評価額ゼロでも寿命は60年以上!? 土地値で売られる中古一戸建てはお得な買い物(1/2ページ)
牧野寿和
2016/06/14
土地値で売られている物件を狙う
中古一戸建ては土地分の価値が資産として残る点が、大きなメリットです。日本では、木造の建物を売買する場合、土地の評価額は下がらないのに対し、建物は築後経年とともに評価額を下げていき、築 22年で評価額はほぼゼロになってしまいます。
つまり、そういった中古物件は、ほぼ土地価格で売られているので、頭金ゼロで物件選びをする人にとっては、いざというときに備えてリスク管理がしやすい、出口戦略を立てやすくなる条件が整っているのです。
実際に、首都圏の中古一戸建ての成約価格は築5年までが3613万円(土地面積 124.72m2/建物面積97.71m2)なのに対し、築16〜20年では2978万円(同 141.83m2/110.35m2)、築31年〜では2160万円(同160.24m2/92.74m2) と大きな差が出ます。
ちなみに成約物件の平均築年数は20.48年、築30年超の割合は20.2%と拡大していて、築15年以下の築浅物件は37.4%と縮小傾向にあります(平成27年1〜3月期。東日本不動産流通機構調べ)。
このように古めの中古一戸建ての人気が高まっているのは、前述したようにその価格は基本的に土地価格で決まることから、築後10 〜20年も経てば買いやすくなるからです。変動しにくい土地価格が住まいの価値になっているということは、資産価値が変動しにくいという意味で安心できます。
状態のいい物件があれば中古一戸建てはかなりお得
一方で、よく日本の一戸建ての平均寿命は30年といわれますが(耐用年数は22年)、この基となっているのは、平成8年に国土交通省が試算したデータです。しかし、これは取り壊した住宅の平均築年数であって、建物そのものの寿命ではありません。
では、なぜ30年程度で取り壊してしまうのかというと、日本ではそれまで中古市場が整備されておらず、買い手を見つけることがむずかしかったのと、前述の通り22年経過すると建物の資産価値はゼロになるため、高く売却できず、それなら建て替えたほうが得だと判断する人が多かったからです。
ある研究によると、建物そのものの寿命は木造住宅で64年とするデータもあります。メンテナンスの行き届いた物件を見つけることができれば、中古一戸建てはかなりお得なお買い物となるのです。
この記事を書いた人
CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士
1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。