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後悔しない建売住宅の選び方(4/6)

24時間換気システムについて知っておきたいこと

菅 正秀

2016/03/31

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VOC、ホルムアルデヒドに注意

 住宅内の空気環境についても触れておきましょう。

 実は、住宅に使用する内装材の接着剤や塗料等の多くには、VOC(Volatile Organic Compounds)という揮発性有機化合物が含まれています。VOCは100種類以上あるものの総称で、そのなかでもシックハウスの原因として問題になっているのが、トルエンやキシレンです。壁・天井などの内装仕上げ面や家具などの塗料部分などから少しずつ発散されます。

 また、同じくシックハウスの原因物質として取り上げられることの多いホルムアルデヒドは、非常に揮発しやすいので高揮発性有機化合物(VVOC:Very Volatile Organic Compounds)といってVOCとは区別されています。

 ホルムアルデヒドは非常に安価な防腐剤なので、かつては合板などの製造に使われる接着剤、壁紙の防腐剤・接着剤などに含まれていました。しかし、発がん性物質として疑われるようになってからは、各国で使用を中止しているので、最近では接着剤に使用されていることはほとんどありません。

 ただし、原材料に含まれていなくても、別の物質が熱でホルムアルデヒドに変化して空気中に発散される場合があります。沸点が−20℃と非常に気化しやすいので、ストーブをつけただけでも家具などから発生していまいます。室内から完全に排除するのが非常にむずかしい物質です。

建築基準法で義務づけられた24時間換気システムとは?

 住宅の高断熱高気密化によってVOCやホルムアルデヒドなどの化学物質によるシックハウス症候群の増加が問題になりました。そのため、2003年に建築基準法が改正され、設置が義務づけられたのが24時間換気システムです。

 24時間換気システムとは、従来の自然換気とは異なり、強制的に室内の空気の入れ替えを自動的に行なうことを可能とした「換気設備」のことで、次の3つの方式があります。

(1)第1種換気
 給気と排気の両方にファンを使って強制的に換気する方式です。近年では、戸建て、集合住宅ともに、この方式が主力になっています。給気、排気ともに機械を使うため、最も確実も給気、排気が可能なシステムです。

 風通しの悪い場所に建てられた住宅でも確実に換気ができますが、電気代などのランニングコストが、ほかの方式と比べると大きくなってしまうのがデメリットです。

(2)第2種換気
 これは、給気に機械を使った強制換気を行ない、排気は自然換気で行なう方式です。強制換気によって給気を行なうため、室内の気圧が屋外よりも高くなるので、室内の空気が自然に外部に流れることになります。また、室内にチリやホコリが入りにくくなるのも特徴です。

 ただし、建物の気密度によっては室内の湿気が外へしっかり排気されず、建物内の壁などに侵入して壁内結露が起こりやすいというデメリットがあるため、一般の住宅にはほとんど採用されない方式です。

(3)第3種換気
 これは第2種換気とまったく逆で、給気は自然給気で行ない、排気は機械による強制換気を行なう方式です。排気を強制的に行なうので、壁内結露が発生する危険性を軽減できます。また、電気代などのランニングコストを最も低く抑えることができるので、近年の高気密高断熱住宅に適した方式といえます。

換気システムについて業者に質問してみよう

 建築基準法では、「居室の容積の半分の空気」が1時間単位で入れ替わる、つまり2時間に1回、家のなかの空気が入れ替わるだけだけの換気量を確保しなければならないことになっています。

 それだけの換気量を確保するには、いろいろな知識やノウハウが必要なのですが、多くの業者にとって、24時間換気システムは、建築基準法で義務づけられているのでしかたなく設置しているというのが本音のようです。ですから、基準を守るだけの機能が本当にあるかどうかは疑わしい場合も少なくないでしょう。

 工務店やハウスメーカーや、仲介をする不動産会社の営業マンに、購入を検討している住宅の24時間換気システムについて、換気システムは第何種のものなのか、建築基準法の規定を上回る換気量が確保されているのかどうか質問してみてください。すぐに答えられない業者は、あまり信用しないほうがいいと思われます。

 もし、室内環境が気になるようであれば、VOCやホルムアルデヒドを測定することもできます。安価な測定器が販売されているほか、測定サービスを行なう会社もあります。パッシブ法といわれる方法であれば、だいたい2万円程度の費用で実施することができます。詳しくは、専門家に相談してみてください。

 なお、通常、完成直後はVOCなどの数値が高く1カ月ほどすると数値は落ち着きます。いちばん測定するのに適しているのは築後1カ月で、この時期の数値が高ければ建材に問題があると思われます。

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この記事を書いた人

株式会社フェリーズディア 取締役チーフコンサルタント

宅地建物取引士、マンション管理士、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター。 1958年、大阪府大阪市生まれ。創価大学法学部卒業。大学卒業後、弁護士事務所に勤務、宅地建物取引士資格取得を契機に大手不動産会社に転じる。法律知識を活用し中古住宅、中古マンションの仲介営業を担当。 その後、顧客と一緒にモノづくりをするために、地域中小建設会社に移り、注文住宅・賃貸マンションの受注営業を担当。大手建設会社との競合が激しい中、操業以後に流入してきた近隣住民のクレームにお悩みの経営者さんに、不動産会社時代の人脈を使い工場の移転先を斡旋した上で、その跡地に93戸の賃貸マンション建設の受注をするなど、15年間で約32億円の受注する実績をあげる。現在は、建築にも明るい不動産コンサルタントとして、不動産会社のエスクロウ業務(契約管理)・新人社員指導等を行なっている。 一生に一度の買い物ともいえる住宅の購入をアシストできる人材を育成し、業界の健全な発展に貢献すべく活動中。

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