多岐にわたるサポートで解決を目指す「実家じまいの相談窓口」
ウチコミ!タイムズ編集部
2024/04/23
株式会社Trustee 代表 中村優司さん
近年、深刻化する空き家問題。相続や遠方に住む親御さんの家など、様々な理由で実家が空き家となってしまうケースが増えている。しかし、空き家は放置すると倒壊の危険や空き巣・放火などの犯罪に巻き込まれる危険性があり、さらには固定資産税などの負担も発生する。
今回、空き家問題の解決につながる「実家じまいの相談窓口」を提供する株式会社Trusteeの代表 中村優司さんに、このサービスの立ち上げ経緯、内容、今後の展望について聞いた。
―このサービスを始めるきっかけはどんなものでしたか。
年々空き家が増加している中、空き家バンクなどの行政の仕組みが十分に活用されておらず、空き家の流通が滞っていると感じていました。2019年頃から不動産投資として戸建て物件を購入していく中で、空き家を売却するには様々な障壁があることに気が付いたんです。
まず、必ずあるのが残置物。それを片付けるにも、所有者が遠方にいたり、相続人が複数いたりで、処理が難しいことが多かったです。空き家を更地にして売却しようにも、売却の利益が出る前に建物解体費用の捻出をすることができないという声も多く聞きました。
そこで、そうした問題を解決するため、「空き家や実家を手間なく楽に売却してもらう」をコンセプトに、“不動産をそのまま買い取る”仕組み「実家じまいの相談窓口」をリリースしたんです。
「実家じまいの相談窓口」HPより
―具体的にはどのようなサービス内容でしょうか。
空き家の売却相談はもちろん、売却するための遺品整理や建物の解体、売却後のフォローなど、付随する様々な問題といっしょにそのまま引き受けます。弁護士、司法書士、税理士、宅建士といった100人以上の専門家と連携し、相続手続きや債務整理、確定申告など、複雑な手続きもサポートします。
つまり、ただ空き家となった実家を売るだけでなく、“なぜ売りたいのか”をヒアリングし、その困りごとも一緒に解決していくという仕組みです。「相続税が払えないから売却したい」という方には士業と連携したサポートを、「高齢のため今の家を売って、生活しやすい賃貸住宅に住みたい」という方には、そうした高齢者向けの見守りサービスがある賃貸住宅を紹介することも可能です。
買い取る値段は相場より低くなりますが、お客様にはその地域の本来の売却価格の相場をしっかりと伝えた上で、「それでも手間と一緒に買い取ってほしい」という声が日々寄せられています。もちろん、相場価格で売却したいという方も、売買仲介を引き受けることが可能です。
ご相談いただく不動産も多岐にわたります。これまで残置物がある物件や、再建築不可の物件だけでなく、更地や山なども引き受けてきました。この前は「9000坪の山があるから買い取ってほしい」というご相談もありました。
こうした空き家や土地を買い取り、ハウスメーカーや不動産経営者とともに、使い道を見つけて利活用していくのです。
「実家じまいの相談窓口」HPより
―なぜこうしたサービスを実現できたのでしょうか。
25歳から不動産業界に入り、相続対策のための賃貸住宅の活用や土地活用の提案を行っていました。そのため、どんな土地がどういう活用に適しているのかといった土地活用のノウハウを持っていることと、周囲に相続関係に強い士業の方々が多く、このサービスが実現できています。
また、「大名古屋不動産会」という中部エリア最大級の不動産コミュニティの主催や「全国大家の会」の理事を務めており、多数の不動産経営者やハウスメーカーとのネットワークがあることも理由の一つです。買い取りを行う前に、こうしたつながりを用いて活用の戦略を立ててから、不動産を引き受けています。
そのほか、株式会社Trustee Groupとして、老人ホーム紹介業や高齢者の身元保証、生活困窮者支援などの幅広い事業を展開しています。これらのサポート体制を活用することで、売却後のフォローを含め、お客様一人ひとりの状況に最適な解決策を提案することが可能になっています。
―今後の展望をお聞かせください。
現在、愛知・岐阜といった中部地方が拠点になっているものの、対応エリアは絞らず、北関東を含めた関東地方や関西地方、福岡、沖縄など様々な場所のご相談を受けてきました。さらに今後は、フランチャイズで年内に11拠点を目指し、より全国区での活動をしていく準備を進めています。
世の中には、不動産会社に相手にされず、行政の制度からも外れ、市場に出回らないまま水面下に沈んでいく不動産の方が圧倒的に多いのが実情です。今後、行政とも連携を取りながら、空き家問題の解決や各地域の活性化に貢献したいという思いがあります。そのために、まずはこうした民間での活動を知っていただきたいと考えています。
また、建築やデザイン関係の学生を巻き込み、空き家問題を知ってもらう活動も行っていきたいです。「なぜ空き家が放置されてしまうのか」、「それを再生することで社会にどういう影響があるのか」といった学びを提供することで、未来へつなげていきたいとも思っています。
■実家じまいの相談窓口 HP
https://jikkajimai.net/
■株式会社Trustee HP
https://www.trustee-net.com/
この記事を書いた人
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