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和室は必要? それとも不要?

和室離れが進行中! その裏に「○○不足」という業界問題あり!?

岩崎未来岩崎未来

2016/07/13

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和室は防音性、断熱性に優れている

客間や寝室に和室を採用する家も多くありますが、最近では和室がない家を好む方も増えています。賃貸物件でも、和室は好まれないのでフローリングに張り替えることが多いのだそうです。

そんな和室ですが、防音性や断熱性などに優れ、何よりゴロリと寝転べるのが心地よいため、根強いファンがいることも確か。ただし、和室をつくる際にもさまざまな落とし穴が潜んでいます。

畳の張り替えに手間とコストがかかる

皆さんご存知のとおり、真っ先に思い浮かぶ和室のデメリットといえば「畳の張り替えが必要になる」ということ。4~5年で裏返し、7~8年で表替え、というのが一般的なのだそう。

表替えの場合、1畳につき7000~1万円くらいが相場で、本体自体を取り換えるとなるとさらなる出費に。最近では畳屋さんも減ってきており、近場に見あたらない…、なんてこともあるかもしれませんね。

また、4~5年たつと表面の井草がポロポロと剥がれてきて、ゴミが出たり、布団や洋服についたりといったことが起きるようになります。赤ちゃんや子どもがいる家庭では、「転んでも安心」「寝転べる」という理由から、和室を採用したものの、井草が子どもの洋服や体についてしまうのが気になる、という方もいらっしゃいます。

いい和室はベテランの大工にしかつくれない

実は、「和室がキレイに仕上げられたら一人前の大工」ともいわれるほど、和室は大工さんの腕が試される場所。和室は、本来、釘を使わず、木と木の組み合わせだけでつくられる日本特有の建築です。

鴨居、廻縁、竿縁、長押、床柱、落し掛け…と、さまざまな名称がついた木造の部位があります。それだけに、和室をつくりあげる過程にはかなりの技術と経験、そして繊細さが必要なようで、普通はベテランの大工さんしか施工を許してもらえません。

ですが、最近では大工さん自体が減っており、腕のある大工さんがなかなかつかまらないという業界問題があるので、経験のあまりない大工さんが施工を担当することも。そのため、どんなに高いお金をかけて、こだわりの家を建てたとしても、和室だけはわかる人が見ればガッカリ…なんてことも多くあるそうです。

和室をつくることを決めたら、どれだけの経験をもった大工さんに施工してもらえるのか、事前に入念な打合せと確認をしたほうがよさそうです。

「小上がりの和室」は本当に便利?


出所:http://kakaku.com/reform/case/1710126/

最近多いのが、リビングの延長上にある小上がりの和室。「畳ルーム」とも呼ばれています。見た感じがモダンになりますし、ちょっとした腰かけスペースにもなります。また、小上がり部分の下が収納にもできるので、ファミリー層にも人気です。

ただ、この畳ルーム、段差があるので小さな子どもが登ったり下りたりする際にキケン、という声も。また、いまいち使い勝手が悪い、段差部分の収納も何をしまうべきか悩む、といった、ぼんやりした不満の声が多いことも確か。何のために和室をつくるのか、どんなシーンで和室を利用するのか、といった根本のところをよく考えたから決めたほうがよいですね。

私自身は和室が好きで、賃貸物件でも必ず和室がある物件を選んで住んできました。家を建てる際も絶対に和室をつくりたいと思っていますが、10年以上大工をやっている夫でも、「和室を納得いく仕上がりにする自信がない」と言います。それほどつくるのがむずかしい和室。だからこそ、美しい和室を手に入れたいですね!

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この記事を書いた人

住宅ライター

「1級建築技能士」という国家資格を保有する昔気質の職人を夫に持つ「大工の嫁」。群馬県在住で鹿児島県出身。 都内の大学卒業後、出版社や編集プロダクションに勤務し、さまざまな実用書・書籍を手がけた後に独立。間取り図や住宅情報誌などを見るのは趣味のひとつで。都内在住中、10年で6回の引越しを経験。その後、結婚し、第一子出産後、夫の故郷である群馬県に移住。 第二子妊娠中の今、毎夜夫の仕事話を聞きながら、マイホームへの夢を募らせている。

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