街化区域にある固定資産に対してかかるため、地域によってはかからない場所があります。建物については、経年により評価額が下がるため、その分、固定資産税や都市計画税も安くなっていきます。

 固定資産税には軽減措置があり、土地については、小規模住宅用地として200平方メートル以下の部分は6分の1、200平方メートル超の部分は3分の1(マンション等集合住宅の場合、敷地全体の面積を居住用住戸の戸数で除した面積で判定します)に軽減され、平成28年3月31日までに建てられた新築物件に限り、建物は120平方メートルまでの部分が2分の1(3階建て以上の新築マンションでは5年間、それ以外の新築物件では3年間)に軽減されています。

 また都市計画税にも軽減措置があり、土地については小規模住宅用地として200平方メートル以下の部分は3分の1、200平方メートル超の部分は3分の2(マンション等集合住宅の場合、敷地全体の面積を居住用住戸の戸数で除した面積で判定します)に軽減されます。

 都市計画税では、建物については原則として軽減措置はありません。ただし、市区町村によっては特例で軽減を設けている場合もあります。一部の高級住宅地は別ですが、平均的な都内のマンションの場合は、おおよそ70平方メートル前後で、年間15万~20万円程度かかると考えておくとよいでしょう。

年間にかかる費用は51万〜92万円

 駐車場料金は、車を使う人にとっては必須となりますが、マンションよっては無料、格安の駐車場料金となっているマンションもあります。ですが、実際は物件価格や管理費に組み込まれている場合がほとんどです。したがって、駐車場代無料のマンションでは、管理費が高いこともありますので、注意が必要です。

 の他、ケーブルテレビやインターネット接続料など一見細かいですが、積み重なると結構な負担になる費用も必須でかかってくることがあります。

 管理費と修繕積立金がマンションの規模にもよりますが、70平方メートル前後で月2万~3万円、駐車料金が都内で月1万~3万円かかり、固定資産税と都市計画税が年間15万~20万円と考えると、年間にかかる費用は51万〜92万円になります。無視できる金額ではないため、あらかじめ購入後にかかる費用として予定しておきましょう。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント

公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、AFP、ファイナンシャルプランニング技能士2級。 神奈川県住宅供給公社にて、分譲マンション、一戸建・宅地分譲、高齢者住宅等の新規不動産販売部門に従事した後、同社賃貸部門にて賃貸物件の募集、管理業務に従事する。その後、不動産投資専門の仲介会社を経て、不動産コンサルタントとして独立。 現在は「不動産サポートオフィス」の代表コンサルタントとして、自宅の購入、不動産投資、住み替え、融資など多岐にわたる不動産に関する相談・コンサルティングを行なう。その他、不動産業者向けの研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム等の執筆にも取り組んでいる。 主な著書に、「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)、「失敗ゼロにする不動産投資でお金を増やす!」「賃貸生活A to Z」(アスペクト)がある。

ページのトップへ

ウチコミ!