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後悔しない建売住宅の選び方(1/6)

品確法など新築住宅の保証について知っておこう

菅 正秀菅 正秀

2016/03/24

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品確法の柱は「性能保証」「性能表示」「紛争処理」

品確法で規定されているのは「性能保証」「性能表示」「紛争処理」という三本柱です。このなかでも特に知っておきたいのが「性能保証」の部分です。

これは、すべての新築住宅について、引き渡しから10年間の性能保証が義務づけられているというもので、10年の間に構造に関わる欠陥が見つかった場合に買い主は無料での補修を請求できるという権利です。もちろん、その補修の間に仮住まいが必要になったばあいには損害賠償請求もできますし、居住が困難な欠陥については契約解除の請求を行なえます。

これまでも独自の性能保証制度を実施していた不動産会社はありましたが、すべての新築住宅が対象になったのは消費者保護の観点から画期的な進展でした。しかし、その対象は、建物の構造を支える部分と雨水の浸水を防ぐ部分にのみ限定されています。

具体的には、基礎・壁・柱・土台・屋根・床などの構造に関わる重要部分だけで、内装・設備は対象になりません。ここで注意したいのが、地盤は保証外になっていること。建物が沈下を起こしたとしても、基礎や土台の欠陥ではなく地盤に欠陥があった場合は補修請求ができないというわけです。

そのため、事前に地盤調査が行なわれ、軟弱だと判断された場合には補強工事が行なわれているかは必ずチェックしておきましょう。

大手メーカーはさらに手厚い保証が主流

品確法では、すべての新築住宅の構造に関わる部分の10年保証を義務づけていますが、最近では多くの大手メーカーがさらに長期の保証を充実させています。

たとえば、ある大手メーカーでは建物の構造に関して初期保証期間が20年に設定され、20年が経過した以降も5年ごとの定期点検を実施、保証の前提となる有償のメンテナンスを実施した場合は保証期間がさらに10年延長されるというもの。竣工から40年までは、10年単位で更新し、有償のメンテナンスを行ないながら保証年数を延長していくという仕組みです。

また、品確法では対象外となっている防水・防蟻についても10年間は無料で、以降は有償のメンテナンスを前提にその後の保証を延長していくというものです。

保証内容を必ずチェックしておきましょう

ほかの大手メーカーでも近い保証内容となっていて、木造住宅の構造に関する保証については「20年間」が定着しつつあります。鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅については、さらに長期の保証がついている場合もあります。

品確法より手厚い保証制度を確立することで、ほかのメーカーに対抗していくという狙いもあり、メーカー同士が保障制度の充実を競っているのが実情です。

また、経過年数が長くなった建物でも高い品質を保持していることをアピールする意味でも、自社の中古住宅に関する性能保証制度を充実させるメーカーもあります。中古住宅に関わらず、独自の点検と有償のメンテナンスを行なうことで、10年保証を実施しているパターンもあります。

このように、住宅に関する保証は充実してきており、特に新築住宅に関しては手厚い保証がされています。でから、購入の際はどのような保証がついているのかをチェックしておきましょう。

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この記事を書いた人

株式会社フェリーズディア 取締役チーフコンサルタント

宅地建物取引士、マンション管理士、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター。 1958年、大阪府大阪市生まれ。創価大学法学部卒業。大学卒業後、弁護士事務所に勤務、宅地建物取引士資格取得を契機に大手不動産会社に転じる。法律知識を活用し中古住宅、中古マンションの仲介営業を担当。 その後、顧客と一緒にモノづくりをするために、地域中小建設会社に移り、注文住宅・賃貸マンションの受注営業を担当。大手建設会社との競合が激しい中、操業以後に流入してきた近隣住民のクレームにお悩みの経営者さんに、不動産会社時代の人脈を使い工場の移転先を斡旋した上で、その跡地に93戸の賃貸マンション建設の受注をするなど、15年間で約32億円の受注する実績をあげる。現在は、建築にも明るい不動産コンサルタントとして、不動産会社のエスクロウ業務(契約管理)・新人社員指導等を行なっている。 一生に一度の買い物ともいえる住宅の購入をアシストできる人材を育成し、業界の健全な発展に貢献すべく活動中。

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